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[MOM527]関西大DF荒木隼人(4年)_大所帯をまとめる心優しき主将、関関戦で今季初完封

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大所帯の関大を統率する主将・DF荒木隼人

[5.3 第96回関西学生L前期第5節 関西大2-0関西学院大 キンチョウスタジアム]

 関西学生リーグ前期第5節・関西大関西学院大の対戦は“関関サッカー定期戦”としても開催される、両チームにとって重要な一戦だ。対戦時の順位やチーム状況がどうであろうと、常に互いの意地と意地が激しくぶつかり合う試合となる。この日も、多くの観客を魅了する熱い戦いが繰り広げられた。

 試合はCKから先制した関大がペースを握り、前半を折り返す。後半は関学大が攻勢を強めるが、関大はMF牧野寛太(3年=履正社高)による直接FKで加点。相手の猛攻を全員で集中して守りぬいた関大が、今シーズン初の無失点で定期戦の勝利を飾った。DF荒木隼人(4年=広島ユース)はようやくの無失点勝利に、「ここまで、崩されてというより自分たちのミスから取られていたので、今日は引き締めようと90分集中し、気合も入っていい守備ができた」と笑顔で試合を振り返った。

 前田雅文監督が「うちのDF陣は、どこが相手であっても失点を0か1で抑え切れるだけのポテンシャルはある。今は、まだその力を十分に発揮できていない」と期待を寄せる守備陣を、荒木はディフェンスリーダーとして、さらに主将としてまとめ、統率する役割を担う。ルーキーイヤーからコンスタントに試合経験を重ね、関西学生リーグの優秀選手や関西選抜にも選出。昨年のインカレでも、高い能力を持った関東の攻撃陣を封じる活躍を見せたが、惜しくも3位。頂点に届かなかった悔しさを胸に「チームを日本一に導きたい。中心になって強くしたい」という思いで主将となった。

 歴史と実績を持つ伝統校である関大は、現在200人を超える大所帯。そのチームを率いる主将は、ただサッカーの技術に優れていればよいというものではない。“全員サッカー”を掲げるチームにおいて、全部員に方向性を示し、先頭に立っていく覚悟が必要だ。誰もが「優しい好青年」と評する荒木にとって、それは容易なことではない。前田監督の「荒木はキャプテンとしては優しい。チームを思っているというのは感じるが、関大の主将をやるからには成長し続けなくてはならないし、今のままではダメ」という厳しい評価は本人も理解しており、「主将として厳しいことを言わないとダメなときに、わかっていても言えていない。甘いところがある」と認める。

 だが、「もっともっとみんなのことを考えないと。しっかり全部員のことを思って、話すことができれば、影響力を出していけると思う」と自分の課題を口にする荒木は、その優しさでチームを動かしていける人物でもある。「周りが荒木に反応して、互いに支えあってくれれば、もっと良い影響力を発信していける」と前田監督も、主将の長所を生かすことがチームの成長につながると期待する。

 関西では誰もがその力を認めるCB。卒業後はプロへの道を希望し、シーズン前にはJリーグチームの練習にも参加したが、「今はチームのことが、一番。チームのためにプレーする。チームで良い成績を出せれば、自分の道も拓ける」とリーグ戦にすべての力を注ぎこむ。優しく頼もしい主将は、チームのためにタフに戦い、勝利への道を切り拓いていく。

(取材・文 蟹江恭代)
●第96回関西学生リーグ特集

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