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「初出場みたい」な全国総体へ…伝統校・習志野、昨季全国Vの流経大柏を2-1撃破!!

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全国大会出場権を獲得した習志野高

[6.16 総体千葉県予選準決勝 流通経済大柏高1-2習志野高 柏の葉]

 平成30年度全国高校総体「2018彩る感動 東海総体」サッカー競技(インターハイ、三重)千葉県予選は16日、柏の葉公園総合競技場で準決勝を行い、前年度全国王者の流通経済大柏高習志野高に1-2で敗れた。金星を挙げた習志野は2014年以来、4年ぶりの全国大会出場権を獲得した。

 序盤からロングボールを使って押し込んだ流経大柏だったが、先に試合を動かしたのは吹奏楽部をまじえた大応援団を従える習志野だった。前半4分、カウンターから一気に右サイドを侵攻すると、サイドバックのDF開米崇翔(2年)がクロスを供給。ボールは流経大柏守備陣を越えていき、逆サイドから飛び込んだMF鈴木勇太(3年)がヘッドで決めた。

 昨年度の選手権予選では、準々決勝で同カードが行われ、その時も習志野が先制していた。だが、最終的には1-2で逆転負け。実質的に指揮を執る篠達也ヘッドコーチ「こういう展開もあると思っていたので、とにかく浮き足立つな、色んなことを想定していこうと伝えていた」という。そんなアドバイスもあり、習志野は過度に守りに入ることなく戦う意識を共有した。

 ただ、流経大柏もセットプレーを中心に習志野ゴールに攻め込んだ。特に脅威となっていたのは、MF熊澤和希(3年)のロングスロー。DF松戸瑛登(3年)、DF関海翔(3年)のクリアもあり、直接合わせることはできなかったが、こぼれ球からMF中井颯人(3年)、MF芹田悠真(3年)が次々にチャンスを迎えた。

 しかし、流経大柏が放った6本のシュートが不発に終わると、次に試合を動かしたのも習志野だった。前半アディショナルタイム1分、セカンドトップ気味のポジションを取っていたMF桜庭晴人(2年)が敵陣でボールを奪うと、ゴール前に向かって攻め込み左の味方へパス。FW打林怜士(3年)がGK猪瀬康介(3年)との1対1を制し、落ち着いてゴールに流し込んだ。

「これほどうまくいくとは思っていなかった」。そう苦笑い気味に振り返った習志野の篠コーチとは対照的に、流経大柏の本田裕一郎監督が満足していなかったのは明らか。この日は3年生11人をスターティングメンバーに並べていたが、ハーフタイムに取った作戦はまさかの『4枚替え』。それも全て1~2年生という荒療治に打って出て、残り40分間での攻勢を試みた。

 すると後半3分、すぐにその策が功を奏する。ゴール前の混戦から熊澤、MF佐藤輝(3年)がつなぎ、シュートを放ったのは投入されたばかりのFW三好麟大(1年)。足を伸ばしながらのコントロールショットがゴール隅に突き刺さり、待望の1点が入った。その後もサイドバックのDF西尾颯大(3年)、MF岡本竜(3年)のポジションを上げ、“2バック”のような布陣を続けた。

 同じくハーフタイムに長身FW遠藤一真(3年)を入れた習志野も、ハードワークを生かしてカウンターの脅威をチラつかせる。相手のロングボールやセットプレーを果敢に受け止め、主将のMF中澤大翔(3年)を中心にまとまったイレブンは、一方的に攻め込まれることもあった中で何とか耐え抜いていった。

 一方の流経大柏は後半25分くらいから、中盤の佐藤を最終ラインに下げ、DF関川郁万(3年)を前線に上げるというリスク策に出る。しかし、熊澤のシュートが枠を外れたり、GK西村富士大(3年)にセーブされたりと、なかなか決定機をつくれない。

 流経大柏は後半33分、最後の交代カードとしてMF木村聖(2年)を投入。以降は木村のロングスローでチャンスを立て続けにつくったが、1-2のまま試合は終了。4年ぶりに全国大会出場権を逃すという結果に終わった。試合後は関川が応援団の前で涙を流す場面も。そのまま足早にスタジアムを後にし、同校グラウンドでのトレーニングに取り組んだ。

 習志野にとっては4年ぶりの全国行き。関東大会、県リーグで苦しんでいた失点癖を解消したことが勝因となった。「昔は常連だったけど、新しい時代では初出場みたいなもの。勝たないといけない責任はあるが、まずは1勝して、そこから目の前のゲームを一戦一戦大事にしていきたい」(篠コーチ)。千葉県代表としての誇りを胸に、夏の一大トーナメントに挑んでいく。

(取材・文 竹内達也)
●【特設】高校総体2018

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