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後半ラストプレーでの同点弾から延長戦で「まくって勝つ」。底力示した立正大淞南が島根11連覇!

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勝負強さを発揮した立正大淞南高が島根11連覇を達成

[6.2 総体島根県予選決勝 立正大淞南高 2-1(延長)大社高 浜山公園陸上競技場]

 平成30年度全国高校総体「2018彩る感動 東海総体2018」サッカー競技(インターハイ、三重)への出場権を懸けた島根県予選は2日に決勝が行われ、立正大淞南高大社高を延長の末に2-1で下し、11年連続13回目の出場を決めた。

 予選敗退寸前まで追い込まれた立正大淞南が、最後の最後で底力を見せつけた。劇的な同点ゴールで息を吹き返し、延長の末に大社を振り切って夏の王座を死守した。

 試合は立ち上がりから大社が押し気味に進め、立正大淞南の最終ラインの背後をうまく突いて多くの決定機を作り出した。前半22分(35分ハーフ)にはMF野稲竜(3年)のシュートを立正大淞南GK板垣沙亮(3年)がはじいたところに、MF吉田新大(2年)が詰めたが、DFのブロックに阻まれる。24分には吉田がGKと1対1となるチャンスを迎えたが、これもGK板垣に防がれた。27分にはDF篠原加惟(3年)のシュートがクロスバーに当たって決まらない。

 大社は、佐々井秀臣監督が「選手が事前のプラン通りにプレーしてくれて、相手の2トップや両サイドハーフへの対応も良かった」と振り返った守備も安定しており、立正大淞南にチャンスを与えず前半を終了。決定機の多さから考えても先制したい流れで迎えた後半3分、左サイドからのFKをMF藤原建(2年)が中央へ送ると、ゴール前の混戦からのこぼれ球を、主将のMF山内勇利(3年)が押し込んで均衡を破った。

 反撃に転じたい立正大淞南だったが、「2トップと中盤の間が間延びしていて、セカンドボールを拾われていた」と南健司監督が語ったバランスの悪さもあり、思うように攻め込むことができない。大社も後半32分にMF藤原のFKがクロスバーに当たるなど、勝利を決定付ける2点目が奪えず、終盤になって運動量が落ちて押し込まれたが、後半アディショナルタイムも目安の3分が迫り、そのまま逃げ切るかと思われた。

 だが立正大淞南は終了直前、CKからのこぼれ球を、MF山田真夏斗(2年)が「思い切り振り抜いた」と語るミドルシュート。これがゴール左スミに鮮やかに決まり、ついに追い付いた。公式記録では後半35分+4分に決まった劇的な同点ゴール。立正大淞南の選手たちが喜んでいる最中に後半終了のホイッスルが鳴るという、まさにラストプレーでの執念の一撃だった。

 追い付いた立正大淞南は勢いのままに、10分ハーフの延長開始直後に逆転ゴールを奪う。敵陣でのボール奪取からゴール前に送られた縦パスをFW藤井奨也(3年)が落としたところに、「ボールが来たらシュートを打とうと思っていた」という交代出場のFW草場勇斗(3年)が反応し、右スミに蹴り込んだ。

 大社は2失点目の直後に、最後となる5人目の交代選手を送り込んだが、ほどなくDF古川流(3年)が負傷でプレー続行不可能に。残り時間を10人で戦わなければならないアクシデントにも見舞われ、そのまま1-2で逃げ切られた。これで昨年の総体予選、選手権予選に続き、予選決勝で立正大淞南に3連敗。佐々井監督は「悔しい。選手権こそは絶対に」と語り、ライバル打倒の決意を新たにしていた。

 立正大淞南は持ち味の攻撃力を見せる時間が限られたが、南監督が「あの状況、時間帯から、まくって勝つ。立正大淞南の強さを見せることができた」と語った通りの勝負強さを発揮。11年連続となる夏の大舞台に向けては、「一戦一戦、大事に戦う。そのために、もうワンランク上の力をつける」ことを新たな目標に掲げた。

(取材・文 石倉利英)
●【特設】高校総体2018

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