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鹿島内定CB関川主将が5か月ぶりに復活!初戦突破の流経大柏はインハイ連覇、3冠へ「エグい」「ヤベえ」チームに:千葉

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流通経済大柏高は鹿島内定CB関川郁万主将が復活。インハイ予選初戦を3-0で制した

[6.9 総体千葉県予選決勝T1回戦 流通経済大柏高 3-0 千葉日大一高 流通経済大柏高G]

 高校ナンバー1CB復活! 平成30年度全国高校総体「2018彩る感動 東海総体」サッカー競技(インターハイ、三重)千葉県予選は9日、16校による決勝トーナメントに突入。1回戦8試合を行い、昨年日本一の流通経済大柏高は今大会初戦で千葉日大一高に3-0で快勝した。流経大柏は10日の準々決勝で市立柏高と戦う。

 流経大柏は1月に膝の手術を受けて長期離脱していた鹿島内定CB関川郁万主将(3年)が、1月8日の選手権決勝以来、約5か月ぶりとなる対外試合復帰。本田裕一郎監督が「鹿島が一生懸命リハビリをやってくれた」と感謝した鹿島のサポートと、本人の努力によって、当初告げられていた7月下旬の予定よりも1か月半も早くピッチに戻ってきた。同じく怪我で離脱していた右SB西尾颯大(3年)も2日前に合流。新チーム発足から5か月にして初めてフルメンバーに近い陣容で試合に臨むことになった。

 この日、初めてキャプテンマークを巻いて試合に臨む関川が、「自分は(インターハイ予選の初戦を)3回やっているので、『初戦だから難しいぞ』と。『点が入らなくても焦れるな』と声をかけました」と引き締めて試合に入った流経大柏は前半、「シンプルに蹴って良い。前半は0-0でも良い」と指示を受けていた通り、相手に合わせる形でシンプルにロングボールを多用した攻撃を見せる。

 千葉日大一に圧力をかけて敵陣でスローインを獲得すると、10番MF熊澤和希(3年)が飛距離十分のロングスローを連発。CK、FKも増やした流経大柏は16分と22分にMF佐藤輝(3年)がヘディングシュートを放ち、29分には左ショートコーナーから関川が左足シュートを狙う。だが、これがDFにゴールライン手前でクリアされると、熊澤やMF中井颯人(3年)がチャンスを迎えながらも決めきることができなかった。

 前半は0-0で終了。集中したカバーリングを見せていたCB寺島タケル(3年)やCB米倉陸斗(3年)中心に踏ん張り、無失点で折り返した千葉日大一は選手間で「行けるぞ!」という声も挙がっていた。だが、後半3分、流経大柏が先制点を奪う。セットプレー後のこぼれ球にスライディングした関川がペナルティーアークやや外側でFKを獲得。キッカーの熊澤が右足を振り抜くと、ボールはゴール右上隅に突き刺さった。

 終始主導権を握り、慌てずに試合を進めていた流経大柏は後半半ば、「後半は蹴り合ってもしょうがないから、繋げと」説明する本田監督の指示でタッチ数の少ないパスでの攻撃にシフトチェンジ。サイドチェンジも増えてリズム良くボールが動くようになった流経大柏は18分、左クロスをファーサイドのFW北島直樹(3年)が頭で落とし、最後はMF岩崎千里(3年)が右足でゴールを破った。

 千葉日大一は米島のロングスローや寺島の左足キックから前線のスピードなどを活かして1点を目指す。だが、24分にMF高橋祐大(3年)が放った右足シュートを関川にブロックされたほか、関川の圧倒的な高さの前にロングボールを跳ね返され、セカンドボールを回収されるなどチャンスの数を増やすことができない。

 一方の流経大柏はゴール前に人数をかけ、身体を張ったシュートブロックを見せる千葉日大一からなかなか追加点を奪うことができなかったが、それでも後半アディショナルタイム3分、右サイドから4人、5人と絡んだ攻撃からダメ押しゴール。MF須永竜生(3年)のスルーパスをFW八木滉史が足裏で落とし、最後は切り返しでDFを外した熊澤が左足で決めた。

 流経大柏の関川は復帰戦で79分間プレーし、「楽しかった」。セットプレーでの感覚はまだまだのようだが、守備時に見せる空中戦の圧倒的な強さは健在で、新たな試みとしてドリブルでボールを運ぶ部分、ミドルシュートにもチャレンジしていた。加えて流経大柏はこの日、「瞬間的に速い」(本田監督)という1年生MF三好麟大が公式戦デビューするなどチーム内競争でアピールした選手も出場。相手にほぼチャンスを作らせず、特に後半はサイドの局面をダイレクトのパスワークで崩したり、1タッチのラストパスから決定的なシュートへ持ち込んだりするなどチームとして噛み合った攻撃も見せて快勝した。

 関川不在で不安視される中、プレミアリーグEAST開幕5試合をわずか2失点、無敗の2位につけるチームは自信をつけた。そして、“役者”の復帰。熊澤は「これでDFラインの不安もなくなったし、空中戦でも(関川)郁万がいるので跳ね返ってカウンターというのも増えるので安心です」と期待する。

 目指すは周囲から「エグい」「ヤベえ」と言われるようなチームだ。流経大柏の各部活動単位での目標に関川は「3冠」と記入。インターハイ優勝、選手権準優勝、そしてプレミアリーグ昇格を果たした昨年超えを掲げた。関川は「榎さん(榎本コーチ)から、(プレミアリーグを含めた)3冠はどこもやっていない。『エグい』とか『コイツら、ヤバイ』という集団にならないとダメだ、と言われました。去年超えられるような成績を残せればいいと思います。きょうみたいな内容じゃ、普通ですね」。チームは好調だが、関川は去年に比べるとまだまだできていないことが多いと感じている。その関川と熊澤をはじめ、西尾、GK猪瀬康介(3年)ら経験ある選手たちが周囲に伝えながら、高い意識を持ってトレーニングに取り組み、「エグい」「ヤバい」チームに進化して目標を達成する。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2018

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