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選手権決勝以来の復帰戦は無失点。流経大柏CB関川主将、来季加入の鹿島で「まだまだ成長できる」

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鹿島アントラーズ内定の流通経済大柏高CB関川郁万主将は無失点勝利

[6.9 総体千葉県予選決勝T1回戦 流通経済大柏高 3-0 千葉日大一高 流通経済大柏高G]
 
「偉大です」。2019年シーズンから鹿島アントラーズのユニフォームに袖を通すことが内定した流通経済大柏高CB関川郁万主将(3年)は、進路先のクラブをその一言で表現する。4月にオファーを受けた関川は、迷うことなく鹿島入りを決断。「ちっちゃい頃から見ていたクラブなので、そこから声がかかって行けるとなったら凄く嬉しくて……。でも、行くことだけが目標じゃない。そこでチャンスを掴めるかは自分次第。その日その日でしっかりやらないといけない」とJリーグを代表する“偉大な“クラブで努力を続け、必ずチャンスを掴むことを誓った。

 市原緑高、習志野高、そして流経大柏でFW玉田圭司(名古屋)、GK林彰洋(FC東京)、FW大前元紀(大宮)ら数々の名選手を育てている本田裕一郎監督は「トレーニングを見てもちょっと、タマが違う。凄いタマだよ。(空中戦の強さに加え)機を見て飛び出してくるのは凄い」と1年時のプレミアリーグEAST開幕戦から先発として起用してきた教え子について絶賛する。

 その本田監督が鹿島の椎本邦一スカウト担当部長になぜ、関川なのか訪ねたところ、同氏は「点が獲れる」と応えたのだという。どのポジションでも点を獲れることは大きなポイント。昨年のインターハイで4得点を叩き出し、選手権でも準々決勝でゴールを決めている関川はその守備能力の高さだけでなく、“点を獲ることのできる”才能も期待されて鹿島入りする。

 関川が勝負するCBのポジションにはいずれもW杯日本代表の昌子源と植田直通らがいる。昨年のインターハイ優勝、選手権準優勝の原動力となり、「高校ナンバー1CB」の評価を受けている関川だが、現状に満足していない。「(鹿島の先輩たちから)CBに必要なもの全て学びたい。得点だったり、フィードの質とか、(鹿島で)まだまだ成長できると思っている」と力を込める。

 同世代のCB菅原由勢(名古屋)がJ1開幕戦からスタメンを続けたことは刺激に。「羨ましいなと。俺も(先発)獲りたいな」という思いがある。鹿島でルーキーが開幕スタメンを勝ち取ることが簡単なことではないことを十分に理解した上で、全力で挑戦。サポーターに向けては「(攻守における)ヘディングだったり、対人の部分を見てもらいたい」と語った。

 この日のインターハイ千葉県予選決勝トーナメント初戦は1月8日の選手権決勝以来となる試合だった。関川は今年1月にかねてから痛めていた膝を手術し、長期離脱。春休みやゴールデンウィークなど鹿島でリハビリのサポートをしてもらい、ピッチに帰ってきた。鹿島への感謝も胸に79分間プレー。セットプレーの感覚が掴めず、得点を奪うことはできなかったが、それでも決定的なシュートを放ち、守備時の空中戦では圧倒、スライディングタックルでのボール奪取や身体を張ったディフェンスなど手術前と変わらぬ“らしさ”を表現していたことが印象的だった。

 加えて負傷中、外から試合を見ている間に感じたというCBの前方のスペースを活用するプレーにもチャレンジ。「一つFWを抜くというイメージというのが出てきた」という関川は相手FWのプレッシャーを外してドリブルで持ち上がり、バイタルエリアからのパスやシュートまで持ち込む動きも幾度か見せていた。

 5か月間、ピッチから離れていたが、不安はない。「不安はないっすね。自分が不安とか見せたら、チームが『え、大丈夫なの』となっちゃう」。人生初だというキャプテンマークも違和感なく、プレーしていた。鹿島入りし、注目度がさらに高まる中、懸命にリハビリを続けて当初の予定よりも1か月半も早く復帰したのは、主将、注目選手としての責任感と決意の表れ。「自分にとって開幕戦だった」というインターハイ予選初戦を無失点で終えたDFはこれから、迷惑をかけたチームに結果で恩返しし、鹿島で1年目から活躍するために少しでも成長する。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2018

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