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[プリンスリーグ九州]巧さとタフさ兼ね備えた鳥栖U-18が大津に5発快勝!開幕6連勝!

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交代出場組も躍動したサガン鳥栖U-18。後半44分にはFW打越隼が5点目のゴール

[5.5 高円宮杯プリンスリーグ九州第6節 大津高 1-5 鳥栖U-18 大津多目的G]
 
 鳥栖U-18がインパクト十分の勝利――。高円宮杯JFA U-18サッカープリンスリーグ九州2018は5日、開幕5連勝で首位のサガン鳥栖U-18(佐賀)と3勝2分で2位の大津高(熊本)が直接対決。“アウェー”の鳥栖が5-1で快勝し、連勝を6へ伸ばした。

 今年、日本一を本気で狙う両雄による注目の首位決戦。今回は鳥栖の強さが際立った。大津はMF福島隼斗主将(3年)と“植田2世”CB吉村仁志(3年)の注目2選手がケガ明け、そしてインターハイ予選を控えているため出場を回避。その中でMF松原亘紀(3年)やFW奥原零偉(3年)が中心になって食い下がっていたが、「個人個人としてはそんなに能力はないんですけれども一つのチームとして戦えるのが持ち味」(右SB林幸多郎主将、3年)という鳥栖が5-1で快勝した。

 注目エースFW石井快征(3年)、CB平瀬大(3年)、MF松岡大起(2年)の3人がトップチームに2種登録されている鳥栖は5分、松岡の折り返しから石井が右足シュート。早速、大津ゴールを脅かすと7分、平瀬の縦パスが相手守備陣の連携ミスを誘う。CBとGKの間に潜り込んだFW秀島悠太(2年)が右足で先制ゴールを押し込んだ。

 互いにボールを持つと後方から正確にボールを繋ぎ、フィニッシュ、ラストパスまで持ち込んで行くような質の高い攻撃。特に先制した鳥栖がゆとりのあるような攻撃を続ける。縦パスのコースを切られていても、GK板橋洋青(3年)や平瀬と久保勇晴(3年)の両CBが度々正確なフィードをSHの足下へピタリとつけて、そこから攻撃をテンポアップ。加えて、前線で存在感放つ石井が仕掛け、サイドへのパスでチャンスを演出していた。

 一方の大津は前線の奥原が巧みな身のこなしでマークを外していたほか、188cmの俊足FW大崎舜(3年)が起点となってチャンスを作り出す。20分には松原からの縦パスが入ると、奥原が前を向き、最後はPAへ侵入した大崎が強引にシュートまで持ち込んだ。前半半ばを過ぎると、左SH高見柊真(3年)も突破口になるなど個とグループでの仕掛けで、400人の地元のファンを沸かせていた。

 38分、鳥栖が大津を突き放す。右中間から松岡の放った右足FKがクロスバーを直撃。この跳ね返りを平瀬が頭で押し込んだ。大津は前半アディショナルタイムに右CKからファーサイドのCB西原大地(3年)が決定的なヘッド。だが、鳥栖はゴールライン上でDFがクリアして得点を許さない。

 すると後半3分、鳥栖は右中間から縦に仕掛けたMF兵働透生(3年)が1対1を制してラストパス。これを秀島が後ろ足で巧みにゴールへ流し込んだ。リードを広げた鳥栖は、この日最後までスピードのある動きを見せつけていた石井と力強い突破でDFラインに穴を開けていた秀島を中心に、アイディアのある多彩な攻撃を披露。次々と決定的なシーンを作り出し、初先発の1年生MF西村洸大もクロスバー直撃の左足ミドルを打ち込んだ。

 27分には右サイドの兵働がアーリークロスをDFラインの背後へボールを落とすと、走り込んだ交代出場MF相良竜之介(1年)が左足ダイレクトボレーを突き刺す。さらに44分には右サイドでDFと入れ替わった交代出場FW打越隼(3年)が右足シュートを決めた。大津は失点を重ねても立ち向かい続け、アディショナルタイムに高見が意地のゴール。主力不在の中でもチャンスを幾度も作り出す力を見せたが、それでも不要な失点が多く、反省点の多い試合となった。

 シュート20本で5点を奪った鳥栖の金明輝監督は「DFラインの安定感はもうちょっと」と苦言を呈することも忘れなかったが、「一丸となって良かった」と選手たちを称える。現時点でのチーム力は優勝した昨年にはまだ及ばないという。それでも、「意識の高さは昨年以上に持っているチームです」と指揮官。林は「監督は結構鼓舞して、勝っている時でも言ってもらえていますし、助かっています」と語っていたが、勝っても、負けても厳しい金監督の要求に選手たちは全力で応え、それ以上のプレーをしようとしている。

 どこにも負けない走力と攻撃のアイディアも伸ばしながら、勝ち続けるか。今年の目標はプレミアリーグ昇格と全国タイトル奪取。林は「プリンスは一時中断期間に入りますけれども、この調子でクラブユース予選も優勝して、全国でも頂点という結果を残したい。今トップチームの調子が良くないので、自分たちが勝ち続けていい影響を与えられたらいいと思っています」。プレミアリーグの一つ下のステージで強さを見せる鳥栖。プレミアリーグに昇格し、より成長することのできる環境を手に入れることができるか。今年、才能たちはそれぞれがトップチームデビューを目指しながら、U-18チームでは貪欲に結果を求める。

(取材・文 吉田太郎)
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