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日本vsパラグアイ 試合前日の西野朗監督会見要旨

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記者会見する西野朗監督

 12日の国際親善試合でパラグアイ代表と対戦する日本代表は11日、試合会場となるオーストリア・インスブルックのチボリ・シュタディオンで公式練習を行った。練習前には西野朗監督が公式会見に出席した。

以下、西野朗監督の会見要旨

西野朗監督
「与えられたテストマッチが3試合の中、ガーナ戦、スイス戦でトライできたことを最後の試合でも続け、可能性を求めるテストマッチにしたい。あらかじめ伝えているとおり、出場の少なかった選手をテストしたい。スタートメンバーを固定して考えているわけではない。システムをトライし、キャスティングに関してもいろいろトライしながら明日のゲームも入っていきたい。新しい可能性を高いレベルで求めていきたい」

―一番確認したいことは。
「チームとしてのディフェンスの統一に関しては今朝もミーティングで話した。スイス戦でも、グループとしてのディフェンスはできていた。狙いとする部分、選手がて連動しながらのディフェンスはできていたと思う。ただ、やはり本大会を考えた中であれぐらいのチェイシング、あれぐらいのタイミングでどうなのか。そういうところは全体で統一していかないといけない。オフェンスのメンバー、ディフェンスのメンバーの間で多少のギャップがあると、やはり2失点目のような形にもなっていく。コロンビア戦を考えたら、そういう状況には持ち込みたくない。そのためにどうしたらいいかは統一していかないといけない。

 2試合(ガーナ戦とスイス戦)とも前半を0-1で折り返し、チームとして追わないといけない状況で(後半の)スタートを迎えている。その中で6人交代ができる。中盤、オフェンスの選手をスイッチしてフレッシュな選手が入ると、どうしてもプレッシングが連動しないことがある。ガーナ戦もスイス戦も連動してプレッシングはできていたが、現実としてコロンビアに対してはどうなのかというのはある。リトリートするタイミングとか、自エンドに押し込まれた状況で、相手のコントロールの中で行うのではななく、自分たちでリトリートしてブロックをつくるタイミングを合わせていかないといけない。ガーナ戦もスイス戦も全体でプレスをかけていく動き自体は合っていたが、はがされた瞬間の修正のポジショニングは問題。そこはハッキリしようという意識はチームとして持っている。ボード上では午前中のミーティングでクリアになっている。その感覚がピッチ上でどうか。コロンビアに対してどう対応できるか。詰められるだけ詰めたい。1対1の状況では対応が難しいことを考えれば、グループ、あるいは3ラインの中のポジショニングを修正していかないといけない。

 そして、攻撃に転じていく中でどう打開していくか。スイス戦ではそのタイミングを取れていたし、ミスも少なかったが、最終的にフィニッシュに持ち込むところで人が足りない、ディフェンスに追われてオフェンスのメンバーのパワーが足りないという部分があった。(W杯では)90分間を3人の交代の中で、ある程度コロンビアにコントロールされていても、(攻撃に)転じていく力をバランスよく取らないといけない。明日のメンバーにも同じようなことを求めたいし、感覚的にそのあたりを修正して入っていきたい」

―スイス戦は仮想コロンビア戦ではないということだったが、明日は仮想コロンビア戦なのか。
「スイス戦で仮想コロンビア戦でないと言った覚えはない。すべてがコロンビア戦に向けてのテストマッチ。仮想ポーランドではないと言った。明日の相手もコロンビアと類似したプレースタイルではないが、我々がコロンビア戦に向けてどう入っていけるかという可能性を探りたい。システムも可能性があれば、準備ができていくのであれば(オプションのテストを)考えたい。選手個々のコンディションを含めてすべて可能性を求めたい」

