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[プリンスリーグ関東]両軍8ゴールの打ち合い、制したのは東京Vユース!! 王者・前橋育英は2連敗

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5-3で打ち勝った東京ヴェルディユース

[4.14 プリンスリーグ関東第2節 東京Vユース5-3前橋育英高 ヴェルディG]

 高円宮杯U-18プリンスリーグ関東は14日、第2節1日目を行い、互いに開幕節を黒星で終えた東京ヴェルディユース(東京)と前橋育英高(群馬)が対戦した。序盤から激しい点の取り合いとなった一戦は、大量5得点を奪った東京Vユースが前回王者に競り勝ち、今季リーグ戦での初勝利を手にした。

 開幕節の三菱養和SCユース戦に1-3で敗れた東京Vユース。2試合連続での3失点だが、結果は1週間前とは真逆となった。前節の試合終了後、永井秀樹監督は「3点取られたから何なんだよ。4点取りゃいいじゃねえか」と選手を激励したという。この日はまさにそんな言葉どおりの内容。「だから今日は、選手を褒めざるを得ないんですけど。失点も修正したいですよ」(永井監督)と苦笑い気味で振り返った。

 試合は序盤から大きく動いた。コンパクトな陣形でハイラインを敷く前橋育英に対し、効果的に裏を突いた東京Vユースが押し込むと、前半7分、MF森田晃樹(3年)が左CKをショートで配球し、ニアに立ったMF山本理仁(2年)がリターン。ボールをもらった森田がカットインし、右足ミドルシュートを豪快に突き刺した。

 さらに前半10分、東京Vユースは右サイドをDF三浦雅人(3年)が突破し、中央へのグラウンダークロスに森田が反応。相手DFより先にボールに触って、背番号10の主将が早々に2得点を奪った。その後もアンカーの山本を中心に相手のプレスを避け、サイドチェンジを効果的に使った東京Vユースが主導権を握るかと思われた。

 ところが前半12分、前橋育英も早々と1点を返す。敵陣ゴール前左寄りで獲得したFKをMF秋山裕紀(3年)がふわりと蹴り込むと、ファーサイドから飛び込んだDF山原康太郎(3年)が高い打点のヘッド。ゴールの対角線を狙ったシュートは左隅に吸い込まれ、試合は点を取り合う様相となった。

 その後は風上の東京Vユースが一方的にボールを保持する。リベロ気味にプレーする山本とセンターバックのDF山下柊飛(2年)、DF綱島悠斗(3年)がボールをつなぎ、DF飯島蓮(3年)と三浦のサイドバックは高い位置へ。すると前半36分、右サイドを駆け上がった三浦のクロスに2列目のMF村井清太(3年)が合わせ、リードは2点に広がった。

 一方の前橋育英は186cmの大型FW榎本樹(3年)と168cmのMF長澤壮竜(3年)の“凸凹2トップ”が前線からプレスをかけ、ボールを奪おうと試みる。そんな前半45分、ショートカウンターで左サイドを突破したMF森隼平(3年)がサイドラインをえぐると、クロスはニアの榎本へ。昨年度の全国選手権決勝で優勝決定ゴールを叩き込んだ17歳がダイレクトで合わせ、前半を2-3で終えた。

 前橋育英はハーフタイムに山田耕介監督が動いた。東京Vユースが繰り出す再三の裏抜けに対し、最終ラインを低く設定すると、何度も破られていたサイドはマーカーの役割を徹底。「がっちり守ろう」(山田監督)という狙いを共有し、時には6バック気味の守備もいとわない戦術に打って出た。

 すると後半1分、割り切る姿勢がいっそう効く同点弾が入る。キックオフのボールから左サイドでスローインを得た前橋育英は、森がロングスローをゴール前に配球。強風に流されたボールがGK佐藤篤輝(3年)の前で大きくバウンドし、そのままファーサイドに流れると、タイミング良くジャンプしたFW室井彗佑(3年)が頭で押し込んだ。

 その後はボールをつなぎたい東京Vユースに対し、安定した守備を見せる前橋育英という構図が続いた。前橋育英は後半21分、MF須田晃輝を投入したのを皮切りに、立て続けに3枚の交代カードを使用。同27分には、交代出場したFW深澤康太(3年)が裏に抜け出し、間一髪で綱島にカバーされるという惜しいシーンもつくった。

 ところが後半33分、東京Vユースの用兵が試合のリズムを一変させる。センターバックの綱島に代わってFW三枝新汰(2年)を右ウイングに入れると、山本が最終ラインに入り、1トップの森田がアンカーの位置に。MF石浦大雅(2年)を前線に配備し、後方でボールを握れるような体制に変更した。

 すると後半37分、ついに均衡が破られる。東京Vユースは果敢なインターセプトを見せていた山本がボールを持ち上がると、左サイドへ斜めのパス。シャドーのポジションに入っていた村井がドリブル突破で相手を押し下げ、低いクロスにFW松橋優安(2年)がダイレクトで合わせた。「スピードには自信がある」という背番号11が大きな4点目を奪い、待望の勝ち越しゴールとなった。

 前掛かりになった前橋育英は後半42分、自陣からのロングボールに競り勝った榎本が頭でそらし、深澤がヘッドで狙ったがボールは佐藤がキャッチ。同44分には、室井を下げて184cmDF岡本悠作(3年)を最前線に入れ、昨年度の高校選手権でも猛威を振るった“ツインタワー”戦法で同点の機会をうかがった。

 ところが同45分、東京Vユースはボール奪取からカウンターを試みると、山本のスルーパスに抜け出したのは松橋。飛び出したGK山口瞬(3年)をスピードで一気に振り切って、落ち着いてゴールネットに流し込み、この日の2点目が試合を決定づけるゴールとなった。そのまま試合は終了。打ち合いを制した東京Vユースが勝ち点3を獲得し、前回王者の前橋育英は勝ち点0にとどまった。

(取材・文 竹内達也)
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