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C・ロナウドのヒジ打ち疑惑にオフサイド取消も…B組の明暗分けた『VAR4連発』

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VARの恩恵を受けたポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウド

 ロシアW杯は25日、大会12日目を各地で行い、新たに導入されたビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)が目立つ一日となった。結果に影響を及ぼす判定修正が次々に起こり、荒れ模様のポルトガルイラン戦では、1試合3度の介入という異例の事態も発生した。

 ロシアW杯から新たに導入されたVARは、ビデオモニターを見ながら試合を追い、必要に応じて主審に助言を行う審判のこと。①得点②PK判定③一発退場④人違いという、試合結果に影響を及ぼすような4要素について、「明白かつ確実な誤審」があった時のみ判定に介入することになっている。

 VARはこの日、全4会場で計5度の介入があった。なかでも最も多かったのは、B組のポルトガル対イラン戦。過去の試合では1試合に2度の介入が行われたことはなかったが、この試合では3度に及んだ。後半のアディショナルタイムは6分間に達し、アディショナルタイム中にも介入が発生。さらに試合時間は延長され、混乱のままに試合が終わる形となった。

 そのうち2度もVARの対象となったのは、ポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウドだった。後半6分、PA内で転倒した際に相手が「ダイブ(シミュレーション)」を主張する中、『PKかどうか』の確認が入ると、同36分には自身が犯したヒジ打ち行為により、一発退場かどうかを判断する『レッドカードレビュー』も行われた。

 結論としては、後半6分のケースではポルトガルにPKが与えられ、C・ロナウド自ら右に蹴り出したボールが相手GKにストップされた。また同36分のケースでは、ヒジ打ちによる反スポーツ行為はあったが、一発退場になるほど悪質なものではなかったとして、イエローカードが提示されるにとどまった。どちらも微妙な判定だっただけに、C・ロナウドが救われる形に終わったと言える。

 また、同じ試合の後半アディショナルタイムには、ポルトガル選手のハンドリングがVARで確認され、イランにPKが与えられるという場面もあった。このPKから同点ゴールが生まれ、ポルトガルはグループ2位に転落。決勝トーナメント1回戦で戦う相手が変わるという、重大な結果の変更をもたらした。

 なお、ポルトガル対イランと同時刻に行われていたスペインモロッコ戦でも、VARが大きな影響を及ぼした。スペインの1点ビハインドで迎えた後半アディショナルタイム、FWイアゴ・アスパスが右足ヒールでゴールに流し込むも、主審はオフサイドを宣告。だが、VARの介入で判定が覆り、辛くも勝ち点1を獲得。総得点差でグループ首位に浮上した。

 さらには、4時間ほど早く行われたA組のサウジアラビアエジプト戦でも、サウジアラビアがVAR介入で獲得したPKを生かし、2-1で勝利した。すでに3位と4位が決まっていたため、進出チームには影響を及ぼさなかったものの、ここでもVARが試合結果を動かす事態となった。

 ここで重ねて確認しておきたいのは、主審はVARがあっても通常どおり判定を下すことになっており、VARの介入は「明白かつ確実な誤審」があった場合だけだということ。すなわち、ここまで多くの介入が行われたのは、「主審が立て続けに決定的な誤審を行っている」か、「VARが不明瞭な判定にも介入を行っているか」のいずれかが原因だということになる。

 徐々に審判たちもテクノロジーに適応し、ルールの周知も進んでいっている一方で、あらためてVARの課題が明らかになってしまった大会12日目。だが、グループリーグが終われば“一発勝負”の決勝トーナメントに移るため、さらに1点の重みが増していくことになる。次のステージに突入する前に、このような混乱をきたさない基準が設定されることを願いたいところだ。

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