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神戸U-18から「人生懸けて」履正社へ“移籍”。元U-16代表・作田龍太郎が右WBで躍動し、ファインゴールも

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後半7分、履正社高の右WB作田龍太郎(2番)が先制ゴール

[5.27 総体大阪府予選決勝リーグ第1戦 履正社高 1-1 阪南大高 J-GREEN堺S1]

「人生を懸けた挑戦」を結果に結びつける。インターハイ大阪府予選決勝リーグへ向けて3-4-3システムを採用した履正社高は「僕は結構走ってプレーするタイプなので僕からすると(3バックのWBは)アップダウンで行ったり、来たりするのは良い」という右WB作田龍太郎(3年)が前半から躍動。ハイサイドやゴール前までの長い距離を走ってあわやのシーンに絡む。

 前半21分には左WB藤原聖大(2年)のクロスからシュートチャンスを迎え、33分にはカウンターから最前線まで走り切る。そして35分には右足シュートを狙うなど2日前に導入されたばかりの新システムで誰よりも動き回った。

 そして後半7分、左クロスのこぼれ球に反応した作田は、ミドルレンジから抑えの利いた右足ハーフボレー。これがGKの頭上を破って先制点となった。「(こぼれ球が)バウンドしていたのでパントキックみたいにボレーで打った。上にフカさないように蹴ったんですけれども良い回転かかっていいところにいったと思います」。ゴールを確認した作田は味方ベンチ方向へ一直線でダッシュ。両手を広げて喜ぶ平野直樹監督らスタッフ、仲間たちの輪の中へ飛び込んだ。

 試合は後半30分に追いつかれて引き分け。順位決定時の参考のために行われたPK戦で敗れたために作田はヒーローになりそこねたが、それでもFW久保建英(FC東京)やDF菅原由勢(名古屋)らとともにU-16日本代表として16年AFC U-16選手権を経験している実力者はこの日、平野監督も評価するプレーを見せた。

 作田は「ユース上がる時も高校サッカーの魅力を感じていて結構悩んでいたんですけれども、やっぱり高校サッカーでチャレンジしたいと思って、『人生懸けて』高校サッカーやりたいなと。プリンスリーグも上位にいて、選手権を昔テレビで見ていたんですけれども、上の方にも行ってここにしようと」昨年の7月に神戸U-18から履正社へ籍を移した。

 地元・大阪の高校へ転校する上で懸念のカリキュラムは問題なく“移籍”したが、登録の関係で昨年は高体連の大会に出場することができなかった。当初は慣れない面も多かったというが、それでも「高校サッカーには高校サッカーの魅力があってJにはJの魅力がある」と良い部分を吸収しながら成長を目指した作田は今年、プリンスリーグ開幕5試合全てで先発フル出場。選手としての成長、そしてチームとしての結果を求めて奮闘している。

「インターハイや選手権が魅力的だったので、ここに来たからには自分が中心になって選手権で優勝したいですし、このインターハイででも優勝目指してやっていきたい。初戦は引き分けてしまったんですけれどもあと2回勝って、全国に行きたいです。(個人として)目指しているのは長友選手。体格小さいので、運動量の部分で勝負していかないと、この先プロに行ったって通用しないと思うので、そういうところは意識しています」

 昨年、プレミアリーグWESTで優勝し、今年も首位を走る神戸U-18のMF船越大夢主将(3年)らとは変わらずに交流し、刺激を受けているという。目標を達成するため、そして選手としてもうひと回り成長するため、高体連で「人生を懸けて」勝負すると決めた自分は支えてくれた人たちに必ず恩返しすること。インターハイ予選突破に必ず貢献して日本一に挑戦する。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2018

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