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10人目までもつれ込んだPK戦を制す!市立尼崎が滝川二突破し、兵庫連覇へ王手!

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PK戦勝利を喜ぶ市立尼崎高イレブン

[6.8 総体兵庫県予選準決勝 滝川二高 1-1(PK8-9)市立尼崎高 アスパ五色メイングラウンド]

 市立尼崎が兵庫連覇へ前進! 8日、平成30年度全国高校総体「2018彩る感動 東海総体」サッカー競技(インターハイ、三重)兵庫県予選準決勝が行われ、昨年度選手権出場校の滝川二高とインターハイ予選連覇を狙う市立尼崎高が激突。1-1で突入したPK戦を9-8で制した市立尼崎が決勝進出を決めた。2年連続2回目の全国大会出場へ前進した市立尼崎は、10日の決勝で神戸弘陵高と戦う。

 互いに1人目から7人目までが全て成功したPK戦。先攻・市立尼崎は8人目のキッカー、GK山下颯太(3年)の右足シュートが右ポストを叩いてしまう。だが、その直後、山下が滝川二8人目のシュートを左へ跳んでストップ。そして10人目、市立尼崎はMF広沢季陽(2年)が右隅に決めると、後攻・滝川二のシュートをGK山下が再び左へ跳んで止め、決勝への切符を掴んだ。

「ただただ嬉しかったですね」という山下の下へ、市立尼崎の選手たちが笑顔で駆け寄る。近藤照男監督は「4回戦がPK戦でした。一回経験していることで自信を持ってくれた。彼らが勇気を持ってやってくれた」と選手たちを讃えていた。

 ただし、延長を含めた90分間について、指揮官は満足していなかった。前半から試合の主導権を握っていたのは市立尼崎の方。10番FW上野輝人(3年)とFW庄一真の強力2トップが滝川二の守りに穴を開けていたほか、キープ力の高さを示していたMF玉城颯太(3年)や右SB清水泰雅(3年)のドリブル突破や、昨年の予選では10番FWだった左SB前野恵吾(3年)の推進力ある動きなどを活かして滝川二にプレッシャーをかけ続ける。

 そしてゴール前のシーンを増やしていたが、近藤監督は「出て来てくれるから、もうちょっと揺さぶりをかけたかった」と首を振る。単独でも行き切れてしまうシーンが多かっただけに、攻撃が単調になった部分もあった。そのため、要所を締める相手から1点を奪うことができない。一方の滝川二は我慢の前半を無失点で切り抜けると、後半はクロスやMF全聖矢(3年)のロングスローで対抗。そして前線で鋭い動きを見せるFW千原颯太(2年)やFW赤瀬来威(3年)が決定的なチャンスを迎えたが、こちらも決めきることができない。

 市立尼崎は粘り強く守る滝川二のゴールを破れずにいたが、後半29分にスコアを動かす。相手CKのこぼれ球を繋ぐと、庄が左サイドを独走。そして中央の上野へパスを通すと、相手のタックルを巧みにかわした上野が左足シュートをゴールに突き刺した。試合終盤に強力2トップの攻撃力が炸裂。市立尼崎が白星に大きく近づいた。

 だが、その3分後の32分、滝川二が同点に追いつく。左サイド後方からSB柏原悠人(3年)がゴール前にFKを入れると、混戦からMF中森翼(3年)が左足シュートをねじ込んで同点に追いついた。勢いに乗った滝川二がロングボールからさらにチャンスを作ったのに対し、「(失点は)ウチの甘さが出た」(近藤監督)という市立尼崎もMF渡辺博樹(3年)のラストパスから上野が決定機を迎えたが、決めきることができず、延長戦に突入した。

 延長前半終了間際、滝川二はMF島和暉(3年)の右足ミドルが右上隅を捉えたが、市立尼崎GK山下がファインセーブ。その後半6分には市立尼崎FW上野がGKと1対1になったものの、今度は滝川二のGK西垣悠暉(3年)が止め返す。勝利への強い思いを見せあった両校による好勝負はPK戦に決着を委ねられ、市立尼崎が決勝進出を決めた。

 滝川二の松岡徹監督は「勝負どころで決めないといけない」と残念がった。一方、名門を乗り越えた市立尼崎は昨年、全国初出場。1回戦で山口の名門・高川学園高に0-1で敗れたが、そこで学んだことがある。上野は「相手の勢いとか声とか全然違っていて、応援も含めて多分相手の方が出ていたと思うし、(試合に)出ている選手だけじゃなくてベンチも凄く声が出ていた」と振り返る。自分たちも意識してきた声は今年、苦しい時間帯でチームを後押しする大きな力に。そして、磨いてきたポゼッションや個々のキープ力の高さなどを発揮した市立尼崎は、雪辱の舞台である全国まであと1勝とした。

 主将のCB関飛龍(3年)は「今の目標は全国出るのは当たり前。今年は絶対に1勝、そして1勝できたらそのままの流れで優勝したいと思います」と力を込めた。滝川二相手に巧さを見せたが、選手、コーチ陣も自分たちはまだまだできると考えている。決勝で対戦する神戸弘陵はプリンスリーグ関西で現在首位。大きな壁だが、再びファイナルへ戻ってきた市立尼崎が勝って全国で昨夏からの成長を示す。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2018

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