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全国での躍進へ。昨年の悔しさバネに戦う帝京長岡が北越との攻め合い制す!:新潟

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前半17分、帝京長岡高FW冬至直人が決勝ゴール

[6.2 総体新潟県予選準決勝 北越高 0-1 帝京長岡高 五十公野公園陸上競技場]

 平成30年度全国高校総体「2018彩る感動 東海総体」サッカー競技(インターハイ、三重)への出場権を懸けた新潟県予選は2日に準決勝を行った。2年ぶりの優勝を狙う帝京長岡高と11年ぶりの全国を目指す北越高との一戦は1-0で帝京長岡が勝った。帝京長岡は3日の決勝で新潟明訓高と戦う。

 ともにグラウンダーでの攻撃による勝負を目指す両校の攻防戦。得点は帝京長岡の1点のみに終わったが、互いに磨いてきたコンビネーションが随所で出たゲームだった。テクニカルな攻撃を見せながらも追加点が奪えずに苦しい戦いとなった帝京長岡の谷口哲朗総監督からは、あと少しのところで殻を破り切れていないことへの歯がゆさも感じられたが、それでも2年生のタレントと努力の3年生が噛み合いつつあるチームが2年ぶりの全国王手。谷口総監督は「一人ひとりがちょっとずつ上げることができるか。皆さんに応援してもらっている。日本海にこもっていないで、(全国出場を果たし)太平洋に出ていかないと」と期待と責任感を口にしていた。

 01年生まれ世代注目の実力者、MF谷内田哲平(2年)が1タッチのパスやドリブルで起点となる帝京長岡は、右SB丸山喬大(2年)と左SB手塚克志(3年)が高い位置でボールに絡んで攻撃。前半17分には左サイドでボールを持った手塚が斜めのスルーパスを入れる。「誰も自分にマークがついていなくて、チャンスかなと思った」というMF吉田晴稀(2年)が自慢のスピードを活かしてアンカーの位置から相手の懐を深くえぐり、ラストパス。「ファーに人がいたんで速いグラウンダーのボールを入れたら誰かが触ってくれると思った」吉田の狙い通り、ファーサイドのFW冬至直人(3年)が1タッチでゴールへ押し込んだ。

 先制した帝京長岡は個々の技術力の高さを活かして攻め続ける。敵陣で小気味良くボールを動かし、サイドの深い位置まで運んでクロス。だが、ラストパスまでは持ち込んでいるものの、最後の局面でタッチ数が増えてしまい、ゴール前で非常に粘り強い守りを見せていた北越のCB中野郁弥(3年)やCB斎藤拓(3年)に距離を詰められてブロックされてしまう。

 一方の北越もシンプルな攻守を見せていた序盤から徐々に自分たちの目指すサッカーを表現していく。MF高月創太主将(3年)やMF浅野俊輔(2年)らがショートパスを繋ぎながらボールを前進させると、グラウンダーの縦パスや1タッチパスからスピードアップ。前半終了間際にはPAやや外側でFKを獲得した高月が自ら狙うシーンもあった。また快足SB藤吉玲依(2年)が抜群のスピードを活かして再三攻め上がり、クロスへ持ち込むなど相手にプレッシャーをかけていく。

 帝京長岡は後半2分にゴール正面右寄りの位置から谷内田が右足FKを蹴り込む。鋭いボールがゴールを捉えたが、北越GK飯田千希(3年)の手を弾いてクロスバーをヒット。7分にも谷内田が縦へのドリブルで抜け出してアイディアあるシュートへ持ち込むが、2点目を奪うことができない。

 北越は後半、PAまでボールを運ぶシーンを増やし、5分には藤吉のパスを受けたエースFW小林心(3年)が左足シュート。15分には右クロスからファーサイドの小林が放ったヘッドが枠を捉えたが、帝京長岡GK土岡優晟(3年)に反応されてしまう。帝京長岡のプレッシングに苦しめられながらも、気迫のプレーを見せる高月中心に幾度か剥がしてシュートまで持ち込んでいた北越だが、CB小泉善人主将(3年)とCB長渡彗汰(3年)を中心とした帝京長岡DF陣はシュートコースをしっかりと消して得点を許さない。互いのゴール前の好守も光った戦いは帝京長岡が1-0で制した。

 小泉は「目標は県大会優勝ではなくてその先なので、自分たちが弱いということを自覚してやりたい」。昨年は全国での躍進を期待されながらも、夏冬ともに県予選敗退。選手たちはその教訓から引き締めて各試合に臨んでいる。「去年教えてくれたことを二度とやらないように。慢心と思い込みをしないという話はしています」と小泉が語り、吉田は「去年の悔しさをバネに1年間やってきた。去年の悔しさを晴らせるように明日の決勝もやっていきたい」と誓った。

 古沢徹監督が「一体感をもってやっている。今年は応援も3年生が自覚を持ってやってくれている」と語るように、3年生中心に一体感を持って挑戦する帝京長岡。「まだまだできる」印象のチームは昨年できなかった全国で勝負するために、あと1勝を全員で勝ち取る。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2018

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