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[MOM2547]習志野FW打林怜士(3年)_思いは一つ“古豪復活”。変貌遂げたストライカーが流経撃破の決勝弾

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追加点が決まり、飛び跳ねて喜ぶ習志野高FW打林怜士(3年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.16 総体千葉県予選準決勝 流通経済大柏高1-2習志野高 柏の葉]

 変身を遂げたストライカーが全国への扉を開いた。習志野高FW打林怜士(3年)は前半アディショナルタイム、ショートカウンターからMF桜庭晴人(2年)のパスを受ると、GKとの1対1を制して決勝点を記録。終盤のセットプレー守備では、ストーン役となってボールを跳ね返し続け、4年ぶりの全国大会出場権獲得に大きく貢献した。

 数か月前までなら、考えられないチームプレーだった。「おいしいところだけ、って選手だったんですけどね」と懐かしそうに振り返ったのは、昨季から母校で指導を開始し、今季から実質的に指揮を執る篠達也ヘッドコーチ。当然のように周囲の評価は高くなく、素質は認められながらも十分な出番を与えられてこなかった。

 だが、伝統校を担う最高学年の自覚が181cmの点取り屋を目覚めさせた。「もともと能力はあったんですけど、チームに貢献できていたかというと……。ですが、いまは気持ちを入れ替えて頑張ってくれています」(篠コーチ)。前線からのプレッシング、フォローが少ない時間帯でのポストプレー、味方を楽にするための空中戦など、チームプレーにおいて長足の進歩が見られるという。

 そんな心がけは、全国大会出場を懸けた総体予選準決勝の流通経済大柏高戦でも十分に見て取れた。前半は4-2-3-1の1トップで孤立する場面もあったが、裏へのフリーランニングや時間をつくる単独突破で奮闘。鹿島入りが内定しているDF関川郁万(3年)との空中戦もいとわず繰り広げ、前半終了間際にはカウンターから追加点を奪ってみせた。

 また、後半には途中起用された長身FW遠藤一真(3年)と共に前線で身体を張り続け、相手のロングボール攻勢に対しては自陣まで戻ってサボらず対応。セットプレー時にニアポストに立つ“ストーン役”では、ことごとくボールを跳ね返し、相手の迫力ある攻撃を最少失点にとどめるのに大きく寄与した。

「自分に当てて攻撃が始まる形なので、自分がキーマンにならないと次の攻撃がない。相手のCBとのマッチアップが大事」(打林)。そんなつぶれ役もいとわず、守備でも「ストーン役なので自分が跳ね返さないといけない」と仕事をきっちり認識。参考にしているというFWロベルト・レバンドフスキのように、あらゆる局面で長所を出せるFWに変貌しようとしている。

 しばらく全国大会から離れていた伝統校を憧れの舞台に導いたが、「このチームが始まってから“古豪復活”というテーマでやってきた。なので、全国でどれだけ結果を残せるかということが大事になるし、まだまだ自分たちはスタート地点に立っただけ。中澤(主将)を中心にまとまって、頑張っていきたいです」と気持ちはすでに切り替わっている。激戦の千葉大会で出色のプレーを見せたストライカーが、今後は日本中にその名を轟かせる構えだ。

(取材・文 竹内達也)
●【特設】高校総体2018

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