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11年ぶりの夏全国へあと1勝!藤枝東が浜松開誠館に逆転勝ち!:静岡

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勝利を喜ぶ藤枝東高イレブン

[5.26 総体静岡県予選準決勝 藤枝東高 2-1 浜松開誠館高 草薙陸上競技場]

 平成30年度全国高校総体「2018彩る感動 東海総体」サッカー競技(三重)静岡県予選準決勝が26日に行われ、11年ぶりの優勝を目指す藤枝東高と悲願の初優勝を狙う浜松開誠館高との一戦は、藤枝東が2-1で逆転勝ち。藤枝東は11年ぶり13回目のインターハイ出場を懸けて、6月3日の決勝で清水桜が丘高と戦う。

 拮抗した80分間の勝負を藤枝東が制した。身体的な特長を持つ選手の少ない藤枝東だが、逆取りのドリブルで相手DFを巧みに剥がすMF平尾拳士朗(3年)やMF松田春輝(3年)、MF山本竜輝(3年)ら技巧派たちがショートパスを繋ぎ、コンビネーションで浜松開誠館の守りを切り崩そうとする。局面で人数をかけた崩しを繰り出す藤枝東はボールを失ってからの切り替えも速く、良い形で奪い返して10番MF坂本康汰(2年)がドリブルシュートを放ったり、連続攻撃するシーンもあった。

 ただし、注目の「大器」CB山田梨功主将(3年)をはじめ、MF川畑陸(3年)、FW岡島温希(3年)、MF弓場堅真(3年)といった個性ある選手たちが並ぶ浜松開誠館は強力。決定打を撃たせる前にボールを奪うと、スピードあるパス交換や弓場、MF吉田真那斗(2年)の仕掛けから攻め返していく。

 後半立ち上がりには岡島が左サイドを強引にこじ開けて右足シュート。これをきっかけに藤枝東は前からの守備に緩さが出てしまう。そして10分、浜松開誠館がファインゴールでスコアを動かした。

 浜松開誠館は川畑が右サイドへボールを展開すると、カットインした弓場がグングンとスピードを上げながらペナルティーアークを越えたところまでボールを運んで左足一閃。素晴らしい弾道の一撃をゴール右隅に突き刺した。

 浜松開誠館は18分にもカウンターから右サイドを駆け上がった弓場が左足アウトでラストパス。これに走り込んだ岡島の左足シュートがGKの脇を抜けたが、ボールは右ポスト直撃。試合を決定づけることができなかった浜松開誠館に対し、「引いたらやられてしまう。(失点によって良い意味で)やるしかない。前に出るしかなくなった」(小林公平監督)藤枝東はチーム全体が押し上げてパスワークでの反撃にチャレンジしていく。

 そして20分、藤枝東はMF浦部舜(2年)からの縦パスを松田がスルー。そしてボールを受けた交代出場FW井上燎哉(3年)がターンからそのまま思い切り左足を振り抜く。圧巻の弾道を描いた強烈シュートがクロスバーの下側を叩いてゴールイン。井上の3試合連続ゴールによって藤枝東が試合を振り出しに戻した。

 畳み掛ける藤枝東は井上のアクロバティックなシュートや左SB濱井玲旺(2年)の右足ミドルで勝ち越しを狙う。そして28分、藤枝東は右コーナー付近でボールを奪い返すと、浦部がゴール方向へクロスを入れる。これが浜松開誠館GKのファンブルを誘い、ボールはゴールラインを越えた。

 意外な形でリードを奪った藤枝東は集中した守備。30分に浜松開誠館は弓場のスルーパスから岡島が右足シュートを放つ。ボールはGKの横を抜けが、必死にカバーした藤枝東右SB平出海(3年)がスーパークリア。CB鈴木大河(3年)を中心に声を掛け合いながら守り抜いた藤枝東が2-1で勝ち、決勝へ駒を進めた。

 実績関係なしの競争が藤枝東を成長させている。この日、藤枝東は静岡県選抜のレフティーMF田村祐二朗(3年)や井上といった実力者がベンチスタート。10番MF坂本ら主軸候補が先発を外れる試合もあったという。小林監督は「(試合前)一週間のトレーニングや直近の試合のプレーを見て判断しています。みんなにチャンスがあるぞと良いモチベーションをもってやってくれている」と語っていたが、日常からの競争が選手の意識を高め、好結果を生み出している。

 全国まであと1勝。浦部は「全国行くためにこの学校に入ってきたので、絶対に行くという強い気持ちがあります」と語り、鈴木は「優勝ではなく、全国を目指している。(決勝は)気持ち一つにしてしっかり戦って、勝ちたい」と意気込んだ。伝統の繋ぐスタイルを磨き、競争によって成長する伝統校。66年の第1回インターハイを制している藤枝東が今年、全国舞台に舞い戻る。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2018

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