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終盤追いつき、9人目までもつれ込んだPK戦制す!桐光学園が3年ぶりに夏の全国へ!:神奈川

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桐光学園高が3年ぶりに夏の全国へ

[6.16 総体神奈川県予選準決勝 桐光学園高 1-1(PK 8-7)厚木北高 等々力]

 桐光学園が3年ぶりの全国へ! 平成30年度全国高校総体「2018彩る感動 東海総体」サッカー競技(インターハイ、三重)への出場権2枠を懸けた神奈川県予選は16日、準決勝を行った。桐光学園高厚木北高戦は1-1で突入したPK戦の末、桐光学園が8-7で勝利。桐光学園は決勝(17日、対三浦学苑高)進出と、3年ぶり13回目のインターハイ出場を決めた。

 プリンスリーグ関東勢の桐光学園が底力を見せた。立ち上がりの7分間でCK3本と敵陣でのFK2本を獲得するなど序盤は桐光学園が猛プッシュ。迫力ある攻守を見せた桐光学園は右のMF阿部龍聖(3年)と左のMF佐々木ムライヨセフ(2年)の両翼のドリブルや、エースの自覚あるプレーで強引にラストパス、シュートまで持ち込んでいたU-16日本代表FW西川潤(2年)を中心に先制点を目指す。

 27分には左クロスをファーサイドのFW敷野智大(3年)が折り返し、ゴール前の西川にボールが通るもシュートを打ちきれず、こぼれ球を狙った敷野の左足シュートも枠を外れてしまう。15年ぶりの全国出場を狙う公立校、厚木北は準々決勝で昨年の全国準Vチーム、日大藤沢高を破って4強入りしているチーム。この日も力があることを示していた。桐光学園は守備の際にプレッシャーに行ききれずにパスを通されたり、守備が不安定になるところも。そして、テンポ良くボール動かされたり、MF河野柊大(2年)にドリブルシュートを打たれるシーンもあった。

 前半36分に厚木北が先制点を奪う。GK橋本駿也(3年)のキックを前線で奮闘していたFW橋本敢太(3年)が頭で相手DFラインの裏へ落とす。桐光学園のDFがブロックしながらGKにキャッチさせようとしていたが、この間に体をねじ込んだ10番FW谷脇迅(3年)が右足でつつく。これがゴールを破って厚木北が先制した。

 桐光学園は後半開始直後、右サイドを突破した阿部とDF背後へ飛び出した佐々木がそれぞれ決定機を迎えたが、厚木北GK橋本駿がファインセーブ。逆にMF宮入星也(3年)の背後を突くパスや谷脇の1タッチパスなどから攻め返す厚木北は12分、左サイドをワンツーで切り崩した河野の左足シュートがポストを叩いた。

 CB中村旭(3年)や橋本駿中心に守る厚木北に対し、桐光学園はMF中川優(3年)やMF松永陽平(3年)といった攻撃カードを切って1点をもぎ取りにいく。厚木北は集中した守りを続けていたが、苦しい展開の中でも攻め続けていた桐光学園がゴールをこじ開ける。33分、桐光学園は左SB國谷敦史(3年)の右CKをニアの右SB岡孝樹(3年)が頭で合わせて1-1。この後、互いにセットプレーやサイド攻撃から2点目を狙いに行く。だが、厚木北は相手のセットプレーからのシュートをしっかりブロックし、桐光学園も1年生GK北村公平やCB望月駿介主将(3年)中心に隙を見せない。後半の残り時間と前後半計20分間の延長戦で得点は入らないまま“全国出場決定戦”はPK戦に突入した。

 PK戦は後攻・桐光学園の2人目を厚木北GK橋本駿がストップ。直後に厚木北3人目のシュートが左ポストを叩くと、その後は両校譲らず、8人目まで成功し続けた。迎えた9人目、厚木北のシュートを右に跳んだ桐光学園GK北村が止める。これは蹴る前に動いたという判定で蹴り直しになったが、その蹴り直しのキックがクロスバーを越えて失敗に。直後、桐光学園の9人目、松永が右足シュートを決めて熱戦に決着をつけた。

 桐光学園にとっては、先制されて終盤まで0-1が続く苦しい展開だった。それでも今年の強みであるサイドの突破力などを活かして攻め続けて追いつき、PK戦でも食らいついて白星を引き寄せた。底力を見せて全国切符を掴み取った選手たちに対し、鈴木勝大監督は「(PK戦を含めて)選手たちが(自分の力を)信じて気持ちよくやってくれた」と頷いていた。

 今年、鈴木監督は力を持っていると認める選手たちに「成長していくストーリーを作って行こう」と語りかけているのだという。毎週、努力を重ねて選手権まで積み上げていくストーリー。望月が「インターハイだから頑張るのではなくて、1試合1試合頑張ってその先にインターハイの切符がある」と語るように、先を見すぎることなく、目の前の階段を一歩一歩上ることにトライしてきた。そしてこの日、大一番を乗り越えたことで得た成長を加速させる機会。望月は「きょう本当に勝ち切れたのは、みんなの成長に繋がる。明日もしっかり勝って全国に繋げたい」と語った。

 桐光学園は怪我によって複数の欠場者がいる中、松永や北村らチャンスを得た選手の活躍もあって掴み取った全国切符。インターハイ予選中も成長を遂げた名門が高い目標も持って全国に臨み、最大目標の冬へ向けて力をつける。 

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2018

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