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“史上最速選手”へ…G大阪MF倉田が「MERCURIAL MASTERCLASS」受講のFW和田ら阪南大高の選手に成長へのヒント「大事なのはチャレンジし続けること」

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阪南大高FW和田育にアドバイスするガンバ大阪MF倉田秋

 継続的な日本サッカーの発展のためにさらなる普及や次世代選手の育成を促進することを目的としたプロジェクト、「JFA Youth & Development Programme」のオフィシャルパートナーを務めているナイキジャパンは4月2日、「NIKE ACADEMY TOKYO」の特別セッションとして、“史上最速選手”を育成するためのプレミアムクリニック「NIKE ACADEMY MERCURIAL MASTERCLASS」を行った。

「NIKE ACADEMY MERCURIAL MASTERCLASS」は事前選考で選ばれた阪南大高(大阪)の俊足ストライカー、FW和田育(3年)と、名門・京都橘高(京都)の俊足サイドアタッカー、MF高木大輝(2年)を対象に2月26日、27日と2日間にわたってクリニックを実施。その際、ガンバ大阪のMF倉田秋からアドバイスを受けた。第3回となる今回は「MERCURIAL MASTERCLASS」受講者2人のうちの1人、和田が所属する阪南大高の選手たちが「NIKE ACADEMY TOKYO」からスピード、ドリブルをテーマとしたトレーニングを受けた。

 鈴木友規コーチ曰く、サッカーは重心の上下動が大切なスポーツで、力を入れずに自分の肩まで目線を落とした姿勢が一番動きやすく、スピードに乗りやすい姿勢だという。「(スピードコントロールするために)肩の力を抜くこと、視線の位置とか日頃の練習から意識していました」と、前回の反省を受けてトレーニングを積んできた和田は、チームメイトと共にこの点を意識したウォーミングアップから、ボールを使ってスピードに乗ったときの身体の姿勢を確認。途中、和田が足を滑らせるシーンもあり、「(重心の上下動ではなく)足で踏ん張って減速していた」と、鈴木コーチに厳しく指摘された。

 その後、メニューは実戦的なものに発展。サイドの攻防からのシュートや5対5、8対8のゲームを実施した。和田はその中で常に攻撃の意識を高く持ち、精度は「イマイチでした」と課題が残ったシュートを最優先にプレー。前回のクリニックに続いてスペシャルコーチを務めた倉田は、チーム全体に目を向けつつ、和田に「ファーストタッチで仕掛けていくこと。自分がシュートを打つことを考えて動け」と改めて伝え、新たに「シュートを焦って打つのではなく、体のバランスを整えて打つこと。蹴り方も巻いて打ったり、バリエーションを増やせばゴールももっと取れる」と助言。「素直で吸収が早い」と言われるように、和田も考えながらミスを恐れずチャレンジし続けた。

 阪南大高の選手たちは、緊張しながらも倉田からのアドバイス一つ一つに耳を傾け、伸び伸びとプレー。すぐに改善されるわけではないが、今回のクリニックから多くのことを学ぼうとしていた。倉田は閉会の際、「僕が高校生の時、大事にしていたことはチャレンジすること。それをしないと成長もないと思う。今日の練習を見ていてレベルが高いと思ったし、プロになってからサッカー教室をやることがあるけど、その中でも上位に入るポテンシャルを持っていた。あとはそれをどう伸ばすか。僕たちがアドバイスしたからではなく、うまくいかないときは一人一人がどうやったらゴールを奪えるか、相手を抜けるかを一人でも多く頭で考えてやらないといけない」と、成長へのヒントを授けた。

 さらに和田には、「素直に聞くことはもちろん大事だけど、教えてもらったことにプラスして自分で考え、上乗せして練習していかないといけない。そうしないと自分の武器ができない。あとは、それをいかに自分の中で極めてこだわっていけるか。それは誰かから言われてできることじゃない。自分でやるしかない。僕もずっと新しいことにチャレンジしているので、サッカーを辞めるまでチャレンジし続けなければいけない」と語り、今後の成長に期待を寄せた。

 トレーニングを最後まで見届けた阪南大高の濱田豪監督。「今回のクリニックに和田が選ばれたことで、他の選手たちも活躍すればこういったチャンスがあると刺激を受けています」と、快く和田を送り出したという。そもそも、「NIKE ACADEMY MERCURIAL MASTERCLASS」の参加者募集の情報を和田に与えたのは、濱田監督だった。「彼は人間的に素晴らしく、去年の後半ぐらいからチームの中心になってきた選手。もう一皮むけるためには、こういうステージが彼にとって成長できる場だと思いました。あっさりと選ばれるとは思わなかったですけどね」と、冗談交じりに語った。

 指揮官も期待を寄せる和田は、新シーズンから阪南大高のキャプテンを務める。それは濱田監督から言われたわけではない。「自分がチームを引っ張っていけたらと思いました。チームの軸になって引っ張る選手が今年はいないので、僕が頑張っていきたい」。強い気持ちをもって自ら手を挙げた。その姿勢は今回のクリニックでも見られた。もちろん、“経験者”ということで率先してトレーニングを行っていたが、プレー面だけでなく、声を出すなどチームの士気を上げようとしていた。

 今シーズンの高円宮杯JFA U-18サッカープレミアリーグWESTは4月7日に開幕し、同リーグ2年目となる阪南大高は、2試合を終えて1勝1敗。その中で和田は2試合連続ゴールを記録するなど、3ゴールで得点ランキングトップタイにつけている。「今までの先輩、プレミアに上げてくれた先輩たちの想いもある。絶対に降格だけはさせてはいけない。それを最低条件に少しでも上の順位にいけるように頑張っていきたいです」と意気込む和田。「去年は全然得点(4ゴール)を取れていないので、自分が点を取ってチームを勝たせるぐらいの気持ちでやっていきたい」と、自分自身に高いハードルを課している。

 そのためには、「NIKE ACADEMY MERCURIAL MASTERCLASS」で学んだことを実戦で生かさなくてはならない。「今日はシュートを決め切れなかったけど、それは常にできなければいけないこと。そこは意識しないといけない」と、今回は悔いが残る結果だったが、最終回となる第4回は、Jクラブへの練習参加をする予定している。「今まで教えてもらったことを継続しながら、また新しいことを得られるように頑張っていきたいです。Jクラブにも恐れずチャレンジしたいと思います」。疲れた表情の中にも目を輝かせていた和田。細かいことを日頃のトレーニングから意識し、それを継続してやっていく。そして、恐れずにチャレンジし続けてチームを勝たせる選手、“史上最速選手”へと一段ずつ着実に階段を上がる。

(取材・文 清水祐一)

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