[6.4 総体青森県予選決勝 青森山田高 6-0 八戸学院野辺地西高 青森市スポーツ公園多目的G]

　目標は2年前、青森山田高をプレミアリーグ、高校選手権の2冠に導いたGK廣末陸(現FC東京)だ。「(廣末の存在によって) 山田の(GKが)求められる部分は正直高いですし、GKとしてスキルアップしていかないといけない。陸さんに一歩でも近づけるように自分はやっています」。下級生時からそのポテンシャルの高さについて注目されてきたGK飯田雅浩(3年)は今年、廣末のような活躍をする1年間を目指している。

　インターハイ青森県予選は無失点V。決勝では立ち上がりに勢いを持って攻めてきた八戸学院野辺地西高にゴール前まで持ち込まれるシーンが幾度かあった。そして、先制した直後にはスルーパスで抜け出したFW土井敬(3年)と1対1に。だが、PAから飛び出した飯田が相手のタッチの大きくなったところを見逃さずに身体を投げ出してストップする。この試合唯一とも言える八戸学院野辺地西の決定機は飯田の好判断によってかき消された。

「県大会ということでピンチは少ないんですけれども、1回のピンチのために常に準備していたので準備が全てだなと思っています。1点取ってからチームがこれからだという時に迎えたピンチだったので正直、あれを決められていたら流れも持っていかれていたと思う。あれを抑えられたのは自分にとっても大きかったと思います」

　終始安定したパフォーマンスを披露した飯田だが、後半はクロスボールに対して必死に飛び込んでくる相手に、腕を引っ張られるなどキャッチできなかったシーンもあった。その後の素早い対応などで事なきを得たが、接触プレーでファウルを取ってもらえないこともありうる。それだけに、「そういう相手でも負けないフィジカルと技術、タイミングをこれからもつけていかないといけないと思っています」と誓っていた。

　昨年は負傷した先輩GK坪歩夢に代わり、プレミアリーグ後半戦の9試合に出場。第12節から第16節までは5試合連続無失点の活躍を見せた。だが、優勝争いの大一番だった第17節の清水ユース戦で4失点してしまい、ドロー。優勝を懸けた最終節のFC東京U-18戦も安定感を欠き、2点目を奪われた直後の後半15分に坪と交代となった。2-3で敗れたチームは優勝を逃し、飯田は3週間後に開幕した選手権で控えに回ることに。「そこ(プレミアリーグの終盤戦)でできていれば選手権にも出れていたと思っているので去年は後悔しかないです」と悔しがる。

　経験、悔しさを持ってスタートした今年は、落ち着いてプレーすることができている。味方の性格やメンタル面まで意識してコーチング。チームをしっかりと落ち着かせることができていると感じている。そして1試合で1度のピンチも封じる集中力。まだまだここぞの場面でのセービングやキックに関しては廣末との差を埋めている段階で「まだ比べられるレベルではないですけれども……」と語るが、クロスに対する守備範囲など上回っているという部分もある。

　飯田は今年の高体連を代表するGKの一人。卒業後、大学で経験を積むことも考えているが、将来の目標はプロだ。今年のプレミアリーグを5試合2失点に抑えるなど力を示している注目GKは、全国で“廣末級”の活躍を見せて評価を高めるか。「タイトルは山田に足りない部分だと思っている。プレミアリーグはいいところにいれているので3つタイトル目指してやっていきます」。まずは廣末が唯一逃しているインターハイでの日本一を全力で目指す。

(取材・文　吉田太郎)

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●【特設】高校総体2018