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『憧れの日立台』で果たした親孝行…川崎F鈴木雄斗がJ1デビュー戦でAT劇的決勝弾

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決勝弾が決まった直後、チームメートに祝福されるMF鈴木雄斗

[5.12 J1第14節 柏1-2川崎F 三協F柏]

 憧れの“日立台”で迎えたJ1デビュー戦。ピッチに立ってわずか5分間で連敗中のチームを救ってみせた。川崎フロンターレMF鈴木雄斗は後半アディショナルタイム2分、MF長谷川竜也のクロスに頭で合わせて決勝点をマーク。試合後には記念のボールを大切そうに抱え、取材エリアに姿を現した。

 鈴木にとって、ここ日立台(三協フロンテア柏スタジアム)は小中学生時代を過ごした思い出の地。父・康仁さんが柏レイソルのトップチームでGKコーチを務め、自身もアカデミー組織に所属していた縁ある場所だ。「自分が見ていた時はまだ(改装前で)ゴール裏が反対にあった」(鈴木)。そんな憧れのピッチで、初めてJ1リーグ戦のベンチ入りを果たした。

「試合前にここに入った瞬間、J2のことを悪く言うわけではないけど、J1は雰囲気が違うと思った。すごいな……と圧倒された。だからこそ、絶対に試合に出たいと思った」。そんな24歳の出番は緊迫した最終盤にやってきた。後半41分、DFエウシーニョとの交代で右サイドバックに入り、これが記念すべきJ1リーグ戦デビュー。だが、ドラマはこれだけにとどまらなかった。

 猛攻をしかけた後半アディショナルタイム2分、共にベンチスタートとなった長谷川が左サイドでボールを持つと、最終ラインから一気にPA内に駆け込んだ。「すごい良いボールを蹴ってくれた」と身体ごと押し込み、ボールはGK中村航輔の手をすり抜けゴールイン。「(長谷川とは)試合前から話していて、クロスはファーに上げると話していたけど、まさか逆のパターンになるとは……」と頬をほころばせた。

 メインスタンドにはこの日、両親を含む多くの家族が総出で応援に訪れていたという。「まさかこのピッチに帰ってくることができるとは……不思議な感じです」。そう感慨深そうに話した鈴木の手には、初ゴール記念のボールが大切そうに抱えられていた。「これは……父にあげようと思います」。1年半ぶりの2連敗からチームを救ったゴールは、特上の親孝行の一撃でもあったようだ。

(取材・文 竹内達也)

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