―足の長さなどは南米特有のものがあるか。
「それは間違いなくある。駆け引きの中で戦える。その感覚は得られると思う」

―チャンスはつくれているが、ゴールがない。ゴールを奪うイメージは。
「アタッキングサードにボール、人が入らない限り、そういうチャンスは生まれない。アタッキングサードに入るチャンスはスイスより多かったし、クロスもスイスより上げている。けど合っていない。クオリティーもそうだが、さらにもう一人入っていれば、こういうクロスが入っていればというチャンスをもっと増やしていかないといけない。そういう共有が必要。ただ単にクロスをコロンビアに入れ込んでも難しい。長友にしても(酒井)宏樹にしても(酒井)高徳にしても、クロスボールを上げるチャンスはゼロではないと思う。そのボールの質をどう中と合わせるか。逆サイドの乾が飛び込んでいるのか、原口が飛び込んでいるのか。(スイス戦では)実際には飛び込んでいなくて、ボックスの外で待っている。そこにはボールは入らない。ならば積極的にボックスに入るポイントを増やす。そういう追求の仕方は持っている。ただ、スイスも失点が少ないチーム。あのセンターバックを破るにはさらに変化も必要。ミドルシュートはスイス戦も打っていたし、相手を引き出していたと思うが、少しディフェンスに追われていた。あの大迫のパワーでフィニッシュが取れるかというと難しい。ディフェンス(の負担)を軽減しながらオフェンスにパワーを持っていく、全体のディフェンスのポジショニングを修正すれば、出ていけるのか。ゴールへの迫力、人も足りないし、ボールの変化もなかった。コロンビアに対して追求したいし、パラグアイもディフェンスの強いチーム。決定力不足が常にあってはいけないと思うので、そこを打開する手段をしっかり取らないといけない。全員が共有しないといけない」

―勝つ負けるでチームに与える士気もあるが、勝利へのこだわりは。
「代表チームはどんなゲームでも勝利することが大前提のうえでトライ、テストするのは当然のこと。そこは毎試合求めている。本大会前の3試合で選手もできるだけトライし、テストしたいという中で6人の交代を考え、プランを立てている。ただ、リードしている前提で選手をスイッチしていきたいというのはある。残念ながらビハインドになって投入していくと、前の選手はどんどんプレスを継続してかけていく。“今は0-1でオーケー”というゲームでも、フレッシュな状態で入ってくるオフェンスの選手は点を(取りたい)となる。ディフェンス陣は“今はまだ”という中でもチームとしてそういう状況になる難しさがある。本当はゲームをコントロールしながら勝負に入っていきたい。前提は得点を取る。得点を取ったあと、どう展開していくかという中で選手を投入すればやはり追加点をとなるし、また違った状況になる。勝負とテストのバランスが難しい中で試合に入っている。ただ勝つことによってチームの活性化という意味では違う。明日もそこは強く追求して試合に入りたい」

―日本国内の盛り上がりは欠けているように思うが。そういう状況だと監督にもプレッシャーはないか。
「今、初めて残念な報告を聞いた。盛り上がってないんですか? 私自身プレッシャーがないというのも間違っている」

―時間がない中で最後の協会試合で出場機会のない選手を起用する理由は。最後の試合でチームの完成度を高めないのか。
「向かい方に対するアプローチの問題だと思う。5月21日に全員が集まったわけではなく、代表活動がそこからスタートし、全体がそろったのは25日。与えられたテストマッチが3試合。できることであれば、当初から23人を固定しながら、チームも常に固定した中で取り組むべき時間だと思う。固定したレギュラーメンバーで、システムも固定した中で修正をかけていくのも一つ。しかし、本大会へ必要であろうと思われるシステムを今までやっていなかった。3試合の中でシステムも変え、選手も固定せず、マックスでゲームに対してトライする。明日の試合もそう。アプローチとして毎試合考えながらチームをつくっていき、コロンビア戦にあてたいというのが自分のアプローチ。それは選手にも伝えているし、時間の問題はあるが、その中でロシアに入って最終準備をしたい」

―ゲームコントロールについてどう感じているか。
「ゲーム自体はガーナ戦もスイス戦も相手に取られていたとは思ってない。投入する選手も、状況がビハインドという中でオフェンシブなポジションであったりプレーを要求して投入している。その中でいい形の時間帯があった。決してゲームをコントロールされていたとは思っていない。ただ、選手やキャスティングによって、グループのパフォーマンスにズレがある。コンビネーションやグループの意識はまだ足りないと思う。全体的にゲームを支配された2試合だったとは感じていない。ディフェンスの入りや、奪ったあとのポジショニングはまだまだ詰めないといけない。その回数はこれから少なくなっていく。その中で鋭さを求めていかないといけない」

(取材・文 西山紘平)

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