beacon

[関東大会予選]創部18年で上り詰めた頂点。宇都宮短大附が初の栃木制覇!!

このエントリーをはてなブックマークに追加

初優勝を果たした宇都宮短大附高イレブン

[5.13 関東高校大会栃木県予選決勝 宇都宮短大附高 1-0 佐野日大高 真岡市総合陸上競技場]

 宇短附が悲願の初優勝! 平成30年度関東高校サッカー大会栃木県予選決勝が13日に行われ、宇都宮短大附高佐野日大高が激突。宇都宮短大附が1-0で勝ち、初優勝を果たした。決勝を戦った2校は6月に群馬県内で開催される関東大会に出場する。

 創部した00年に生まれた“努力の世代”たちが、宇都宮短大附に初タイトルをもたらした。優勝を告げるホイッスルが雨中のピッチに響き渡ると、選手、スタッフ、応援の選手たちがそれぞれ輪を作って歓喜の抱擁。ゲーム主将のCB佐藤優悟(3年)は「チームみんなで感謝の気持ちを忘れずに、応援してくれる人たちの分まで戦えたんじゃないかと思います」。栃木の高校サッカーの歴史に新たな1ページを刻むタイトル奪取となった。

 試合は序盤にスコアが動いた。7分、宇都宮短大附は本来アンカーのFW谷俊輔(3年)が左中間でFKを獲得。キッカーのMF長谷川流星(3年)がゴール前になだれ込んだ選手たち目掛けて右足でボールを入れる。すると、枠を外さずにニアサイドへと蹴り込まれたボールは混戦の間を抜けてそのままゴールイン。今大会5試合を34得点無失点で勝ち上がってきた宇都宮短大附が幸先良く先制点を奪った。

 宇都宮短大附は自陣深い位置からでもGKを交えてのポゼッションを徹底。加えてCB佐藤がハイサイドの選手へ見事なロングボールをつけるなど変化も加えながら攻めていく。一方、前線から相手のパスコースを切ってサイドへ追い込む佐野日大は、ショートカウンターでビッグチャンス。25分、左コーナー付近でボールを奪い、MF岡本海(3年)の折り返しを10番FW山田大樹(3年)が左足ダイレクトで狙った。

 だが、このシュートを宇都宮短大附GK雨宮由和(3年)がビッグセーブ。宇都宮短大附は相手の縦に速い攻撃を180cmCB佐藤と、今大会負傷欠場の注目CB吉川義人主将(3年)の代役として急成長を見せているCB長大樹(2年)を中心に跳ね返す。そして中盤の底の位置で“MOM級”のプレーを見せたMF岩本敬太(2年)がセカンドボールに絡み、DFラインを良くカバーしていた。

 佐野日大は前線の競り合いの強さを活かし、後半8分に再び決定機。右中間を抜け出したMF溝口寛人(3年)が右足を振り抜いたが、GK雨宮の手を弾いたボールはクロスバーをヒットする。宇都宮短大附もサイド攻撃からチャンスを作り出し、左クロスに右SB森下陽輝(3年)が飛び込むシーンがあったが、佐野日大は身体を張った守備で2点目を許さない。

 終盤、1点を追う佐野日大は両サイドからのアーリークロスでゴール前のシーンを増やし、37分には左サイドからの崩しからMF廣瀬龍也(3年)がゴール前に潜り込む。だが、ベンチから選手たちを鼓舞していた吉川が「押し込まれる時間帯もありましたが、GKとDFラインが一体となって頑張っていたので非常に良かったと思います」と評したように、宇都宮短大附はゴール前で2人、3人が身体を投げ出して行く手を阻むなど、各選手がゴールを守ることへの責任感の強さを表現し、一体感を持って1点リードを守り続ける。

 そして1-0で試合終了。岩崎陸監督とともにチームを強化してきた前監督の前田貴広副部長は「素直に嬉しいです。(開幕直前の吉川の怪我によって)チームはまとまりました、新人戦1回戦で負けたこともチームを成長させてくれました。学生生活の取り組みが変わり、隙がなくなった」とアクシデントや悔しい思いがチームを強くしたと説明する。

 MF赤澤蓮(現順天堂大)ら注目選手が複数いた1学年上の世代が卒業し、不安視されていたが、「できないことを理解して、できるように地道にやってきた。良い意味で積み上げられた」(前田副部長)という“努力の世代”たちが初優勝。栃木の新たな勝者となった。

 人工芝グラウンドを持ち、人気校でもある宇都宮短大附の部員数は現在、170人にものぼる。今後も楽しみなチームだが、今大会不出場の矢板中央高や佐野日大、真岡高など力のあるチームの多い栃木で勝ち続けることは簡単なことではない。それでも、「また新しい景色を見せてあげたい」(前田副部長)、「いい波に乗っている。関東行って、インターハイ、選手権でいい結果を残せるように頑張っていきたいです」(谷)という宇都宮短大附がここからさらに積み上げて、2冠、3冠を勝ち取るチームになる。

(取材・文 吉田太郎)

TOP