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「サッカーの怖さ」早大が後半AT4分から2発!劇的ドローで首位返り咲き!!

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MF相馬勇紀が劇的弾2発を演出した

[5.20 関東大学L1部 東京国際大2-2早稲田大 フクアリ]

「わずか3分くらいでやられてしまった。改めてサッカーの怖さを知った」

 東京国際大の前田秀樹監督は、そう肩を落とした。3位の早稲田大を2-0とリードしてアディショナルタイムに突入。勝利は目の前だった。しかしその後失点が相次ぎ、タイムアップの笛が鳴った瞬間のスコアは2-2。目の前で勝ち点2がすり抜けていった。

 前半は両監督が「固いゲームになるだろう」と予想していたとおりの展開となった。早大は今季初となる3バックの布陣に、DF坂本寛之(2年=横浜FMユース)、MF田中雄大(1年=桐光学園高)をスタメンで初起用してこの試合に臨んだ。DF冨田康平(4年=市立浦和高)とMF栗島健太(3年=流通経済大柏高)が怪我で使えず「残りのメンバーを活かしたうえで、MF相馬勇紀(4年=三菱養和SCユース)をできるだけ高い位置に置いてボールを触らせようと思った」(外池大亮監督)と起用した3バック。東国大のキーマン「FW町田ブライト(4年=成立学園高)のパワーに対して、2センターバックより厚めの3バックにしたほうが初動を防げる」との目論見もあった。

 0-0で前半を終えたのは、両チームにとっては予定どおりだった。しかし早大・外池監督が「少しずつ相馬が高い位置をとれるようになってきたので、後半立ち上がりの10分間だけ我慢するよう言っていた」という矢先の後半4分、まずは東国大が動いた。右サイドで早大のこぼれ球をMF荒木秀太(1年=C大阪ユース)が拾うと、すばやく中央のFW浅利航大(4年=水戸ユース)へ。ドリブルでDFをかわすと、豪快なミドルシュートを叩き込んで東国大が先制点を挙げる。さらにその2分後の51分には、町田がドリブルで前線へと突破。早大DFがそれをクリアしたボールを、今度は主将のMF石田勇大(4年=水戸啓明高)が押し込んで2-0とリードを広げた。

 対する早大は後半10分、初スタメンの坂本と田中を下げ、冨田とFW藤沢和也(3年=早大実業高)を投入。同23分には栗島をピッチに送り出すなど、早い時間帯に交代のカードを使い切る、思い切った行動に出た。すると試合の流れは早大に傾き始める。東国大も前線にフレッシュな選手を投入して流れを変えようとするが「逆に交代した選手が自分をアピールしようとがんばりすぎて、バランスを崩してしまった」と前田監督。「85分くらいまでは押さえられていた」という相馬へのマークが緩まると、早大が一気に攻勢に出る。

 アディショナルタイム1分の相馬の左からのクロスに藤沢が合わせたシュートはわずかにバーの上。その1分後にも相馬が中に切れ込んでチャンスを作り、最後の岡田のシュートはわずかに枠の外に飛んで行ったが、何度となく決定機を作る、するとこのまま終わるかと思われた後半アディショナルタイム4分、ついに早大がゴールネットを揺らす。左CKを得ると、相馬のキックをFW武田太一(3年=ガンバ大阪ユース)が頭で合わせる。さらにその1分後、岡田からのパスを受けた相馬が左サイドを突破。ゴール前に上げたクロスに藤沢が頭で合わせ、ついに同点に追いついた。試合はそのまま終了。早大が土壇場で2ゴールをあげ、勝ち点1をもぎ取った。

「時間をうまく使ってリードを守ることができなかった」と試合を振り返った前田監督。先週末の天皇杯茨城県予選では、兄弟チームである東京国際大FCに敗れ、「かなりショックを受けていたから、今日は勝たせてやりたかった」が、「ゲームの流れをわかっていなかった」と残念な表情。それでも「優勝候補の早大さんをこれだけ苦しめた、ということをポジティブにとらえたい」と前を向いた。

 一方、前節では駒澤大との直接対決に敗れて首位を明け渡したものの、粘り強く戦い、引き分けに持ち込んだ早大。しかしこの劇的な展開にも、外池監督は「勝ち点をとったという実感はない」と厳しい表情を見せる。それでも、個人的には「今日の試合で関東1部でやれる手応えを感じた」という。2点のビハインドを背負いながらも最後まで戦ったたくましさに加え、「大学スポーツのあり方が問われている中で、真摯にフェアプレーに取り組んでゴールを奪うことができた」と、選手たちの姿勢を評価した。

 同日に同じ勝ち点で並ぶ駒澤大、明治大が敗れたことで、再び単独首位に返り咲いた早大。2位との勝ち点差は1。この試合で得た勝ち点1が、首位奪還に大きく貢献する結果となった。

(取材・文 飯嶋玲子)
●第92回関東大学L特集

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