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[関東大会]Bチーム参戦の前橋育英、プロ入りMF擁する東海大相模を逆転撃破! 地元優勝まであと一つ

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地元の応援を背に戦った前橋育英高

[6.3 関東大会準決勝 前橋育英高2-1東海大相模高 前橋フットボールセンターA]

 第61回関東高校サッカー大会は3日、群馬県の前橋フットボールセンターで大会2日目の準決勝を行い、Aグループの前橋育英高(群馬)と東海大相模高(神奈川県)が対戦した。今大会にBチームで参戦中の前橋育英が2-1で逆転勝利。4日の決勝戦では、PK戦の末に勝ち抜きを決めた成徳深谷高(埼玉)と激突する。

 Aチームの山田耕介監督がベンチで見守る中、櫻井勉コーチに率いられた選手たちが躍動した。「この後はインターハイ予選になるので、トップでの試合に出るためにはこういうところで活躍できるかが大事だった」とMF鏑木瑞生主将(3年)。先制されても諦めずに戦い、タレント居並ぶ神奈川王者に競り勝った。

 序盤は一進一退の攻防で始まった。前橋育英は前半3分、FW石井陽向(3年)のミドルが惜しくも枠外。直後、DF堀川侃太(3年)のクリアを拾った石井が再びボレーで狙ったが、右へと外れていった。東海大相模は同14分、甲府内定MF中山陸(3年)のロングパスにMF吉田浩太(3年)が反応するも、枠を捉えられなかった。

 なかなか持ち味のパスワークを出せない東海大相模だったが、前半22分、左サイドをFW女井寛司(3年)が突破し、MF中島優太(3年)、MF有馬和希(3年)がつないで中山がシュート。相手DFに阻まれたが、ようやく攻撃の形をつくることができた。だが、前橋育英も同32分、FW高橋優斗(3年)が立て続けに突破し、クロスバーを脅かすなど主導権を渡さない。

 それでも、先にスコアを動かしたのは東海大相模だった。前半アディショナルタイム1分、左サイドを女井が切り裂き、相手DFをわずかに振り切って中央に折り返し。ニアサイドに走り込んだ中島には合わなかったが、そこでゴール前に走り込んだのは中山。すでにプロ入りを決めている背番号6のゴールが決まり、1点リードでハーフタイムを迎えた。

 そんな中、前橋育英の櫻井コーチは「チャンスを決められなかったから仕方ない。こういうこともあるよ。気を引き締めて行こう」と選手たちに指示。「私の個人的な気持ちですが、3年生に頑張ってほしいという思いがあった」とベンチに回ったMF小栗英哉(3年)、MF深澤康太(3年)の2人を一気に投入すると、さっそくこの用兵が的中した。

 後半3分、中盤でボールを持った小栗がPA内にしかけると、「ちょっとラッキーな形」(櫻井コーチ)で倒され、PKを獲得する。キッカーはこれまでAチームのメンバーとして、高円宮杯プリンスリーグ関東の試合にも出場していたMF長澤壮竜(3年)。落ち着いて左に蹴り込み、試合を振り出しに戻した。

 さらに後半16分、意地を見せたい長澤はビューティフルゴールで均衡を破る。右サイドから勢い良く持ち込んで左足を振り抜くと、鋭い弾道を描いたボールがファーサイドネットにズドン。「去年はこの関東大会で1分間も出られないまま、同じ2年生が活躍していたのを見ていた」。Aチームから落ちた悔しさだけでなく、さまざまな思いがこもった勝ち越しゴールだった。

 前橋育英は後半27分、石井のパスを受けた小栗がシュートを放つも、アクシデントで交代投入されたばかりのGK川邊大聖(2年)がビッグセーブ。東海大相模は同29分、中山が自ら獲得したFKを右足で狙ったが、わずかにゴールポストをかすめると、同35分のFKも大きく右上に外れた。しぶとく戦った前橋育英が最後まで守り切り、決勝が行われる正田醤油スタジアムのピッチに立つ権利を得た。

 東海大相模の有馬信二監督は試合後、「せっかく良い時間帯に点が取れたのに後味が悪いね」と悔しい表情。「攻撃がちょっと……ね。相手のラインが高かったので背後を狙いすぎていたけど、ウチはパスをトントントンとつなげないとリズムが出ない。中盤でパスを引き出すことができなかった」と課題を指摘した。

 一方、櫻井コーチは「やっぱり引き締まりますよね。来てくれるだけでもありがたい限り。それに見ているだけじゃなく、気になったことは声をかけてくれるので」と山田監督に感謝。「選手の○×を考えるのは監督だけ。僕は彼らを上のステージに何とか引き上げてあげたい」とBチームで奮闘する選手に目を細めつつ、「決勝も頑張ります」と地元優勝に意気込んだ。

(取材・文 竹内達也)

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