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[プリンスリーグ九州]注目CB擁する九国大付が長崎総科大附撃破、インハイ予選へ弾みの1勝

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後半12分、九州国際大付高CB大川智己が先制PKを決めた

[5.6 高円宮杯プリンスリーグ九州第6節 九州国際大付高 1-0 長崎総合科学大附高 九州国際大G]

 6日、高円宮杯JFA U-18サッカープリンスリーグ九州2018第6節の九州国際大付高(福岡)対長崎総合科学大附高(長崎)戦が行われ、九国大付が1-0で勝った。

 九国大付が待望の初白星だ。終始強めの雨が降り続く中で行われた試合は序盤、長崎総科大附が攻勢に出た。ロングボールや左SB長尾和泉(3年)のロングスローで相手の背後を狙うと、開幕戦でハットトリックを達成しているU-17W杯日本代表MF鈴木冬一(3年)やFW千葉翼(2年)、FW下地春也(3年)がゴール前に侵入。積極的にシュートを放っていく。

 11分には相手DFの判断ミスから抜け出した千葉が決定的なシーンを迎えたが、ここは九国大付のGK石田晴也(3年)が距離を詰めて難を逃れた。その九国大付は4バックで試合をスタートしたが、序盤のうちに九州屈指のCB大川智己主将(3年)、CB吉田晃(2年)にMF花田周勇(2年)を加えた3バックへ移行。杉山公一監督は「ズルズル下がり、裏を取られていたので3バックにした」と意図を説明していたが、いずれも180cm超の大型3バックによって守備のバランスを整えた九国大付は後方の守りが落ち着き、相手の攻撃に慣れたこともあって、早い時間帯でペースを取り戻す。

 司令塔のMF田中龍人介(3年)が前向きにボールを持つシーンが増え、そこからの大きな展開で両WBを活かした攻撃や、切り替えの速いカウンター。また高い位置でセカンドボールを拾ってからの素早い仕掛けでシュートにまで持ち込んだ。 

 だが、長崎総科大附もスピードある攻撃からチャンス。37分にはFW竹森海(3年)のシュート性の右クロスがクロスバーを叩き、44分には千葉が決定的なヘディングシュートを放った。後半立ち上がりにも鈴木が個人技からのシュートで相手ゴールを脅かす。

 だが、九国大付は大川が圧倒的な高さを披露するなど、球際の攻防で互角以上と言えるほど渡り合っていた。危ないシーンをGK石田が凌いで無失点のまま試合を進めると、後半8分に攻撃のキーマン・MF村上育海(3年)とMF森永将斗(2年)を同時投入。勝負に出た直後に先制点を奪う。11分、敵陣コーナー付近から相手がGKへバックパスするところを狙っていたFW堀金凌明(3年)がインターセプトし、GKにファウルされる形でPKを獲得する。

 これをキッカーの大川が右足で決めて値千金の1点を奪い取った。長崎総科大附はCBとして先発していた注目FW柏木澪弥(3年)を前線に上げて攻撃の圧力を強める。だが、小嶺忠敏監督が「点が獲れないですね」と首を振ったように、幾度かゴール前までボールを運んでいたものの、相手ゴールを破ることができない。

「まず開幕戦から勝ち点獲れていなくて苦しかったし、インターハイ前の最後の公式戦で勝ちたいという気持ちも強かった」と田中が説明していたが、初勝利を目指す九国大付はピッチ外のサブ組、応援組含めて一体感ある戦い。40分に退場者を出した長崎総科大附に対し、九国大付は最後まで集中力を切らさずに戦い、1-0で競り勝った。

 第2節から第5節までの4試合(この間、2分2敗)はいずれも勝機がありながら勝ち切ることができなかった。田中は「チームとして良い守備から良い攻撃に繋げていくサッカー。開幕戦から良い守備はできていた。きょうは前に行く姿勢がいつもよりも強かった」と説明していたが、この日は前への気持ちと1勝への執念が結果に結びついた。

 Jクラブへのキャンプ参加も経験している大川は「ずっといつも惜しい試合だった。勝ち切るだったり、勝負強さが足りなかったのできょうの勝ちは大きい。インターハイは全国行きたいので、チーム一丸となって走ったり、球際だったり、練習からきっちりやって、ヒガシ(東福岡)を倒して全国で勝ち上がっていくチームになりたい」。大黒柱の大川を中心とした伝統の堅守、そして例年に比べてWBの攻め上がりやキック精度高い田中、パンチ力ある村上、高校、大学で日本一を経験しているMF森永卓(現新潟シンガポール)を兄に持つ技巧派MF森永が絡んだ崩しなど攻撃面でも特長のある九国大付。強敵から挙げた1勝を自信に激戦区・福岡突破を目指す。

(取材・文 吉田太郎)
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