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逆風に強い男。川島の使命感

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練習でシュート1本無駄にしない川島永嗣

 3度目の大舞台となれば、求められるハードルがおのずとあがる。チーム最年長の35歳、日本代表GK川島永嗣は、ひたむきに完璧を求める。

「この2試合(川島が先発したガーナ戦、スイス戦)のパフォーマンスには満足していないし、自分が考えているプレーができているとも思っていない」

 西野ジャパンが発足後、最初の2試合に先発。いずれも先制点を与えた。8日のスイス戦では、失点こそつながらなかったが、飛び出しのタイミングを誤ってピンチを招いたり、不用意なスローイングで相手選手にボールを渡すミスもあり、周囲には正GK交代を求める声まであがった。
 
「一つのミスが取り沙汰されるのは今までもそうだし、今も向き合っているつもり。そこから逃げるつもりはない」   

 逆風には何度もさらされてきた。その都度、乗り越えてきたからこそ、この男の価値がある。この4年間の最大のピンチは2015年6月に訪れた。同年6月にベルギーのスタンダール・リエージュを退団後、5か月以上、所属先が見つからなかった。チームを訪ねて練習に参加するも、契約には至らない日々。日本代表のリストからも外されるようになった。

 当時の心境を、NHKのインタビューにこう明かしている。
「代表はある意味、あきらめなければいけないのかなとも感じていました」

 2015年11月にスコットランドのダンディー・ユナイテッドに入り、翌2016年8月にフランスリーグのメスへ移籍。しかし、入団当初は第3GKの扱い。リザーブチームで実戦感覚を研ぎ澄まし、翌2017年1月にカップ戦でデビューするまで約5か月費やした。

 実戦感覚が十分でない中、川島は約2か月後の同年3月、アジア最終予選のUAE戦で先発に抜擢された。この時点で2位につけていた日本だが、もしこのアウェー決戦に敗れれば、W杯出場が大きく後退する状況だった。

「あの時は使命感しかなかった。この役割を全うしなければいけない、という……。余計なことは何も考えなかった」(NHKのインタビュー)

 前半、相手選手と1対1になるピンチにも、両足を広げて相手シュートを何とかブロック。2-0で完封勝利に貢献し、崖っぷちに立たされていた日本代表を救い、そして自分の立場を守ったのだ。

 6月12日、W杯前最後の実戦となったパラグアイ戦に4-2と逆転勝利をおさめ、これまでの沈滞ムードからは脱した。しかしこの試合は東口順昭中村航輔が出場し、川島はベンチで戦況を見守った。19日の強豪・コロンビア代表戦からはじまるW杯本番で、相手の攻撃力に不足はない。GKの鬼気迫るセーブで最少失点に抑えることが、躍進の最低条件といえる。

「今、自分に求められているのは言葉でなく、プレー。自分自身のパフォーマンスをあげないといけない」

 好セーブのときに見せる川島のドヤ顔が何度も見られたとき、日本の快進撃がはじまる。

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