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三重の新たな伝統校へ。県3連覇、全国4強目指す三重が伊賀白鳳にPK戦で勝利

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PK戦を制した三重高イレブンが静かに勝利を喜んだ

[5.19 総体三重県予選決勝リーグ第1節 三重高 2-2(PK6-5)伊賀白鳳高 三重交通Gスポーツの杜 鈴鹿]

 19日、平成30年度全国高校総体「2018彩る感動 東海総体」サッカー競技(、インターハイ、三重)三重県予選は決勝リーグ第1節を行い、大会2連覇中の三重高が2-2で突入したPK戦の末、伊賀白鳳高に6-5で勝利。勝ち点2を獲得した(70分勝利は勝ち点4、PK戦負けは勝ち点1)。4校で行われる決勝リーグの上位2校が地元開催のインターハイに出場。三重は26日の第2節で上野高と、伊賀白鳳は首位・近大高専とそれぞれ対戦する。

 三重の新たな名門校へ、階段を登り続ける三重が全国へ一歩前進した。伊賀白鳳との決勝リーグ初戦は2度リードを許しながらも追いついてPK戦へ。先攻・伊賀白鳳の6人目、7人目が枠を外したのに対し、三重も6人目が伊賀白鳳GK福留海音(3年)に止められたものの、最後は7人目の左SB飯坂唯人(2年)が右足シュートを決めて決着をつけた。

 強風のため、前半半ばまでなかなかボールが落ち着かなかったが、風上の伊賀白鳳が先にリズムを掴む。相手のプレッシングを落ち着いていなすなど余裕のあるプレーを増やした伊賀白鳳は俊足FW藤岡翔太(3年)とボールの収まるFW津野充都起(3年)の強力2トップを活用。22分にはスピードを活かして左サイドを突破した藤岡が決定的なラストパスを入れる。

 33分には中盤でボールを奪うと、左利きのMF繁田晃喜(3年)が切り返しで相手選手をかわし、DFラインとGKの間にループパス。これに走り込んだ津野が上手く相手の前に右足を伸ばして先制点を決めた。

 一方の三重はMF浅野響(2年)やMF奥村和暉(3年)がボールを引き出していたものの、伊室英輝監督が「気持ちの部分。(相手をリスペクトしすぎて)自分たちで相手に攻められるという意識を持ってしまった」と指摘したように、相手のスピードある攻守の前に押し込まれてしまい、攻撃も落ち着かなかった。

 だが、風上となった後半はポゼッションを徹底。後半7分にケガ明けでベンチスタートとなっていた大黒柱のMF藤村祐世(3年)を投入し、奥村をCBへ下げるとチームにゆとりが生まれる。意図的にゆっくりとボールを動かして試合をコントロール。そして18分に10番MF坂井涼真(3年)をピッチへ送り出すとその1分後、右クロスをファーサイドの坂井が頭で丁寧に折り返す。これを藤村が頭で押し込んで同点に追いついた。

 伊賀白鳳は22分に相手のミスから繁田に決定機が訪れたが、左足シュートを三重GK村木壱成(3年)がワンハンドでストップ。それでも伊賀白鳳は25分、カウンターから津野が持ち上がると、右MF吉田雄太(3年)がグラウンダーのクロスを入れる。ニアで藤岡がつぶれ、最後は津野が右足で勝ち越しゴールを押し込んだ。

 三重にとっては痛恨の失点。だが、伊室監督が「(失点しても)意識が落ちなかった。最後までスプリントしていた」と評した飯坂らがすぐに攻め返した三重は失点から2分後の27分にゴールを奪い返す。藤村からのパスを受けた坂井が左から中央へ切れ込みながら枠の方向へシュート性のボールを入れると、これがゴール前の混戦を抜けてそのままゴールイン。再び同点に追いついた三重がPK戦を制し、白星発進した。

 三重は昨年度、夏冬の全国大会に出場。今大会も、長く三重で抜きん出た存在だった四日市中央工高や新人戦優勝校の海星高、津工高といったライバルが敗退する中、しっかりと決勝リーグへ駒を進めてきている。ここ2年、結果を残しているチームの意識も三重で1番のチーム、全国で勝つチームへと変わってきているようだ。インターハイの全国出場枠は2つあるが、伊室監督は「1位で行くつもりでいる」ときっぱり。現在の3年生は入学時に持っていた全国に出られればという目標が、「目標は全国ベスト4。三重の伝統校と言えば三重高となるように」(奥村主将)へと変わってきている。

 地元インターハイは多くの人々にアピールするチャンスだ。三重から県外の強豪校やJクラブユースに進む中学生が増えている現状。伊室監督は「地元に残っても戦えるところを見せれば、良い選手が三重県に残ってくれるし、県外から来てくれるはず」と期待する。冬の選手権で三重は4強まで勝ち上がった矢板中央高(栃木)に2-3で惜敗したが、そのような接戦を必ず制して地元のインターハイ、そして選手権で勝つチームになる。

 まずは厳しい戦いでも逃げずに練習通りのプレーができるようなメンタル、そしてグループでの崩しの精度を高めてインターハイへ。奥村は「(地元開催という)良い年に生まれたので、このチャンスを無駄にしたらもったいない。このインターハイに懸ける思いは強いです」と語り、藤村は「去年は全国出ただけ。全国の舞台で勝って結果を残すことができなかったので、結果を残したい」と誓った。まずはこの日出た課題を修正し、県3連覇を達成することに集中する。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2018

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