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君はいくつ覚えている?スパイクマイスターKoheiが選ぶ歴代スパイク #マイベストイレブン

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Kohei氏が選んだ歴代スパイク #マイベストイレブン

 6月14に開幕する世界大会を目前に、様々な著名人が歴代ベストイレブンを選んで盛り上がる季節になってきた。ゲキサカでは、これまで1,000足以上のサッカースパイクを履いてきたスパイクマイスターKohei氏に、歴代スパイクからお気に入りを選んでもらい、11個のポジションに落とし込んだスパイク「#マイベストイレブン」をピックアップしてもらった。

 Kohei氏「システムは4-4-2のダイヤモンド型。2トップは軽量スピードスパイクで前線をかき回し、トップ下がエレガントにゲームメイク、両サイドハーフが激しい運動量をカバーして積極的なディフェンスも披露しながら正確なクロスやカットインでゴールチャンスを演出。ボランチが長短の正確なパスで攻撃の起点となり、両サイドバックが連動したビルドアップを促しつつ、隙を突いたオーバーラップで攻撃参加もこなす。センターバックはフィッティングコンセプトスパイクの両雄で一切の違和感なくプレーをサポート。ゴールキーパーが激しいセービングの中でも優れた耐久性・ホールド性・ボールコントロール性を発揮。そのようなチームをイメージし、スパイク・マイベストイレブンを選びました。」

【FW】2トップは軽量性、スピード重視

FW①:
ナイキ『マーキュリアルヴェイパー3』


 ナイキ「マーキュリアル」シリーズは今年で20周年を迎え、"スピードスパイク"の代表格として存在感を放っている。その歴代「マーキュリアル」シリーズの中で個人的に好きなモデルはたくさんあるが、そんな中で、今回のマイベストイレブンでは2006年発売の『マーキュリアルヴェイパー3』をチョイスした。シンプルでありながらスピード感を意識したデザイン、カカトの抜群のホールド力、ブレない安定した履き心地、そして、中底に軽量・高反発なカーボンファイバープレートが搭載されダッシュ・加速をアシストしてくれるスパイクだった。当時、元ブラジル代表のロナウドも、ポルトガル代表のC・ロナウドも着用していた。

FW②:
アディダス『F50アディゼロ4』


 2トップのもう一角にはアディダス『F50アディゼロ4』を選んだ。アディダスの軽量スパイクの代名詞として"アディゼロ"は今でも多くのサッカープレーヤーの脳裏に残っているだろう。2010年~2015年まで1年毎に進化し、計6世代続いた「F50アディゼロ」シリーズの中で2014年発売の『F50アディゼロ4FG』が一番好きである。いや、大好きだ。前足部は非常に柔らかく薄いハイブリッドタッチアッパーが心地よいフィット感を生み出しつつ、後足部にはスピードフォイルアッパーという薄く軽量でありながら丈夫な素材を採用して履き口周りやカカトをしっかりとホールド。そして、なんといっても片足重量約150gの劇的な軽さ!2018年の今となってもまだ普段の試合で使用しているぐらい好きなスパイクである。2014年にブラジルで開催された国際大会では『F50アディゼロ4』が最も多くのゴールを決めたスパイクに輝いた実績もある。コロンビア代表FWハメス・ロドリゲスが得点王になり、オランダ代表FWロッベンがトップスピード時速37キロという世界最速のスプリントを記録した。その足元では『F50アディゼロ4』が躍動していたのである。

【MF】ダイヤモンド型の中盤を構成する懐かしい顔ぶれ

トップ下:
アディダス『アディピュア』


 トップ下にはアディダスの『アディピュア』を選定。「アディピュア」シリーズは2008年~2013年まで続いたシリーズだが、その中で私が一番好きなのは2008年発売の初代モデルである。アッパー全体に上質なカンガルーレザーを採用し、極上のフィット感をもたらしてくれるのはもちろんのこと、余分な個所や違和感を生み出すような箇所は一切なく、気持ち良い履き心地、蹴り心地を実現してくれるスパイクだった。履いていてとにかく違和感がなく、足なじみ抜群。トップ下として長短のパスでゲームメイクしゴールチャンスを創出する際に「アディピュア」の極上フィット、極上タッチが心強い味方となってくれる。当時、ブラジル代表MFカカや、スペイン代表MFシャビ・アロンソなどが着用していたことからも「アディピュア」の良さは伝わるだろう。

