[7.28 福島復旧・復興祈念大会 尚志高 2-1 神村学園高 西部サッカー場]
　
　震災からの復旧・復興を祈念し、また福島県サッカーの発展と全国各地から参加する強豪校の強化を目指す「2018 第7回 福島復旧・復興祈念ユースサッカー大会」が28日、郡山市などで開幕した。西部サッカー場ではいずれも今夏のインターハイに出場する尚志高(福島)と神村学園高(鹿児島)が対戦。尚志が2-1で競り勝った。

　台風12号の影響か、後半に風が強まり、一時強い雨も降ったが、概ね涼しい気候の中で行われた注目対決。互いに巧さのある両校の戦いは立ち上がり、尚志がサイドのスペースを活用した攻撃で決定機を2度、3度と作り出す。

　一方、両SBが内側に絞り、独特なビルドアップを見せる神村学園も徐々にボールを保持する時間を伸ばして反撃。だが、有村圭一郎監督が「ウチの選手はトライしなさ過ぎる。のし上がってやろうという選手が少ない」と試合後に厳しく指摘していたように、チャレンジする姿勢を欠いた。

　注目MF深港壮一郎(3年)やMF隈元聖也(3年)の正確な展開から、アタックするシーンもあったが、尚志の強靭な左SB吉田泰授(3年)に突破をシャットアウトされるなど、相手の守りを崩すことができない。

　27分にCB島田龍也(3年)の縦パスから、唯一前向きな姿勢を見せていたFW濱屋悠哉(2年)が強引にDF2人の間を突破して右足シュート。だが、奪ったボールを正確なコントロール、パスでスペースへ送る尚志はFW伊藤綾汰(3年)のドリブルシュートやMF加瀬直輝(3年)のミドルシュートで相手にプレッシャーをかけ続ける。

　そして後半13分、尚志はボランチの位置で存在感を見せていたMF坂下健将(3年)の縦パスを起点に加瀬がスルーパス。これで左中間を突いた伊藤がニアサイドを左足シュートで破って先制した。

　神村学園は18分に右SB軸丸広大(2年)の右CKからニアへ飛び込んだ深港が同点ヘッド。だが、後半開始から出場のU-17日本代表FW染野唯月(2年)や伊藤がポイントになって攻める尚志は24分、右スローインを起点とした攻撃からCB黒澤誓哉(3年)がクロス。これを交代出場のCBフォファナ・マリック(3年)が頭で決めて再び勝ち越した。

　終盤、突き放すチャンスを逸した尚志に対し、神村学園は34分、軸丸のループパスにFW若松勇斗(2年)が走り込んだが、わずかに合わずに試合終了。互いに質の高いキックやコンビネーション、技術力を見せ合ったインハイ出場校対決は尚志が制した。

　夏の福島に強豪19校が参加して熱戦を繰り広げる「2018 第7回 福島復旧・復興祈念ユースサッカー大会」。昨年までは現清水のFW高橋大悟(神村学園高卒)が参加し、その前には現京都のFW岩崎悠人(京都橘高卒)が福島の地で成長を目指していた。

　今大会を主催する尚志の仲村浩二監督は「色々なサッカーファミリーが福島を手助けしようとみんな来てくれる。感謝しかない。色々な貢献をしてくれています」とコメント。また強豪校の選手たちのハイレベルなプレーは地元の子どもたちの勉強にもなっているという。震災からの復興の力になっている高校生選手たちは今大会での全力プレーはもちろん、今後の各大会などで活躍して福島にまた元気と勇気をもたらす。

(取材・文　吉田太郎)