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[MOM2564]福岡U-18DF利川大貴(3年)_突然のトップ下起用で開花。躍進支える『ラストピース』

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クラブ史上最高のベスト8に導いたアビスパ福岡U-18のMF利川大貴(3年)

[7.26 日本クラブユース選手権U-18大会決勝T1回戦 福岡U-18 1-0 FC東京U-18 宮城総合]

 つい最近までAチームの試合に一切絡まなかった男が、今大会の躍進の中心人物となっている。

 アビスパ福岡U-18のトップ下に君臨する3年生のDF利川大貴は、屈強なフィジカルと俊敏性を兼ね揃え、前線でパスを集約してFW松田知己(2年)、MF北島祐二(3年)、FW石井稜真(1年)ら個性的なアタッカー陣を躍動させ、クロスボールやセットプレーでは制空権を握るなど、福岡の攻撃を活性化せている。

 初戦の浦和レッズユース戦では1-1の同点から後半27分にDF桑原海人(3年)の折り返しをヘッドで沈めて決勝弾をマーク。第2節の北海道コンサドーレ札幌U-18戦は出番がなかったが、1勝1分けで迎えた第3節のモンテディオ山形ユース戦でも、1-1で迎えた後半14分にMF庄司一輝(3年)のパスを受けて決勝弾を叩き込んだ。

 そして決勝トーナメント1回戦のFC東京U-18戦でも攻撃の起点として機能し、決勝点となったMF児島信之介(3年)の左CKも、桑原のロングフィードを利川が競ったこぼれを北島が拾ってシュートを打って獲得したものだった。

 まさにクラブ史上初の日本クラブユース選手権ベスト8進出の立役者となった利川だが、冒頭で述べたように、今大会前までAチームにはいたが、Aチームの公式戦出場はゼロだった。プレミアリーグWESTも2試合だけベンチ入りを果たしたが、出場することはなかった。

 さらに当初、今大会のメンバー18人にすら入っていなかった。トップ下の役割は1年生の石井が担うはずだったが、「このポジションにはボールがしっかりと収まって、武器である左サイドの攻撃力を最大限にまで引き出したかった。でも、(石井は181cmの)高さこそあるけど、収まりという面でまだまだだった」と最後まで藤崎義孝監督の頭を悩ませていた。

 だが、大会4日前の練習の時、藤崎監督は「フィジカルもあるし、俊敏性がある利川をCBじゃなくてトップ下に置いたらどうか」と思い立ってトライをしてみると、想像以上のフィットを見せた。「利川はフィジカル強いけど俊敏性があって、少しボールがズレてもしっかりと収め切ることが出来る。動けてキープすることで起点がしっかりと出来るようになった」。

 驚きと共に大きな手応えを覚えた藤崎監督は、迷わず彼を18人にエントリー。ゴールを決めた初戦の浦和戦は、彼にとってのAチームのデビュー戦だったのだ。

「中2まではFWをやっていたのですが、中3からはずっとCBでした。経験はあったので、違和感はありませんでした。僕はフィジカルが武器で、競り合いとかポストプレーが得意でしたし、セットプレーやクロスにも入って行ける

 今のチームに僕みたいに前線で身体を張るようなタイプがいなくて、セットプレーやクロスからの得点も少なかったので、自分が指名されたのだと思います。見い出してくれた監督のためにも、チームのためにも、試合に出たら全力を尽くしますし、僕を起点に周りがやってくれるので、そこは凄く感謝をしています。それにプレーしていて凄く楽しいです」。

 まさに今大会の『ラッキーボーイ』は周りに感謝しながら、新たな自分の役割を心から楽しむ。次はクラブが他の全国大会でも到達したことのないベスト4行きが懸かる準々決勝。新たな歴史を刻むべく、利川は更なる躍動を見せる。

(取材・文 安藤隆人)
●第42回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会特集ページ

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