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現校名で初の全国へ。関大北陽は金光大阪に追いつかれてドローも、堅守発揮して“半歩前進”

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関西大北陽高(赤)は堅守を発揮して全国へ“半歩前進”

[5.27 総体大阪府予選決勝リーグ第1戦 関西大北陽高 1-1 金光大阪高 J-GREEN堺S1]

 平成30年度全国高校総体「2018彩る感動 東海総体」サッカー競技(三重)への出場2枠を懸けた大阪府予選は27日、決勝リーグへ突入。北陽高時代の01年以来となる全国出場を目指す関西大北陽高と4年ぶりの全国出場を狙う金光大阪高との一戦は1-1で引き分けた。なお、順位決定時の参考のために行われたPK戦は、関大北陽が5-4で制している。

 立ち上がり押し込んだのは金光大阪だった。フィジカル能力高いFW辻翔太朗(3年)とFW山本晃太朗(3年)の2トップがロングボールで競り勝ち、サイド攻撃からCKを連続で獲得。ただし、「しっかり我慢して堅い守備をしていく」(矢田竜之監督)というコンセプトを持つ関大北陽は井口将吾主将(3年)と竹下佳之介(3年)のCBコンビ中心に相手のCKやロングスローを跳ね返し、守備から徐々にリズムを掴んでいく。

 少しずつだったが、攻撃時間も増やした関大北陽は10番MF今井泰祐(3年)の仕掛けや2トップの抜け出しから1チャンスを狙い、MF齊藤慎吾(3年)が右足シュートを放つシーンもあった。まずは守備に重きを置きながら前半を0-0で終えた関大北陽は「前半は我慢して後半勝負」の狙い通りに後半開始から190cmFW片岡慎太郎(3年)を投入して勝負に出る。

 だが、後半序盤は金光大阪が連続でチャンスを作り出した。7分、縦パス一本で10番MF糸川遥樹(3年)が左中間を抜け出し、一気にゴールへ迫る。だが、飛び出した関大北陽GK原口龍馬(2年)が紙一重のところでキャッチ。金光大阪はその後も9分に左ロングスローから福田がヘディングシュートを放ち、10分には攻守にセンスあるプレーを見せていたMF小林映斗(3年)のスルーパスを起点に左サイドからチャンスを作る。だがシュート精度を欠くなど得点することができない。

 すると、関大北陽が数少ないチャンスをモノにして得点を奪う。後半20分、関大北陽は右サイドを突いた今井のクロスから、ゴール前でマークを外した片岡が右足ダイレクトボレー。強烈なシュートがゴール中央に突き刺さり、関大北陽が先制した。

 追う展開となった金光大阪はMF竹内壮平(3年)や辻が右サイドから仕掛ける形で反撃。だが、関大北陽は相手の仕掛け、クロスに対して隙を見せずに守り続けていく。それでも金光大阪はCB福田を前線へ上げて1点をもぎ取りに行くと終了3分前の32分、交代出場のMF佐藤凌(3年)が左サイドからアーリークロス。これを中央の福田が競り勝つと、ファーサイドへ抜け出した交代出場FW角田龍亮(3年)が右足シュートを左隅にねじ込んで同点に追いついた。

 このまま試合終了。順位決定時の参考として行われたPK戦は関大北陽GK原口が相手の4人目をストップする。1人目のMF西川修大(3年)からFW真鍋智也(3年)、MF松本周(3年)、齊藤が決めた関大北陽は5人目の井口も冷静に決めて5-4で勝った。

 勝ち点3を掴むことはできなかったものの、関大北陽は08年の校名変更後初の全国へ“半歩前進”だ。旧・北陽高時代は選手権、インターハイでそれぞれ全国制覇。全国常連の強豪校だったが、近年は激戦区・大阪をなかなか勝ち抜くことができず、選手権は94年度、インターハイも01年度を最後に全国から遠ざかっている。

 それでも14年に人工芝グラウンドが完成。環境面が整い、有力選手も集まってきているチームは15年のインターハイ予選で決勝リーグ進出し、今大会は磨いてきた堅守を存分に発揮している。J内定選手擁する興國高、選手権予選優勝校の大阪桐蔭高をいずれも延長戦を含む90分間を無失点で乗り切って勝利した。

 この決勝リーグも「引き分け狙いではなく、勢いを出し続けられるように。目標は3戦全勝」(矢田監督)と格上相手に挑戦し、まずは貴重な勝ち点を獲得した。井口は「自分たちの年代で歴史を変えてやるという気持ちで、新チームスタートした時から取り組んできた。絶対に全国行きます」と言い切り、片岡も「あと2試合全部勝って全国の切符つかめるようにチーム全員でやっていきたい。北陽高校ではなく関大北陽と言われるようにしたいです」と宣言した。残り2試合も全力で勝利を目指して歴史を変える。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2018

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