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2連覇王者が敗れる!! MF児島“直接CK”弾の福岡U-18がクラブ史上初の8強入り

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決勝点となる“直接CK”を叩き込んだアビスパ福岡U-18のMF児島信之介(3年、左から3番目)

[7.26 日本クラブユース選手権U-18大会決勝T1回戦 福岡U-18 1-0 FC東京U-18 宮城総合]

 第42回日本クラブユース選手権は26日、決勝トーナメント1回戦を各地で行った。D組を1位で勝ち抜いたアビスパ福岡U-18が2連覇中のFC東京U-18と対戦。MF児島信之介(3年)がCKを直接叩き込み、福岡が1-0で勝利した。

 前半からペースを掴んだのは福岡U-18の方だった。効果的なプレーを見せたのは、トップ下に置いた178cmのDF利川大貴(3年)だった。彼がFC東京U-18のDFラインとボランチラインの間に常にポジションを取り、主に左サイドバックのDF桑原海人(3年)、右サイドバックのDF下川草太(3年)から供給される斜めのパスを集約。

 懐の深いボールキープとフィジカルの強さを駆使して、高い位置で時間を作り出したことで左のMF北島祐二(3年)、右のFW石井稜真(1年)の両サイドハーフ、FW松田知己(2年)、児島とMF吉村銀河(2年)のダブルボランチの飛び出しを引き出した。

 FC東京は利川へのボールの出所と、入れられてからのアプローチに後手を踏み、徐々にDFラインが下がってしまった。それでも福岡の猛攻をDF木村誠二(2年)とDF湯本創也(2年)の2年生CBコンビを中心に身体を張ったディフェンスで阻み続けた。

 前半13分、福岡は北島がドリブル突破から強烈なシュートを放つが、これは1年生GK野澤大志ブランドンがファインセーブ。26分には下川の浮き球のパスに抜け出した松田がループシュートを狙うも、GK野澤に抑えられる。さらに37分には児島のパスを受けた北島が鮮やかな反転からドリブルで持ち込んでシュート。枠を捉えたが、これもGK野澤のファインセーブに阻まれた。

 チャンスをモノに出来なかった福岡だったが、後半10分、一本のプレースキックで堅いFC東京ゴールをこじ開けた。直前に北島の強烈なシュートがFC東京DF草住晃之介(3年)の身体を張ったブロックに阻まれるが、これで得た左CKを児島が直接蹴り込んだのだった。

「これまでのCKはずっとファーを狙っていたのですが、相手の守備も堅くて流れが変わらなかった。それに相手GKもちょっとずつ前に出て来ていて、ファーに対応する意識が強くなっていたので、ここでニアに直接蹴ったら反応出来ないと思った」

 ファー狙いから一転し、児島によって放たれた右足のキックは、狙い通りカーブを描いてゴールニアサイドに襲いかかり、GK野澤も必死のパンチングを見せるもゴールに突き刺さった。

 ついに試合の均衡が崩れたことで、FC東京も16分に2トップを入れ替えるなど、攻撃の手を強めるが、福岡の研ぎ澄まされた集中力と気迫の前に最後までこじ開けることが出来なかった。タイムアップの瞬間、喜びを爆発させた福岡の選手達。日本クラブユース選手権においてクラブ初のベスト8進出を手にした瞬間でもあった。

「ウチの武器は左サイドなので、利川の場所で起点が出来れば、ウチの左が生きる。狙い通りの試合運びを見せてくれた」。試合後、福岡の藤崎義孝監督は会心の笑顔を見せた。次なる相手は名古屋グランパスU-18。高円宮杯プレミアリーグWESTの前期では、1-2の逆転負けを喫している相手だ。

「プレミアでは接戦だった。今大会、選手達は非常に高い集中力を持って戦ってくれている。それを次も発揮して、クラブの歴史を塗り替えたい」。福岡のこれまでの全国大会の最高記録はJユースカップで記録し、今回で2度目の到達となったベスト8。初の全国ベスト4進出を懸けて、FC東京戦と変わらないテンションで決戦に臨む。

(取材・文 安藤隆人)
●第42回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会特集ページ

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