右SH:
ナイキ『エアズームトータル90 Ⅱ』


 右サイドハーフにはナイキの『エアズームトータル90Ⅱ』を選定。2002年に発売されたスパイクであるため、最近の中高生プレーヤーは知らないかもしれないが、2002年に日韓で共催された国際大会で輝きを放ったスパイクである(日本代表MF稲本潤一や小野伸二なども着用)。
2000年代初頭の人工皮革のスパイクは"耐久性は高いけれどもアッパーが硬い"というのが通例だったが、「エアズームトータル90Ⅱ」は人工皮革でありながら柔らかさも実現し、シューレース(靴ひも)を外寄りに配置した設計も加わっていたことで足全体をなめらかに、かつ、ソフトに包み込んでくれるフィット感が秀逸であった。そして、中敷きの前足部と後足部にナイキの"ズームエア"ユニットを搭載。アッパーのフィット感の良さや、インステップの蹴り心地の良さに加え、優れたクッション性も兼ね備えていたという、当時としては画期的な機能性スパイクであった。この「エアズームトータル90Ⅱ」を履いてサイドをドリブル突破し、ピンポイントクロスを上げる、かつてのポルトガル代表MFフィーゴのようなプレーが目に浮かぶ(フィーゴは実際に「エアズームトータル90Ⅱ」を着用していた)。

左SH:
ミズノ『ウェーブカップリバウド』


 左サイドハーフにはミズノの『ウェーブカップリバウド』を選定。2002年の国際大会でブラジル代表MFリバウドが着用したスパイクだ。ミズノの「モレリア2」を選ぼうと思ったが、「モレリア2」は今でも販売されているロングセラーの超有名スパイクであるため、今回のマイベストイレブン企画ではあえて「ウェーブカップリバウド」をチョイスした。左サイドを激しく上下動することを想定したときに「ウェーブカップリバウド」のソールに搭載されている"ミズノウェーブ"という機能が優れた衝撃吸収性と安定性を発揮してくれる。さらに、カンガルーレザーのアッパーのフィット感も快適で、ウェーブカップ専用設計のアウトソールとスタッドによる安定した着地感と的確なグリップ力も魅力的だった。白×青×黄という爽やかなカラーリングも好きなポイントの一つだ。

ボランチ:
アディダス『プレデターマニア』


 ボランチにはアディダスの『プレデターマニア』を選定。アディダスのサッカースパイクといえば「プレデター」と言っても過言ではないほど、アディダスの代表的なスパイクが「プレデター」である。1994年から始まった歴代「プレデター」シリーズの中で私が最も好きなモデルが2002年発売の「プレデターマニア」だ。ここで「プレデターマニア」の魅力を語ろうとすると、論文レベルの長文になってしまう可能性があるため割愛するが、"プレデターマニアのマニア"と自負しているほど、「プレデターマニア」に今でもぞっこんだ。2002年の国際大会でベッカム、ジダン、デルピエロ、バラック、宮本恒靖など、数多くのアディダス契約選手が着用した。

【DF・GK】4バックとGKを支えるそれぞれの役割

右SB:
ディアドラ『トッティ10 PRO RTX12』


 右サイドバックにはディアドラの「トッティ10 PRO RTX12」を選定。スパイク名の通り、イタリア代表MFトッティのための、トッティだけが着用したスパイクだ。バッジオ、インザーギ、ヴィエリ、ロイ・キーンなどかつては名プレーヤーが着用したことでも知られるディアドラだが、数あるディアドラのサッカースパイクの中で私が一番好きなモデルが「トッティ10 PRO RTX12」である。2005年に発売されたスパイクの中では珍しく、前足部にステッチがほとんどない設計が採用されており、ほぼノンステッチのカンガルーレザーが足先に柔軟にフィットし、柔らかく包み込まれている感触がたまらなく良かった。そして、ヒール幅はスリムな設計で、外付けのヒールカウンターがバッチリとカカトをホールド。安定性と剛性に優れたRTX12というディアドラ独自のアウトソールと、クロータイプの刃型スタッドが鋭いグリップ性をもたらしてくれる、フィット&テクノロジーが組み合わさったスパイクだった。もしも復刻版が発売されれば、5足ぐらい大人買いしてしまうかもしれない(笑)。

左SB:
アシックス『DSライトジェニオ2』


 左サイドバックにはアシックスの「DSライトジェニオ2」を選定。「DSライト」の初代モデルが発売されたのが1999年。2018年の現在でも継続して販売されている「DSライト」シリーズは、アシックスの定番スパイクとして確固たる地位を築いている。1999年の初代モデルのデビューから年々進化し、フィット&軽さ&コスパの良さの3拍子揃ったスパイクということで子供から大人まであらゆる層から定評を得ている「DSライト」シリーズ。その中で最も印象に残っているのが「DSライトジェニオ2」だ。
 現行の「DSライトX-FLY3」の方がより軽く、より安定性に優れているが、"素足感覚の履き心地"という部分では「DSライトジェニオ2」の心地よい足入れ感も決して引けを取らない。むしろ、足先の収まり具合の良さを感じれながら、中足部以後はマイクロファイバーがピタッとフィットし、ノンストレスに足と一体化してくれるようなあの足入れ感、"素足感覚"な履き心地は今でも如実に覚えている。「DSライトジェニオ2」はあの小野伸二が惚れ込み、愛用したスパイクでもある。

