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[MOM534]早稲田大FW梁賢柱(2年)_北朝鮮代表で東京五輪、W杯へ…カリアリFWと誓い合う

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FW梁賢柱が途中出場で結果を残した

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.9 関東大学リーグ1部第9節 早稲田大4-0国士舘大 たつのこ]

 早稲田大はFW梁賢柱(リャン・ヒョンジュ、2年=東京朝鮮高)の投入で、国士舘大を一気に畳みかけた。

 後半12分から登場すると、直後のプレーで同じく後半開始から途中投入されていた主将FW岡田優希(4年=川崎F U-18)が先制点。同13分にも岡田が得点すると、同15分には梁のシュートのこぼれ球を岡田が押し込んでハットトリックを達成。梁も同33分に汚名返上とばかりにダメ押し点を決めた。

 途中出場の2人による4ゴールで大勝したように、作戦通りの戦いで勝ち点を積み上げた早大は、2位に勝ち点6差をつけて首位を独走することになった。

 前節の順天堂大戦で決定機を外したことを悔やんでいたという梁は「自分がこの試合を決めてやるという覚悟を持って試合に入りました。(得点の場面は)相手のミスでボールがこぼれてきましたが、しっかり流し込めたと思います」と関東1部リーグ初ゴールを素直に喜んだ。

 梁は東京朝鮮高から早大に進学。兄のMF梁碩柱が朝鮮大学校に進んだように、仲間のほとんどは同大に進学したが、梁はスポーツ推薦の狭き門を突破し、早大に進学した。

 スポーツ推薦のためには高校時代の実績が必要となるが、梁は高校2年時の15年10月にU-17北朝鮮代表に選ばれ、チリで開催されたU-17W杯に出場。先発1試合を含む3試合に出場し、北朝鮮の16強入りに貢献した。翌年にはAFC U-19選手権にも出場。イラクやUAEと同組だったこともあり予選敗退となったが、梁自身も得点を記録した。

「日本から一人だけで参加しました。朝鮮語が話せるのでコミュニケーションの問題はありません。逆にあっちが受け入れてくれて、日本で頑張っていることを評価してくれていました。みんな日本のことに興味があって、Jリーグにも興味を持っていました」

「U-17代表で一緒だったほとんど選手たちがU-19代表でも一緒だったのですが、8人くらいがイタリアとかブラジルとかスペインに留学していて、イタリア語、ポルトガル語、スペイン語もみんなペラペラ。個を意識するサッカーですが、いいサッカーをしているので、世界の人たちに見てほしいです」

 その中でもひと際目立つスーパーな選手がいた。現在カリアリに所属するFWハン・グァンソンだ。すでにセリエAでの得点も記録し、今冬にはこの逸材に目を付けたユベントスが、1000万ユーロ(約14億円)の移籍金を提示したと伝えられている。

 2トップを組んだ梁も「あれはケタ違い」と一目置く存在。普段は「おふざけキャラ」で、よく冗談を言い合うという間柄だというが、2020年の東京五輪、そして2022年のカタールW杯に出て、「2人で出て活躍しよう」と誓い合っているという。

 そして梁自身も将来的には海外で、ハン・グァンソンと同じフィールドで活躍したいという夢を持つ。ただまずは日本で、何より大学サッカー界で存在を示していきたいという思いがある。「鄭大世選手(清水)はいい意味で在日朝鮮人の存在価値を変えてくれたと思っている。それを自分も影響受けているから、僕も大学で存在意義を示していければいいですね」。

(取材・文 児玉幸洋)
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