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世界を驚かせた日本の“秘技”…その陰には最新テクノロジーの存在も

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混戦が起こるセットプレーでは、特に「バーチャル・オフサイドライン」が活躍しそうだ

「歴史上で最高の……」「天才的イノベーション」――。日本代表がセネガル戦で見せたオフサイドトラップは、世界中から大きな称賛を受けた。だがその背後には、今大会から初めて導入された最新テクノロジーの存在があったのも知っておきたいところだ。

 徐々に広く知られるようになってきたところだが、ロシアW杯では新たに『ビデオ・アシスタント・レフェリー』(VAR)という制度が導入されている。ピッチに関わる4人の審判とは別に、映像を見ながら判定に介入する審判だ。グループリーグ第2節を終えた時点で、VARは計8回の判定介入を行い、ジャッジの正確性に一定の寄与をしている。

 VARを効率的に運用するため、今大会ではスタンドに計32台のカメラを設置。スーパースローカメラを導入するなど、国際サッカー連盟(FIFA)は一定の予算を投じ、この制度を推し進めている。だが、それでも解決しにくい問題があった。それはオフサイドに関する判定である。

 スタンドに設置されたカメラでは、短時間でオフサイドを判定するのは少々難しい。なぜなら、カメラの角度によって、ピッチを平行に横断するオフサイドラインに視点的なゆがみが生じるからだ。そのため、FIFAは今大会で「バーチャル・オフサイドライン・システム」という新技術を採用している。

 これは既存カメラから送られてくる画像に、3D描像技術を組み合わせるシステム。オフサイドラインにあたる守備選手に画面上でカーソルを合わせると、上空方向に伸びる垂直線と、ピッチを横断する平行線とを自動で描いてくれる仕組みだ。ピッチ上の平行線だけでなく、上方向への垂直線が必要なのは、オフサイドは足元だけでなく、身体の一部分で判断されるためである。

 この技術を使うことにより、視点によるゆがみに惑わされることなく、画面上でオフサイドを判断することができるようになる。画面上の操作を行うには、わずかに時間を要するが、主審がモニター確認をするのに比べれば微々たるもの。日本がオフサイドトラップを見せた場面でも、ちょっとした空白時間が生まれていたが、この作業を行うVARルームとやり取りをしていたためだと考えられる。
 
 1974年の西ドイツ大会でオランダ代表が採用し、一躍脚光を浴びたオフサイドトラップ。人気マンガ『キャプテン翼』に登場したこともあり、一時は国内でも爆発的な人気を誇っていた戦法だが、大きなリスクを伴うため、徐々に見られる機会は減っている。しかし、この技術によって、正確なオフサイド判定が期待できるのもたしか。綿密な準備を行うことで自軍のリスクを排除し、採用にトライするチームも多くなるかもしれない。

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