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29歳指揮官も「予想外」…ロングスロー決勝弾の柏、好チーム新潟を下してクラセン白星発進

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決勝ゴールを決めた柏レイソルU-18のエースFW森海渡

[7.22 日本クラブユース選手権U-18大会GL第1節 柏U-18 2-0 新潟U-18 宮城総合]

 第42回日本クラブユース選手権サッカー選手権(U-18)大会が22日、群馬県内の各会場で開幕した。宮城総合陸上競技場の第1試合ではC組の柏レイソルU-18アルビレックス新潟U-18が対戦。終盤にエースFW森海渡(3年)の決勝弾が決まり、柏U-18が2-0で勝利した。

 天然芝フィールドの凹凸により、うまくパスがつながらないピッチコンディションの中で行われた一戦。柏は“伝統芸”のポゼッションスタイルを捨て、立ち上がりからロングボール主体の攻勢を試みた。想定を外された新潟守備陣は対応に追われ、左ウイングFW正田徳大(3年)の突破が目立った。

 しかし、DF押久保汐音(3年)らの奮闘でしのいだ新潟も徐々に慣れを見せ始め、前半10分すぎからエースMF本間至恩(3年)にボールが入るようになる。持ち前のテクニックを生かして前を向き、最前線でハードワークを見せるFW鈴木良太(2年)の抜け出しを促すと、同11分にはMF辻椋大(2年)がミドルシュートを放った。

 新潟はさらに前半13分、本間の左CKに反応したDF木村瑞紀(3年)がフリーでヘディングシュート。これはGK小久保玲央ブライアン(3年)に阻まれたが、同18分すぎの飲水タイムを経ながらも良いリズムを保った。一方の柏は森にロングボールを集め、中盤の底に入ったMF山下雄大(3年)がパスを散らそうとするが、ポジショニングの良い新潟の守備に苦しんだ。

 後半9分、先に動いたのは柏ベンチだった。MF堤健太(3年)に代えて技術の高い1年生MF田村蒼生を投入し、中盤でのボールポゼッションを高めようと試みる。すると同12分にビックチャンス。敵陣でのショートカウンターから正田が左に抜けると、アーリークロスに飛び込んだ森がヘッド。だが、惜しくもクロスバーに阻まれた。

 大ピンチで命拾いした新潟は後半14分、中盤でボールをおさめた本間がドリブルでしかけ、寄ってきた守備陣をかわしてスルーパス。しかし、鈴木にはわずかに通らず。直後に選手交代を続けると、同28分には柏の決定機。右サイドを単独で駆け上がったDF貞廣大輔(3年)が意表を突いたシュートを狙ったが、1年生GK土山龍都(1年)がかき出した。

 終始空中戦を制したDF和田翔琉(2年)、DF岡本將成(3年)のCBコンビの奮闘もあり、このまま試合が終わるかと思われたが、終了2分前の後半33分、「僕もビックリしました」(山中真監督)というロングスローから均衡が破られた。右サイドからDF吉田新(3年)が投じたボールをニアでDF真家元彦(3年)がフリック。軌道が変わったボールに飛び込んだ森がダイレクトでねじ込んだ。

 さらにアディショナルタイム2分、新潟は最終ラインとGKの連携ミスからボールがゴール前に流れると、柏MF山田雄士(3年)が先に追い付き、無人のゴールに流し込まれて立て続けの失点に。終始プレミアリーグ勢相手に奮闘を見せたものの、試合は0-2のままタイムアップ。大事なグループリーグ初戦を落としてしまった。

 新潟の入江徹監督は「最初は受け身になったが、だんだん相手に慣れてきたことで、形が少し出せるようになっていた。ですが、最後の部分で少し手こずってしまった」と悔しそうな表情。柏のポゼッション対策も行ってきたというが、「グラウンドが思った形じゃなかったですね」と肩を落とした。

 とはいえ、和田、岡本のCBコンビは強みを見せ、主力GKがそろって負傷したため急きょ登録変更からの初先発となった土山も経験を積めたのは収穫。続く試合も鳥栖U-18、G大阪ユースと「なかなか対戦することができないチーム」が立ちはだかるが、決勝トーナメント進出を狙って果敢に挑む構えだ。

 一方の山中監督は「速く攻撃に入るところで、もう少し落ち着いてプレーできれば良かった」と課題を指摘しつつ、「その中でも後ろの選手たちが集中を切らさずにゼロで抑えてくれた。相手のカウンターではドリブルのうまい選手がいましたが、いい対応をしてよく耐えてくれた」と守備陣を称えた。

 先制点の場面には「自分も『投げるのか!』って思いましたし、予想外の形でした」と苦笑いも見せたが、「球際の強さは求めてきたところ」と高評価を口に。「強豪揃いのグループですが、初戦で勝ちを取れたことで、選手たちも落ち着きを持ってプレーできるはず」と決勝トーナメント進出に向けて意気込んだ。

(取材・文 竹内達也)
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