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本気で“4年後”目指し、世界へ。際の勝負制したU-17日本代表がメキシコ撃破!

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前半5分、U-17日本代表MF小田裕太郎が先制ヘッド

[7.14 国際ユースin新潟第1節 U-17日本代表 2-1 U-17メキシコ代表 五十公野公園陸上競技場]

 U-17日本代表、U-17メキシコ代表、U-17クロアチア代表、そしてU-17新潟選抜が総当たりのリーグ戦で優勝を争う「第22回国際ユースサッカー in 新潟」が14日、新潟県内で開幕した。U-17日本代表は第1節でU-17メキシコ代表と対戦し、MF小田裕太郎(神戸U-18)とFW染野唯月(尚志高)のゴールによって2-1で勝利。日本は15日の第2節でクロアチアと戦う。

 今回、U-17日本代表の指揮を執る秋葉忠宏監督は選手たちへ向けて「未来をちゃんと見据えなさい」と話をしたのだという。U-17日本代表メンバーは01年、02年生まれで、来年に本格始動する21年U-20W杯へ向けた年代の選手だが、活躍次第では上の年代の代表チームへの登用もありうる。

「今年、(U-)19の(19年U-20W杯)最終予選がありますし、来年、U-20(W杯)もある。(21年U-20W杯へ向けての)立ち上げもある。東京五輪もある。そしてA代表。カタールの時、彼らは21なのでここから出てこないといけない。そのために逆算して何をしなければいけないか。(A代表の先輩から)席を譲ってもらうのではなく獲っていく気概をもたせたい」(秋葉監督)。トレーニング、練習試合からかなりテンション高くプレーしていたという選手たち。この日、試合開始の16時半でも30度の気温を記録する暑さの中、未来を見据えて意識高くプレーするU-17日本代表の各選手は、強豪・メキシコ相手にやるべきことを表現して白星を掴み取った。

 4-4-2システムの日本の先発はGKが板橋洋青(鳥栖U-18)、4バックは右SB井上樹(甲府U-18)、CB馬場晴也(東京Vユース)、CB丸山海大(東福岡高)、左SB 成瀬竣平(名古屋U-18)の4人。中盤は柴田壮介(湘南U-18)と{岩本翔}}(G大阪ユース)がダブルボランチを組み、右MF小田、左MF井上怜(市立船橋高)、2トップは津久井匠海(横浜FMユース)と染野がコンビを組んだ。

 序盤、中途半端なクリアを拾われるなど押し込まれた日本だったが、5分に先制点を奪う。左サイドから成瀬や津久井がボールを運んで押し返すと、左タッチライン際から染野がDF間を狙ってパス。このこぼれに反応した井上怜が巧みに縦へ持ち込んでから、左足でフワリとクロスを上げる。最後は、ゴール前での動き直しでマークを外した小田が頭で押し込んだ。

 ファーストシュートで先制した日本だが、最終ラインのミスからピンチを招くなど、その後は再びメキシコに押し込まれた。そして、セットプレーではマークがずれてしまい、決定的なシュートを打たれてしまう。20分には右CKから放たれたヘディングシュートをGK板橋がファインセーブ。30分には左クロスから打たれたヘディングシュートがクロスバーを叩いた。

 アプローチ鋭いメキシコの前に思うようなパスワークができず、守勢の状況が続いていたことは確か。だが、日本の選手たちは非常に良くファイトしていた。球際で引くことなくバチバチやり合う中、ファウルを増やしていたのはメキシコの方。そして、日本はカウンターから小田や井上怜が気迫のドリブルで前に出て行こうとする。

 秋葉監督は言う。「際のところで負けるな、ということはこの大会のテーマとして言っていたので、良く実践してくれた。日頃からやっていないと、この出力は出せないので、普段から強度があるということ。メキシコ相手にこれだけやれたということは彼らにとっても自信になったと思う」。初招集の選手が多い日本だが、日常の取り組みの成果をピッチで示していた。

 小田は「『魂のアプローチ』と言っているんですけれども、前から予測してそれをまあまあできたと思います」と語り、馬場は「ボール持てていなかったけれども、1対1の強度とかで負け無かったのでこの結果になったと思う」。押し込まれる時間が増える中でも狙いに近い形の守備をしていた日本が2点目を奪う。

 36分、負傷交代した成瀬に代わって左SB下川太陽(C大阪U-18)を投入。その直後、丸山がFKをPAに入れる。メキシコGKが落下地点に入り、腕を伸ばしてキャッチしようとしたが、圧巻の跳躍を見せた染野がGKの手の上側からヘディングシュート。これがゆっくりとゴールラインを越えて2-0となった。

 後半、ベンチから「際で負けるな!」という声が飛ぶ中、日本はリードを守り続ける。追加招集で2日前に合流したばかりながらも、DFラインを統率する馬場が幅広いカバーリングとボールを奪い切る巧さを披露。冷静な攻守を続けていた柴田と岩本のダブルボランチが要所でピンチの芽を潰し、徐々に試合に慣れていった丸山や井上樹も身体を張った守りを見せていた。

 日本は後半20分、津久井に代えてFW若月大和(桐生一高)を投入。23分には連係の乱れからDF背後のスペースへ抜け出されてPKを献上してしまう。これをFWサンティアゴ・ヒメネスに豪快に決められて1点差。ただし、27分に染野と井上怜に代えてFW栗原イブラヒムジュニア(三菱養和SCユース)とMF松橋優安(東京Vユース)を投入すると、この試合で計6枚のイエローカードを受けたメキシコ相手に松橋や若月が思い切り良くドリブルで仕掛けて逆にチャンスを作り出していた。

 栗原や若月が迎えた決定機を逸し、3点目を奪えなかったことは反省点。だが、守備固めで投入されたDF鷲見星河(名古屋U-18)含めて最後まで集中力を切らさずに戦った日本が2-1で白星を収めた。

 指揮官に「これだけのテンションと、技術と、その中で勝利を掴むこともできている。(今回招集されていない同世代の選手たちが)これに勝とうと思ったら、よほど悔しい思いだったり持って日々過ごしていかないと。(今回招集された)彼らはどんどん伸びていくと思う」と言わしめるほどの日々を送っているU-17日本代表の選手たち。それでも、開催中のW杯で海外の若手選手の活躍などを目の当たりにしているだけに、満足感は無い。残り2試合、より良い試合をして、結果を残して将来に繋げる。

(取材・文 吉田太郎)

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