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[関東大会予選]「様相を感じろ」。状況読み、先手取った浦和南が昨年2位の正智深谷撃破!:埼玉

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サイドで激しい攻防線を演じる浦和南高SB大谷祐介(右)と正智深谷高SHオナイウ情滋

[4.14 関東高校大会埼玉県予選1回戦 正智深谷高 1-2 浦和南高 埼工大G]

 平成30年度関東高校サッカー大会埼玉県予選1回戦が14日に行われ、昨年準優勝の正智深谷高と伝統校の浦和南高が対戦。浦和南が2-1で競り勝った。浦和南は15日の2回戦で花咲徳栄高と戦う。

 立ち上がりは正智深谷が押し込んだ。MF石塚楽(3年)の展開などから、右SHオナイウ情滋(3年)が立て続けにエンドライン際まで切れ込んでくる。オナイウは警戒していてもそれを上回ってくるようなスピードを見せてクロスを上げていたが、浦和南もSB大谷祐介(3年)やサポートするSHたちが最後まで身体をぶつけてその精度を微妙に狂わせる。

 我慢の立ち上がりを懸命に凌いだ浦和南に流れが傾いた。普段から野崎正治監督が「様相を感じろ」と求めているというチームは、ハイプレスを繰り出す相手を冷静に剥がして前進したり、少ないタッチのパスでビルドアップ、またロングボールを活用したりするなど相手の出方を見ながら攻撃。加えて、守備面でもMF鹿又耕作(3年)とMF田代幹人(3年)を中心に素早いアプローチで相手との距離を詰める浦和南は、正智深谷に思うような攻撃をさせなかった。

 前線でボールの収まりどころとなり、技術力とアイディアも発揮していたゲーム主将MF大坂悠力(3年)が「(野崎監督から)『相手よりも先手を取れ、読みを速くしろ』と言われているのでみんなが先手を取るという共通認識ができていたと思います」と説明したように、浦和南が攻守において局面で先手を取るケースが続く展開に。正智深谷は流れるようなパスワークを見せる場面もあったものの、オナイウのドリブルシュートやロングスローを除くとゴール前のシーンを十分に増やすことができない。

 逆にセットプレーも活かしてチャンスを作る浦和南は33分、田代が左サイド後方から蹴り込んだFKをCB庄司千暁(2年)が頭でそらすと、最後は右SB渡辺優人(3年)がヘディングシュートを決めて先制する。浦和南は「よく耐えられたと思います」(大坂)という前半、0-0の想定を上回る1-0で終了。正智深谷は後半開始から2枚替えを実行するが、浦和南は後半2分にも田代の右FKをニアのFW岡田竜哉(3年)が頭でゴールへ流し込んで2-0とした。

 正智深谷は決定機を逸するなどなかなか2点差を詰めることができずにいたが18分、MF津川勇作(2年)の右CK後の混戦から左SB小林大竜(3年)がヘディングシュート。最後はCB福田零雄那(3年)らがゴールに飛び込む形で1点差とする。さらに正智深谷は、CB山田裕翔(3年)の正確なフィードやオナイウのドリブル突破などで反撃を加速。32分にはオナイウのクロスを津川が頭で合わせるなど相手ゴール前のシーンを増やしたが、同点ゴールを決めることができない。

 一方、浦和南の選手たちは終盤に守備が緩くなってしまったことを反省していたものの、庄司の的確なカバーリングやゴール前で奮闘するCB相馬海音(3年)らを中心に1点リードを死守。逆にMF草野皓(3年)の推進力あるドリブルなどで攻め返していた浦和南が2-1で競り勝った。

 昨年も力を有していた浦和南だが、強豪対決での惜敗が続き、なかなか上位に勝ち上がることができなかった。コーチングスタッフ陣は今年のチームに対して「一番足りないのは自信」と分析。その中でチームは人工芝グラウンドで磨いてきた足元の技術や「様相」を感じる力も活かして、昨年準優勝校を撃破した。自信を得るスタートを切ったが、昨年の苦しい一年間を知っている選手たちに油断はない。大坂は「強いチームに勝った後が大事」。伝統校・浦和南は昨年の悔しさを晴らすためにも目の前の一戦一戦に集中する。

(取材・文 吉田太郎)

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