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全校応援の後押し受けて「公立の雄」大津が全国復帰!「今以上」に進化して日本一挑戦:熊本

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大津高が3年ぶりに全国へ!!

[6.6 総体熊本県予選決勝 大津高 2-1 ルーテル学院高 水前寺競技場]

 公立の雄が全国復帰! 平成30年度全国高校総体「2018彩る感動 東海総体」サッカー競技(インターハイ、三重)熊本県予選決勝が6日に行われ、大津高がU-18日本代表FW水野雄太(3年)の2ゴールによって2-1でルーテル学院高に勝利。3年ぶり19回目のインターハイ出場を決めた。

 いずれも熊本県内最多の選手権出場16回、インターハイ出場19回。14年のインターハイで準優勝し、公立校ながらプレミアリーグに参戦していた歴史も持つ大津だが、全国大会出場は15年度選手権以来。過去2年のインターハイ予選は県決勝にも勝ち上がることができなかった。

 今回、“本来いるべき場所”に戻ってきた大津だが、現3年生にとっては初めてとなるという全校応援の中でのプレー。U-18日本代表CB吉村仁志(3年)も、水野も「緊張していました」と打ち明けていたように、立ち上がりの彼らの動きは硬かった。2分にはクロスのこぼれ球からルーテル学院の1年生FW島崎大河にあわやの右足シュートを放たれてしまう。これはSB西原大地(3年)がブロックして事なきを得たが、序盤はセカンドボールを拾って前に出るルーテル学院の攻撃を受ける展開となってしまった。

 ルーテル学院は、U-18日本代表CB吉村の右足ボレーをGK岩川壱星(2年)のファインセーブで凌ぐなど好プレーも出ると、前線で島崎がアイディアのあるパスやドリブルテクニックを披露。また2列目のMF後藤輝太(3年)やMF野口慶悟(3年)が前向きにボールを運んで攻撃に勢いをもたらした。だが13分、圧巻の一撃で大津が先制点を奪う。前線でボールを受けたFW奥原零偉(3年)が潰しに来たDF2人を巧みにかわして前を向くと、右前方へ抜け出した水野へパスを送る。

 これを受けた水野はそれまでの悪い流れを断ち切るためにミドルレンジから思い切り良く右足シュート。雨の中、弾丸ライナーで打ち込まれた“キャノンショット”はキャッチしようとしたGKの腕を鋭く弾いてゴールに突き刺さった。

 エースの豪快なゴールによってスタンドのボルテージを上げた大津は、23分にも水野とMF松原亘紀(3年)のコンビで相手の守りを切り崩し、最後はFW大竹悠聖(3年)が右足シュート。良い形でボールを奪った際には鮮やかなパス交換から決定機を作り出す。一方のルーテル学院も25分に島崎が右サイドを突破し、FW竹宮彪真主将(3年)が右足シュート。これはGK水町彩人(3年)に阻まれたが、こぼれ球を繋いで野口がシュートを放ち、こちらも大応援のスタンドを沸かせる。

 大津は水野の縦突破や、準決勝の前半6分での負傷交代から復活したSB大場秀斗(3年)とMF高見柊真(3年)による左サイドからの仕掛け、MF福島隼斗主将(3年)のダイレクトでのスルーパスなど変化をつけようとするが、なかなか厚みのある攻撃ができず、個で打開しようとするシーンが増えてしまう。古閑健士監督が「コート全体を使えていなかった。もっと広く使えたら良かった」と語ったように、単発となった攻撃は相手のCB成田澪史(3年)やCB徳永敦優(3年)に跳ね返されてしまう。

 大津は後半10分にも松原と水野、奥原の鮮やかなコンビネーションで決定機を作るが、奥原のシュートは枠外。相手の2トップをマンマークした吉村とCB毛利友哉(3年)が起点をしっかりと封じて1-0を維持していたが、なかなか追加点を奪うことができなかった。

 すると後半28分、ルーテル学院が勝負に出る。長身CB徳永を前線に上げてパワープレー。32分には大津・水野の決定的なシュートを成田がスーパークリアして食らいつく。だが、アディショナルタイム1分、大津は大竹のフィードから右サイド深い位置でボールを受けたFW大崎舜(3年)がゴールライン際を突破。相手DF陣を引きつけて出したラストパスを水野が今度は右足で決めて勝負を決定づけた。

 ルーテル学院も3分後に野口のFKからGKの前に飛び込んだ交代出場FW瀬戸良太(2年)がヘディングシュートを決めて1点を返す。だが、大津が2-1で勝ち、全国復帰。その全国大会へ向けて古閑監督は「後ろからしっかり繋ぐことができるように」と求め、平岡和徳総監督は「いつも今以上のプレーを。今日勝ったことから、どれだけ成長できるかが大事」と語った。

 99年以降、大津が夏冬2年間連続で全国を逃したことはなかった。それが16、17年度は全国に届かず。その悔しさを乗り越えて出場する3年ぶりの全国へ、福島は「これ(予選)は通過点なので全国制覇できるように。自信はありますし、全国で力を発揮しないと意味がないのでこれからに繋げていきたい」と語り、吉村も「ずっと全国制覇という目標を立ててやってきている。しっかり力をつけて全国制覇したい」と誓った。5戦52発で頂点に立った新人戦から、インターハイ予選では警戒される中で苦戦を乗り越えて逞しくなった公立の雄。攻守に注目タレントの名が並ぶ「進化するブルー軍団」が今夏、悲願の全国制覇に挑戦する。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2018

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