CB①:
ナイキ『ティエンポレジェンド4エリート』


 センターバックにはナイキの「ティエンポレジェンド4エリート」を選定。ナイキ「ティエンポ」シリーズは1998年頃のモデルから現在まですべての世代を履いてきたが、各世代ごとに違った良さがあるためセンターバックの一角として選びきるまでにかなりの時間を要した。数ある「ティエンポ」シリーズの中で今回は2011年発売の「ティエンポレジェンド4エリート」を推したい。
 プレミアムカンガルーレザーをアッパー全面に採用しつつ、両サイドの内部にフライワイヤーというケーブルを密に内蔵していることで柔らかなフィット感の中にもしっかりとした安定感がある履き心地が実現され、オールレザーなのに的確な保形性が兼備されていたのがGoodポイントである。また、この世代の通常モデルはTPU樹脂のシンプルなアウトソール採用であったが、エリートプレーヤー向けのハイスペックバージョン(ELITEモデル=定価4万円前後)ではアウトソール全体に軽量・高反発なカーボンファイバープレートが内蔵され、「ティエンポ」伝統のフィット感と、先進の機能性が融合したハイスペックなフィッティングコンセプトスパイクに仕上がっていた。

CB②:
プーマ『パラメヒコライト』


 もう片方のセンターバックにはプーマの「パラメヒコライト」を選定。スペイン語で"メキシコのために"を意味する「パラメヒコ(PARA MEXICO)」は、1986年のメキシコ大会出場を目指す日本代表選手たちのために開発された日本製のスパイクである。そんな「パラメヒコ」のLITE(軽量)バージョンが「パラメヒコライト」。「パラメヒコライト」は2010年にリリースされ、その後、2015年まで年々アップデートされたが、2010年発売の最初の「パラメヒコライト」が最も好きだ。それ以後の「パラメヒコライト」シリーズも履いたが、最初の「パラメヒコライト」が良すぎたため、あまり印象に残っていない。
 「パラメヒコ」は高校時代に惚れ込んだスパイクの一つだが、唯一、片足重量290gの重さがネックであった。しかし、「パラメヒコライト」では片足重量240gまで軽量化に成功し、よりタイトな設計になりながらアッパーはオールカンガルーレザー採用になったことで軽量化とフィット性UPの両立が実現され、申し分ないスパイクに仕上がった。おおもとの「パラメヒコ」の面影を残しつつ、それをさらに昇華させて名品へとステップアップしたスパイクだと言えよう。

GK:
アディダス『エース15.1』


 ゴールキーパーにはアディダスの「エース15.1」を選定。試合中に激しいセービングをこなすゴールキーパーにとって、スパイクの"耐久性"は重要な部分だ。「エース15.1」は合成樹脂、EVA、合成繊維の3層構造で構成された独自の合成皮革アッパーを採用することで優れた耐久性を確保しながら足全体を的確にホールドしてくれる安定性も兼備し、ソールと一体化したヒールカウンターによってカカトにもガッチリとした安定感がある。アウトソールには43本ものスタッドを搭載することでソールの安定感も抜群。ブレないグラつかない安定した履き心地が安定したセービング・キャッチングに繋がるだろう。


 歴代スパイクから選ぶマイベストイレブンは人それぞれに思い入れやこだわりがあるだろう。印象に残っているスパイク、大好きだったけれどもう履くことができない昔のスパイク、スパイクに対する思い入れは十人十色だ。みなさんもこの機会にマイベストイレブンを考えてみてはいかがだろうか。

■あなたは、どのスパイクを選ぶ? #マイベストイレブン 特設サイトはこちら↓
https://mybesteleven.com/

Koheiプロフィール:
日本初のスパイクマイスター。日本全国の部活プレイヤーがサッカースパイク選びの参考にする「Kohei's BLOG」の運営者。これまでに1000足以上のスパイクを着用し、その最新情報や機能性を独自の視点で紹介している。国内でも有数のスパイク目利き力を持ち、プレイヤーの生の足を見れば、その人にマッチするスパイクが何かを見抜くことができる。身長180cm、体重72kg。ポジションはFW、ときどきMF。中学、高校、大学とサッカー部に所属し、現在も社会人チームでプレー。

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