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“怒涛の3分間”で3発!選手権覇者・前橋育英が冬夏連覇へ群馬突破!

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冬夏全国連覇へ、前橋育英高が群馬予選突破!

[6.17 総体群馬県予選決勝 前橋育英高 3-0 桐生一高 前橋総合]

 前橋育英が冬夏全国連覇へ難関突破! 17日、平成30年度全国高校総体「2018彩る感動 東海総体」サッカー競技(インターハイ、三重)群馬県予選決勝が行われ、昨年度選手権日本一の前橋育英高がFW室井彗佑(3年)の先制点とFW榎本樹(3年)の2ゴールによって桐生一高に3-0で快勝。2年連続15回目の全国大会出場を決めた。

 群馬ライバル対決の勝敗の行方は、 “怒涛の3分間“によって前橋育英へ大きく傾いた。序盤は互いにシュートシーンを作り合う立ち上がりに。だが、11分からの3分間で前橋育英が3点を奪い取る。まずは11分、前橋育英はFW高橋尚紀(3年)が獲得した左CKをMF渡邉綾平(2年)が右足で蹴り込む。これをニアサイドの室井が頭で合わせてリードを奪う。

 畳み掛ける前橋育英はさらに12分、左サイドを駆け上がった左SB塩田直輝(3年)が左足クロス。ファーサイドまで到達したボールに勢いよく飛び込んだエースFW榎本が豪快なヘディングシュートを叩き込んで2-0とする。その1分後の13分には塩田が高橋とのワンツーで左サイドを打開し、再び左足クロス。ファーサイドに流れたボールを昨年のインターハイ得点王・榎本が今度は右足でゴールへ押し込んだ。

 桐生一は今年、県新人戦決勝で前橋育英を1-0撃破。プリンスリーグ関東でも2-2の熱戦を演じている。前橋育英の勢いに飲み込まれて3連続失点してしまったが、桐生一は切り替えて反撃を開始する。攻撃に移ると、左SB細渕海(3年)がボランチの位置でビルドアップに加わり、相手の間を取りながら前進。23分にはMF松下駿也(3年)の折り返しを10番MF田中渉(3年)が左足で狙い、直後には田中の鋭いパスのこぼれに反応したMF須藤礼智(2年)が決定的な右足シュートを打ったが、シュートは枠を外れてしまう。

 前橋育英は攻撃から守備への切り替え速く、前線からのプレスで相手の攻撃を限定。ただし、わずかでも緩ければ、桐生一は前線までボールを繋いでシュートシーンを作り出していた。その桐生一は26分にベンチスタートだった注目FW若月大和(2年)を投入する。27分には前橋育英右SB若月輝主将(3年)の右アーリークロスで抜け出した高橋尚の右足シュートをCB角野寛太(3年)がゴールラインすれすれでクリア。気迫の守りで3点差を維持する。

 だが、前橋育英も追撃を許さない。この日、守備面での健闘が光った司令塔・MF秋山裕紀(3年)やMF渡邉が相手キーマンの田中をケア。また、FW石井陽向(3年)や室井、高橋尚が中心になって前線からのプレスを継続し、最終ラインでは中央のCB岡本悠作(3年)とCB吉田和暉(3年)や若月が狙いを定めて相手のボールを奪っていく。山田耕介監督が「3-0なのになぜ慌てるのか。ゆっくり回せる」と指摘したように、攻撃面ではやや急ぎすぎていた感がある。だが、後半も高橋や室井が抜け出しから相手ゴールを脅かすシーンを作り出していた。

 桐生一はCB中野就斗主将(3年)らが奮闘を見せていたが、1点が遠い。スピードあるMF楠大樹(3年)に加え、終盤は存在感を増した若月が相手のわずかな隙を突いてゴールに迫っていた。だが、GK山口瞬(3年)の守る前橋育英ゴールを破ることはできず。前橋育英がBチームで臨んだ関東大会予選に続く群馬2冠を達成した。

 前橋育英はBチームでの出場ながら関東制覇を果たした関東高校大会(6月、群馬)から複数の選手がAチームに食い込んだ。今回の決勝戦では石井、渡邉、塩田、吉田の4人が先発出場し、優勝に貢献。山田監督は「関東大会はずっと見てて、良い。(今は)誰が出てもいい感じ」と新戦力の台頭、選手層の向上を喜ぶ。若月も「関東組が加わってくれて一層、誰が出るか分からなかったり、危機感も生まれている。そこは(主力の壁が厚かった)去年と違っていいところかなと思います」と競争激化の効果を口にしていた。

 8月のインターハイでは選手権に続く日本一を勝ち取ることができるか。昨年のインターハイは準決勝で流通経済大柏高に0-1で敗戦。高橋尚が自ら獲得したPKを止められるなど、悔しい敗戦となった。昨年超えへのモチベーションは高い。若月は「(高橋)尚紀もこの大会に懸けている。自分たちもまず先輩越えたいというのがある。インハイまで1か月あるのでしっかりやっていきたい」と力を込め、昨年のインターハイでブレイクした榎本も目標に「優勝」を掲げた。選手権初優勝からメンバーが入れ替わり、今年は順風満帆のスタートを切れた訳ではない。それでも悔しい思いを経験したチームは全国屈指の激しい競争を経て成長。8月までに、さらに個とチーム力を高めて、冬夏連覇に挑戦する。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2018

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