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[プレミアリーグEAST]「相当懸けていました」。怖さあった市船の10番MF井上怜が勝ち越しPK

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後半31分、PKを獲得した市立船橋高MF井上怜がガッツポーズ

[4.22 高円宮杯プレミアリーグEAST第3節 市立船橋高 2-2 浦和ユース グラスポ]

 もちろん、先発出場できていない悔しさを持っている。それでも名門・市立船橋高の10番、日本高校選抜MF井上怜(3年)は現在の自分の役割を理解し、そこで何ができるか考え、結果に繋げた。

 この日、井上は1-1の後半15分から出場。その3分後、左中間での縦への仕掛けから一気に加速して左足を振り抜く。クロスを警戒する相手の意表を突くニアサイドへのシュートは、浦和ユースGK石井僚(3年)の好守に阻まれてしまったが、チームに勢いをつけるようなプレー。高校年代屈指とも言えるキープ力の持ち主は時に“コネて”しまうこともある。だが、この日の彼のプレーにはゴールへ向かう迫力、怖さがあった。

 そして31分、味方が前線で競り勝つと、セカンドボールを拾った井上は左中間から迷わず縦に仕掛けてPAへ侵入。切り返そうとした瞬間、スライディングタックルに来たDFの足がわずかに足に当たり、PKとなった。「この試合に相当懸けていました。試合前からシナリオで言っていたんですよ。仕掛けていって、(たとえシュートが打てなくても、DFの)足出てきたところでもらいにいく」。気合十分で臨んでいた一戦、そしてイメージしていた通りのPK獲得に井上は拳を握りしめて咆哮。そして左足PKを難なく決めて2-1とした。

 今春は日本高校選抜の活動が続き、優勝に貢献したデュッセルドルフ国際ユース大会(ドイツ)から帰国したのはプレミアリーグEAST開幕の4日前。オフ・ザ・ボールやボールを持ってからのアイディアの部分といった課題に加え、チームメートと連係を深める時間がなかったこともあって現在はベンチスタートが続いている。先発できない悔しさはもちろんあるが、「どう入ったらいいのかとか、どういう心構えでいればいいのかは、慣れてきました」という井上は、限られた時間の中で結果を残し続ける意気込みだ。

 この日は一つ結果を残したが、結果はドロー。現状に不甲斐なさを感じているし、もう1点獲っていれば結果は変わったという思いもある。満足感はない。「今日は結果出したけれども、流経戦や富一戦は結果を出していないし、この試合だけで信頼されるかと言ったら違うと思うので、こういうプレーを継続していけるようにしたいです。自主練で誰よりもシュートを打っているのでシュートは最近自信がある。シュート打つためのドリブルにしていかないと、これから通用しないと思う。できることは増えてきていると思うので、途中出場は難しいと思うんですけれども結果を残していきたい」と力を込めた。

 高校選抜では最大のライバル・流通経済大柏高で10番を背負ったMF菊地泰智(現流通経済大)の隣にいる姿が良く見られた。「泰智くんは凄いなと思ったし、本物だなと思いました。外人相手にやりたい放題だし、シュートも持っているし、ピッチ外でも一番仲が良かった」。同じレフティーからシュートの部分など学ぶことは多かった。唯一の下級生として経験した欧州遠征で学んだことも、10番は必ず市船での結果に繋げる。

(取材・文 吉田太郎)
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