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「だれも何も言ってくれなかった」“後ろ盾”失い…ハリル前監督、西野氏へ皮肉も

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記者会見するバヒド・ハリルホジッチ前監督

 日本代表監督を解任されたバヒド・ハリルホジッチ氏が27日、都内の日本記者クラブで会見し、日本サッカー協会の田嶋幸三会長、西野朗前技術委員長(現日本代表監督)の対応に不満を述べた。

 今月9日に会見した田嶋会長は「選手との信頼関係が多少薄れてきた」などと解任の理由を説明したが、「なぜ会長にしても西野さんにしても、『ハリル、問題があるぞ』と一度として言ってくれなかったのか。本当に一度としてだれも何も言ってくれなかった」と、前触れのない突然の解雇通告に怒りをにじませた。

 3月23日のマリ戦後、ハリルホジッチ前監督は西野氏とともにベルギーのリエージュからフランスのパリに移動し、フランス対コロンビアの国際親善試合を視察した。「リエージュに戻ったのが午前4時、5時という遅い時間だった。そこで(西野氏から)話があった。『一人の選手があまりいい状態ではない』と。『私は分かっている。そのことはあとで解決できる』と言った」。しかし、その後、事態は急展開。「残念ながらそこでいろんなことが起こり、会長がたくさんの選手やコーチといろいろ連絡を取った」という。

 解任理由に挙げられた選手とのコミュニケーション不足については「選手との問題はなかった。3年間、常に連絡を取り合ってきた。何度、海外組の選手と電話で話したことか。国内組もそうだ」と述べ、繰り返し否定した。「不満を漏らしているのは2名でしょうか。私には(選手から)『感謝している』『残念だ』『ありがとう』と、15人ぐらいがメッセージを直接送ってきている」と反論する一方、西野氏との関係については「確かに彼とのコミュニケーションは非常に少なかったかもしれない」と認める。

 ハリルホジッチ前監督の招聘に尽力したのは霜田正浩元技術委員長(現レノファ山口監督)だった。しかし、16年3月に田嶋氏が会長に就任すると、西野氏が後任の技術委員長に就任。霜田氏はナショナルチームダイレクターとして引き続き技術委員を務めたものの、16年11月に辞任した。

 ハリルホジッチ氏とすれば“後ろ盾”を失った格好で、その結果が両者のコミュニケーション不足にも影響したと見られる。田嶋会長は9日の会見で「最後までハリルホジッチ監督のチームをサポートし続けた西野氏を選んだ」「技術委員会がまったく機能していなかったというのは、まったくそんなことはない。彼らは必死になって代表チームをサポートし、どう改善していくかをやっていたのは事実」などと主張したが、これについても真っ向から反論した。

「みなさんからの質問がないので申し上げないといけないが、会長が記者会見で『技術委員会がコミュニケーションのところでたくさんの修復を試みた』と話していたが、技術委員会の存在さら、私は知らなかった。だれも私のところに来て話をすることはなかった」。そう語気を強め、サポートどころか、“孤立無縁”の状態だったことを示唆した。

「西野さんはあとから加わったわけだが、技術委員長の役職を初めてこなす方だった」。指導者としてのキャリアを歩んできた現日本代表監督とは「すべてのトレーニング、会議で常に一緒にいた」が、「このリストで行こうかと提案したとき、彼の意見を求めたりもした。あまり多くを語らない人だった」と感想を口にし、「すべての練習にも彼は参加していたが、いつも『いや、よかった』と言ってくれた。一度だけ西野さんに聞かれたのが、『フランスでの技術委員長はどういった仕事をするのですか』ということだった」と皮肉交じりに語った。

(取材・文 西山紘平)

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