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ユース取材ライター陣たちが推薦する総体予選注目の11傑vol.5

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安藤氏が推薦するDF三國ケネディエブス(青森山田高3年)

特集企画「ユース取材ライター陣が推薦する『全国高校総体予選注目の11傑』」

 ゲキサカでは熱戦展開中の平成30年度全国高校総体「2018彩る感動 東海総体」サッカー競技(三重)都道府県予選の注目選手を大特集。「総体予選注目の11傑」と題し、ユース年代を主に取材するライター陣に総体予選注目の11選手を紹介してもらいます。第5回は“ユース教授”ことサッカージャーナリストの安藤隆人氏による11名です。

安藤隆人氏「全国各地で佳境に入って来た今年のインターハイ予選。四日市中央工、中京大中京、静岡学園が敗れるなど、今年も波乱が早くも生じている。そして、インターハイ予選11傑を今年も担当させてもらえるようになりました。今回は純粋に『個々の力』にフォーカスを当てて選んでみました。ルールとしては同じチームの選手を2人以上選ばないこと。これ以外の条件は無く、純粋に力のある選手を4-3-3のフォーメーションに当てはめて選んでみました」

以下、安藤氏が推薦する11名

GK相澤ピーター・コアミ(日本文理高3年)
「市立船橋高の田中悠也、東福岡高の松田亮と迷ったが、190cmの圧倒的な高さとシュートストップ、そして左足のキックの正確性に加え、まだGKを始めて1年ちょっとという短いキャリアでここまで頭角を現して来た凄まじいポテンシャルに期待したい。今年に入り、守備範囲が一気に広がり、裏へのカバーリングやビルドアップの点でもフィールドプレーヤー時代に培った感覚がいかんなく発揮されている。この4バックをハイラインにして、積極的なビルドアップを実現させてくれるはずだ」

DF中村拓海(東福岡高3年)
「左右どちらでもこなせる高性能サイドバックは、このフォーメーションでは左サイドバックに置きたい。このポジションはスペシャリストである京都橘高の高木大輝、広島皆実高の西原広太も考えたが、右サイドバックにどうしても福島隼斗(大津高)を置きたいと思ったのと、左右いずれにせよ中村だけは絶対に入れたいと考えた。それほど彼はサイドバックとしての能力と将来性がずば抜けて高い選手と言える。陸上選手のようにずば抜けたスプリントと上下動の連続を繰り返すが、『ただの槍』ではなく、戦況を見てボランチの位置まで入って多彩なパスでゲームをコントロール出来る。戦術的、技術的柔軟性の富んだサイドバックだ」

DF三國ケネディエブス(青森山田高3年)
「規格外のCBを選ばないわけにはいかないだろう。195cmの長身から繰り出される高い打点のヘッドはもちろん、これまでFWとCBを兼用して来たように戦術的理解度、対人能力も磨かれた。「裏への対応は自分の中でも凄く意識していて、『大きいから足下を狙われる』ということが無いように、ターンや予測、身体の向きなどは考えてやっています」。今年はCBとして固定され、彼の意識もFWではなく、CBとして一本化して行く覚悟が芽生えた。プロ入りはかなり濃厚と目されている逸材の更なる開花に期待したい」

DF関川郁万(流通経済大柏高3年)
「今年の高校サッカーを代表する三國と関川の2CBコンビは見てみたい組み合わせだ。三國ほど高さはないが、彼の屈強なフィジカルと跳躍力はずば抜けていて、空中のボールを捉える技術は高校ナンバーワンと言って良いかもしれない。昨年度の選手権後に手術をし、ずっとリハビリを続けていたが、鹿島アントラーズの熱烈なラブコールが実る形で、復帰前に加入内定が発表された。気迫溢れるディフェンスと強烈なキック、そしてセットプレーの際の得点力と、すべてにおいてスケールの大きな彼に期待だ」

