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[関東大会]攻めては大量9得点、守っては被シュートゼロ…“完全試合”の桐生一、敵将「ケタが違う」

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美しいミドルシュートを決めた桐生一高MF須藤礼智(2年)

[6.3 関東大会Bグループ準決勝 桐生一9-0東海大甲府 前橋フットボールセンターB]

 第61回関東高校サッカー大会は3日、準決勝を行い、Bグループの桐生一高(群馬)は東海大甲府高(山梨)と対戦した。初戦で5ゴールを挙げた攻撃力をそのまま維持し、大量9得点の9-0で完勝。規定により3位入賞を争う翌4日の決勝では、PK戦で突破した駿台学園高(東京)と対戦する。

 桐生一の強烈な攻撃陣がこの日も炸裂した。1回戦でハットトリックを達成したFW若月大和(2年)が2ゴールを挙げると、初戦2得点のFW楠大樹(3年)は途中出場ながら再び2ゴール。初戦3失点した守備陣が完封試合を演じ切り、中村裕幸コーチも「前の試合で出た課題を修正できた」と振り返った。

 試合は前半1分、さっそく動いた。MF田中渉(3年)の右CKを起点にPA内で混戦が発生し、中に入ってきた田中のシュートをGK工藤樹がファンブル。こぼれ球がFW小澤謙登の元へと転がると、ダイレクトで落ち着いて流し込んだ。さらに同33分、DF中野就斗主将(3年)のスルーパスに若月が抜け出し、右足シュートでリードを2点に広げた。

 一方の東海大甲府も徐々に盛り返していく。右ウイングバックのMF南崎能和ヘンリ(3年)へ積極的にボールを預け、MF榎原拓哉(3年)、MF込山華己(2年)とのユニットで打開を試みた。だが、ゴールに近付くことはできず、シュートを1本も打てないまま前半を終えた。

 ハーフタイム明けは、立ち上がりこそ停滞する時間帯が続いたが、後半14分、桐生一が楠を投入したのを契機に流れが変わった。同17分、左サイドを猛然と突破した楠のシュートは工藤に阻まれたが、こぼれ球を若月がプッシュして3点目。同22分には、田中のFKに小澤が頭で合わせ、勝利を決定づける4点目が入った。

 それでも桐生一のゴールラッシュは止まらない。後半25分、右サイドを駆け上がった小澤のパスを楠が決めると、同34分、楠のシュートが相手DFに阻まれたが、こぼれ球を自ら決めて6点差に。さらに直後、テクニシャンのMF須藤礼智(2年)が投入されると、同37分には冷静な右足ミドルシュートをゴール右隅に突き刺した。

 何とか攻めに出ようとする東海大甲府だったが、前傾姿勢が仇となり、後半38分にMF小池泰誠(3年)、同40分にはこれでハットトリックとなる小澤にゴールを決められ、スコアは9-0。終わってみれば、桐生一のシュート18本に対し、1本もシュートを打てないままタイムアップを迎え、歴史的な完敗で大会を終えることとなった。

 東海大甲府の市來智紀監督は試合後、「桐生さんはケタが違うと思っていたが、1失点目が早かった」と大敗の要因を指摘。「前半はやってきたことができなかったわけではなかった」とポジティブな要素も見いだし、1週間後に迫る総体県予選に向けて「怪我人も出ているので、リセットして臨みたい」と意気込んでいた。

 一方、田野豪一監督がライセンス取得で不在のため、桐生一の指揮を執る中村コーチは「1回戦は2点を取った後、アップテンポなゲームをする準備がなかった」と3失点となった初戦の課題を振り返り、「今日は最後まで攻守の切り替えやボールの回収が速かった」と修正に手応え。思わぬ大差での勝利となったが、「僕の中ではキャプテンがMVPですね」と最終ラインでハイパフォーマンスを見せた中野主将の貢献度を強調していた。

(取材・文 竹内達也)

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