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[関東大会予選]昨年超えへ新しい挑戦進める日大藤沢、強さと課題も見せて1-0勝利:神奈川

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日大藤沢高のFW平田直輝は決勝ゴールを決めた

[4.28 関東高校大会神奈川県予選5回戦 藤沢清流高 0-1 日大藤沢高 日大藤沢高G]

 28日、平成30年度関東高校サッカー大会神奈川県予選5回戦が行われ、第1シードの神奈川県1部リーグ勢8校が登場。第1シードの日大藤沢高が1-0で藤沢清流高に勝利した。日大藤沢は30日の準々決勝で相洋高と対戦する。

 昨年はインターハイで初の準優勝。日大藤沢は結果が出たことを継続するのではなく、新しいチャレンジをしている。ダブルボランチの4-3-3から、MF梶山かえで主将(3年)を1ボランチにした4-3-3システムへ変更し、戦い方も変えた。

 佐藤輝勝監督は言う。「新しいトライをしています。そのためには勇気が必要でした。でも、新しいことは(選手たちへの)メッセージ。自分たちで新しいサッカーを作ろうと」。昨年を越えるために1月から新しいトライを始めてきたが、特に3月頃は結果が出ず、フェスティバルは下位に沈んだ。だが、後ろを振り向いて昨年成功した形に戻すのではなく、前を向いて「最良のバランス、チーム力を見つけていく作業」(佐藤監督)を継続。また、神奈川県で唯一県1部リーグ、2部リーグの両方を戦う日大藤沢は、激しい競争もあって好転しつつある。

 この日は先発11人中8人が2年生。昨年のインターハイで10番を背負い、大会優秀選手に選出されたMF比留間輝(3年)もベンチスタートとなり、リーグ戦で結果を残してきた10番FW小林来生(2年)やFW平田直輝(2年)が先発のピッチに立った。

 序盤はその日大藤沢がプッシュ。中盤、最終ラインから大きな展開のパスを入れ、右SB櫻井風我(3年)と左SB多田夢都(2年)の両DFやMF植村洋斗(2年)がハイサイドで攻撃に絡んでくる。植村の抜群の個人技や小林の抜け出し、球際で強さを見せる平田を活かした連係からシュートまで持ち込むシーンが続き、いつゴールをこじ開けてもおかしくないような展開となった。

 そして17分、多田が放ったストレート軌道の右CKをGKの前に飛び込んだ平田が豪快に頭で決めて先制した。一方、12年度の優勝校・藤沢清流は我慢しきれずに被弾。奪ったボールをなかなか繋げずに苦しい時間帯が続いていた。それでも右足で絶妙なボールをスペースへ落とすMF岡田達也(3年)を起点としたカウンターなどで反撃。左SB石野直哉(3年)のクロスなどがゴール前に入り、会場を沸かせる。

 日大藤沢はSB櫻井が再三右サイドを駆け上がり、38分にはDFの頭上をわずかに越えるクロスで決定機を演出。また鮮やかなパスワークから小林がフィニッシュへ持ち込むシーンもあったが、藤沢清流は背番号30のGK遠山翔也(3年)が好セーブを見せて0-1で折り返す。

 後半立ち上がりはDFラインを高く設定した藤沢清流が押し返す。5分に日大藤沢SB櫻井にポスト直撃のシュートを浴びたものの、中盤でMF近藤匠(3年)らがよくボールを繋いで攻撃の回数を増やす。そして、11分には右SB小林智輝(3年)のアーリークロスにMF田島広登(3年)が飛び込み、最後はこぼれ球から10番FW山田拓海(3年)が左足シュート。だがゴール至近距離からのシュートは日大藤沢GK山田勇斗(3年)がストップしてスコアは動かない。

 日大藤沢は不用意なミスがあってピンチを迎え、シュートも浴びた。また決定力も欠いたが、長身CB青木駿人(2年)や梶山が要所を締めていたほか、昨年の全国準Vの要因でもあった粘り強い守備を見せながら試合を進める。藤沢清流は山田のスピードや岡田の粘り強いキープを活かして反撃し、終盤もシュート数を増やしていたが、最後まで1点を奪うことが出来ず。1-0で勝った日大藤沢が準々決勝進出を決めた。

 日大藤沢の佐藤監督は今年のチームについて「歴代ナンバー1というほど上手い子が来ている。でも、一体感は一番無いと言っている」。選手たちも認める通り、現状の力、まとまりの部分もまだまだだが、梶山は「去年は苦しい時間帯に個人で打開していた。苦しい時間が来ても個人に任せるのではなくて、自分たちが一つ一つ小さな力を合わせてチーム一丸となって戦うところは去年よりも大きいと思っている。まだ噛み合っていないけれども、噛み合ってくれば良くなっていくと思う」と自分たちに期待する。

 春先に結果が出ず、3年生たちは自分たちの緩さがないか、プレーで見せることができているか、話し合いながら改善してきた。昨年の全国決勝進出は「目標が(はっきりと)見えたことが財産」(佐藤監督)という貴重な経験。同時に目標の日本一になるためには足りないものがあると感じたからこそ新しい挑戦を進めてきた。

 梶山は「去年のインターハイは苦しい時が多かったりして、自分たちの時間じゃない時に精神面でのモチベーションとか学べたし、ちょっとの際のところで譲ったりすると流経(流通経済大柏高)みたいなチームに負けてしまう。あと一歩のところを詰めていければと思います」と語った。目標は「日本一」(梶山主将)。この日の勝因にもなった粘り強く戦う良さを忘れることなく、新たな積み上げを続けて今年もまた歴史を変える。

(取材・文 吉田太郎)

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