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近大高専が三重決勝リーグ初戦を制す!高専チーム初の全国出場へ前進!

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後半7分、先制PKを決めたCB前田優希を中心に喜ぶ近大高専イレブン

[5.19 総体三重県予選決勝リーグ第1節 上野高 0-1 近大高専 三重交通Gスポーツの杜 鈴鹿]

 平成30年度全国高校総体「2018彩る感動 東海総体」サッカー競技(インターハイ、三重)への出場2枠を懸けた三重県予選は19日、ブロックトーナメントの勝者4校による決勝リーグに突入。上野高と近大高専との一戦は近大高専が1-0で勝ち、勝ち点4を獲得した。

 これまで、高等専門学校(高専)チームの全国大会出場はない。その歴史を近大高専が変えようとしている。もう一試合をPK戦で制した三重高に勝ち点2差をつけて決勝リーグ首位発進。10番CB前田優希(3年)が「監督だけでなく、サッカー部じゃない先生にも『(全国は)初めてやから頑張れ』と言われる」と語り、GK黒川純誉主将(3年)が「近大高専は他の部活動も盛んなので他のクラブに負けないように、初出場できるように頑張っている。地元の名張出身で新しい歴史を作りたいと思ってこの学校選んだので、全国に出たいという気持ちは強いです」と口にしたように、選手たちも自分たちが全国初出場を成し遂げる意気込みだ。

 強風注意報が発令されていたこの日、非常に強い風が吹き荒れる中で先にビッグチャンスを迎えたのは選手権出場11回の古豪・上野だった。前半3分、右サイド後方からのFKをMF古屋来季(2年)が頭で合わせると、ボールは右ポストを叩く。風下だった上野はDF川口善伸(3年)を中心とした3バックが相手の攻撃を冷静に跳ね返すと、古屋のダイレクトパスや、10番MF森澤優斗(1年)の背後への配球などで近大高専に主導権を与えなかった。

 ただし、近大高専は前半半ば頃から落ち着いてポゼッション。そして、左SB田中崇太郎(3年)が突破力を発揮して相手の守備網に穴を開けるなど、徐々に押し込む時間を増やす。30分過ぎには右サイドでの崩しからMF山口和真(3年)、FW中村榛(2年)が決定機を迎えた。

 そして後半6分、近大高専はインターセプトからCB和木龍生(2年)がPAへ縦パスを入れると、中村との連係からFW武山祥人(3年)が前向きに仕掛けてPKを獲得。これをキッカーの前田が右足で左隅に決めて先制した。

 さらに田中の攻撃参加などからゴール前にクロスを入れて2点目を狙ったが、上野はその背後を突く形で攻め返す。後半に投入されたドリブラーFW西村綾真(2年)やFW山下修史(3年)が推進力をもたらし、クロスやシュートにまで持ち込んでいた。

 近大高専は向かい風の中、押し込まれる形となったものの、しっかりとリスク管理をしていた前田と和木の両CB、GK黒川純誉主将(3年)を中心に要所を封じて得点を許さない。最後は武山をCBに下げて相手の反撃に対応した近大高専に対し、上野も34分に右中間を抜け出したMF白武祐馬(3年)が決定的な右足シュートを放ったが枠を捉えず。1点リードを守った近大高専が貴重な白星を勝ち取った。

 近大高専の亀井俊彦監督は試合後、「あまりにも内容が良くなかった」と首を振った。ボールを上手く動かしながら、相手を引き出してスペースを作り、そこへ入り込んでいく攻撃をすることができず。各選手が頑張ることを貫いて勝利したが、指揮官は全国での戦いを見据えて厳しい評価を下していた。

 それでも、この日の白星によって全国初出場へ向けて大きく前進したことは確か。亀井監督は「(全国へ)行きたいですね。(全国に出ていくことで)高専というものを注目してもらえれば。(継続して立派に実施されている)高専大会を知ってもらえるチャンスでもある」と期待する。

 高専は5年一貫教育で高校サッカーができるのは3年生まで。近大高専では、高校サッカーから“卒業”した4、5年生が夏など一緒に練習を行い、後輩たちにアドバイスしてくれたり、アルバイトして差し入れしてくれたりするのだという。前日には“仮想・上野”となった彼らとトレーニング。中村は「(先輩たちも含めて)みんな仲が良いですね。(先輩の)存在は大きいですね。上手い人もいますし、アドバイスもしてくれる」と感謝していた。

 全国出場を果たし、その先輩たちにも恩返しすることができるか。初戦に続いて第2節も同じ伊賀地方勢の伊賀白鳳高と対戦。中村は「来週の練習で調整してきょうみたいな試合じゃなくて圧倒できるような試合をしたいです」と意気込み、黒川は「同じ地区のチームで負けられない戦いになる。いい準備して勝てるように頑張りたい」と力を込めた。この日、満足の行く内容の試合ができなかったことは彼らのエネルギーに。一週間、最高の準備をして、それをピッチで表現して全国初出場を決める。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2018

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