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「似ている」2冠世代超え目指す青森山田が青森19連覇。台頭中の新戦力も加えて進化

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青森19連覇を達成した青森山田高イレブン

[6.4 総体青森県予選決勝 青森山田高 6-0 八戸学院野辺地西高 青森市スポーツ公園多目的G]

 目標は2年前の2冠世代超えだ。4日、平成30年度全国高校総体「2018彩る感動 東海総体」サッカー競技(インターハイ、三重)青森県予選決勝が行われ、青森山田高が6-0で八戸学院野辺地西高に快勝。19年連続22回目の全国大会出場を決めた。

 八戸高との準決勝を23-0という圧巻のスコアで勝利するなど、“絶対王者”青森山田は4試合を66得点無失点で決勝進出。決勝では黒田剛監督から「最低でも前半で3得点」というノルマを与えられていた。

 八戸学院野辺地西とは昨秋の県新人戦決勝で3-0のスコアだったが、青森山田はそこから日常で積み上げてきた差を示す。立ち上がりは八戸学院野辺地西が上手く試合に入り、CB舘睦人主将(3年)中心に各選手が激しく相手に身体を当て、差し込まれる前にボールを奪う。そして、縦に速い攻撃。10分には左サイドを抜け出したFW土井敬(3年)の折り返しからMF沼倉幸哉(3年)が左足で入れたクロスがゴール前を横切った。

 だが、落ち着いて対応した青森山田はファーストチャンスで得点を奪う。12分、10番エースMF檀崎竜孔主将(3年)の左CKを192cmCB三國ケネディエブス(3年)が頭でそらす。ファーサイドでボールを受けた右SB橋本峻弥(3年)が右足を振り抜くと、混戦を抜けたボールがそのままゴールへ突き刺さった。

 八戸学院野辺地西は16分に沼倉のスルーパスで土井が抜け出すが、判断良く飛び出したGK飯田雅浩(3年)がストップ。青森山田はJ注目の大型CB三國が空中戦で圧倒的な強さを示すなど、その後は相手をゴールに近づけない。

 そして、MF天笠泰輝(3年)とMF武眞大(3年)のテンポ良い配球から攻める青森山田は28分、MFバスケス・バイロン(3年)のスルーパスで右サイドをFW留盛聖大(3年)が抜け出す。最後は中央への折り返しを檀崎が1タッチでゴール。さらに31分には、右サイドで強引にインターセプトしたバスケスのスルーパスで留盛が抜け出し、そのまま右足でゴールを決めた。

 清水ジュニアユース出身の留盛は、青森山田高セカンドが参戦中のプリンスリーグ東北で7得点を挙げてAチームの先発チャンスを得たFWだ。黒田監督が「Bでずっと出ていた。足下で収まるし、点が取れる」と説明するFWは指揮官の「FWは点を取らないと」という期待に見事に応え、インターハイ予選でゴール量産。チームに上積みをもたらす戦力になっている。

 彼のゴールで前半の“ノルマ”を達成した青森山田は、後半も右CKからバスケス・バイロンが左足ダイレクトボレーを放って観衆を沸かせ、檀崎が3人抜きのドリブルを魅せる。また、左サイドの長身SB豊島基矢(3年)がダイナミックなオーバーラップを連発。相手を飲み込んだ青森山田は8分に天笠が相手CBの脇へスルーパスを通す。これを豊島が中央へ折り返すと、FW佐々木銀士(3年)が合わせて4点目を奪った。

 青森山田は15分にも交代出場MF武田英寿(2年)のスルーパスから檀崎が中央へ折り返し、最後は留盛がプッシュ。24分にも素晴らしいトラップでボールを収めたバスケスを起点とした攻撃から檀崎が上げた左クロスをこの日誕生日だった佐々木が頭で2点目のゴールを決めた。選手5人を入れ替えた終盤はチャンスを量産しながらも得点を奪えず。それでもCB二階堂正哉(3年)と三國を中心としたDF陣が相手をシュート1本に封じて快勝した。

 プレミアリーグも選手権予選も青森山田がやるべきことは変わらない。試合前から全員で活気ある大声を響き渡らせていたが、どの相手に対しても意識高く試合に入り、試合ではシュートを打たせない、クロスを上げさせない部分などを徹底する。黒田監督は「どんな時も習慣づけておかないといけない」と語っていたが、吸収力高い今年の選手たちは求められているものに応えようと良く取り組んでいる。

 まだまだ決定力向上など課題はある。だが、その課題を改善して2年前の先輩たちのように日本一へ。主将の檀崎は「(2年前のチームに)似ていると言われる部分が相当あって、意識しています。人間性や負けたくないというパワーは一昨年に似ていて、一昨年のメンバーはそれが一つの方向にまとまっていたからこそ2冠を達成できたと思うので、自分たちも近づけるように、自分がもっとリーダーシップをもってやらないといけないと思っています」と意気込んだ。

 兄・三國ステイビアエブス(現順天堂大)が2冠メンバーの三國も「親から3冠頼むよ、と言われている。自分も兄貴を超えたいと思っている」ときっぱり。今大会では2年前の世代が記録した1試合22得点を超える23得点を挙げた。それも先輩超えへの意識の表れ。選手権決勝まで貪欲に成長を続けた世代を超えるような1年を送るため、青森山田は妥協することなく日々を過ごす。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2018

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