DF福島隼斗(大津高3年)
「中村の紹介でも触れたように、右サイドバックには彼を置きたい。彼はずっとCBとボランチのセントラルポジションを任かされているように、安定した守備力と両足のキックが魅力だが、彼はスピードもあり、アップダウン能力に秀でている。彼を見たと欺からずっと守備力、攻撃力、そして空中戦と三拍子揃ったサイドバックに化けるのではないかと思っており、その想いを是非このフォーメーションで実現させたい」

MF矢野達也(大分工高3年)
「今年、チームでは最前線を務めるが、彼の強烈な右足のキックとフィジカルの強さを活かして、ここではアンカーとして置きたい。昨年までボランチをやっていたように、視野も広く、カバーリングと展開力を持っているし、強烈なミドルシュートにも期待したい。この位置で得意の右足をフル活用し、多彩なタレントが揃うこの布陣の中核を担ってもらいたい」

MF西川潤(桐光学園高2年)
「2シャドーの一角として1年時から名門・桐光学園の10番を背負い、個の打開力とシュートセンスを発揮する彼を置きたい。サッカーセンスはずば抜けていて、ボールの持ち方、一瞬のスピード、そして切れ味鋭いドリブルを駆使して攻撃のアクセントを加えてもらいたい」

MF若月大和(桐生一高2年)
「スピードアタッカー枠として、変幻自在のドリブルを持つ静岡学園高の神田凛星と迷ったが、彼の変幻自在のスピードとファーストタッチの上手さ、そして裏への飛び出しの駆け引きの妙を期待して、彼をセレクトした。DFラインを牽制してから、絶妙なタイミングで飛び出して一気にビッグチャンスを作る彼は相手にとって脅威。ドリブラーの西川とのコンビは前への推進力を増幅させてくれるはずだ」

FW久乘聖亜(東山高3年)
「3トップの右には高さがあり、抜群のテクニックと多彩なアイデアを誇る『古都のエレガントアタッカー』を置きたい。昨年は思わぬ怪我に見回れ、ほぼ1年を棒に振ってしまったが、類い稀なるサッカーセンスは落ちること無く、広い視野とオフ・ザ・ボールの動き、そしてボールを持ってからパス、ドリブル、シュートの選択肢からベストな方法を選んでチャンスを作って行く。昨年、本領を発揮出来なかった分、今年は思い切り暴れて欲しい」

FW大塚尋斗(矢板中央高3年)
「ここは前橋育英高の榎本樹と迷ったが、前線のパワーとポストプレーを考えて大塚を選んだ。もちろん榎本もパワーがあり、ポストプレーも出来るが今回のメンバーとの噛み合わせを考えると、より足下で収められる大塚が適任と考えた。フットサルでは昨年、全日本フットサル大会でMVPに輝き、今年はフウガドールすみだの練習に参加、U-19フットサル日本代表に選ばれるなど、ピヴォとしてフットサルで高い評価を受けているが、サッカー選手としても大きなポテンシャルを持っている選手だ」

FW染野唯月(尚志高2年)
「軽やかなステップと絶妙な裏への抜け出しが光る2年生ストライカー。鹿島アントラーズつくば時代はボランチをこなしたように、キープ力とパスセンスに長けた選手だったが、仲村浩二監督はこの力を最前線で発揮出来るようにFWにコンバート。もともとフィジカルもあり、相手DFラインとの駆け引きも上手い選手だけに、ここに積極的にゴールを狙う姿勢が生まれ、より怖いストライカーへと変貌を遂げた。この布陣では中村、西川とのコンビネーションで左サイドで起点を作りながら、強烈なカットインでゴールを決めて欲しい」

◎フォーメーション
      大塚
染野          久乗
    西川  若月

      矢野

中村  三國  関川  福島

      相澤

執筆者紹介:安藤隆人
 日本列島、世界各国を放浪するサッカージャーナリスト。育成年代を精力的に取材する“ユース教授”。主な著書は『走り続ける才能たち 彼らと僕のサッカー人生』『壁を越えろ 走り続ける才能たち』(いずれも実業之日本社)、『高校サッカー聖地物語』(講談社)など
●【特設】高校総体2018

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