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[MOM2566]福岡U-18MF北島祐二(3年)_「鳥栖はあんなに注目されているのに…」 歴史を変えた10番の意地

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2得点を決めたアビスパ福岡U-18のMF北島祐二(3年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[7.28 日本クラブユース選手権U-18大会準々決勝 福岡U-18 3-0 名古屋U-18 前橋フB]

 力強く叩き込んだ2本のペナルティーキック。その裏には、躍進を遂げている九州のライバルクラブへの闘志が秘められていた。アビスパ福岡U-18のMF北島祐二(3年)は自身の2ゴールでクラブ史上初の全国大会ベスト4を決めた準々決勝の試合後、「鳥栖との関係をひっくり返したいと思っていた」とハッキリと述べた。

 長年にわたり九州のJユース界を牽引してきた福岡アカデミーだが、今季最強と目されているのはサガン鳥栖のアカデミー。「一つ下のカテゴリで結果を出して、すごく注目されている」(北島)。中学時代から紺色のユニフォームに身を包んできた“博多の男”にとって、U-15年代とはいえ全国制覇で先を越されたことに思うところはあるようだ。

 高校年代最上位の高円宮杯プレミアリーグWESTで8位に沈む福岡だが、一つ下のプリンスリーグ九州で『全勝首位』という驚異的な成績を残している鳥栖。今大会の九州予選でも3位に終わった福岡に対し、鳥栖はリーグ戦の勢いそのまま頂点に立っている。大会の前評判では、これまで全国大会で上位進出の経験のない鳥栖がブレイク候補とみられていた。

 そうして迎えた今大会、グループリーグはそろって首位通過。だが、鳥栖は全チーム中唯一の全勝突破ということで、さらなる注目を獲得した。「鳥栖はあんなに注目されているのに、僕たちはほとんど注目されていなかった」(北島)。そんな意地を秘めた選手たちはトーナメント1回戦で、2連覇王者のFC東京U-18を撃破。史上初のクラブユース選手権ベスト8入りを果たした。

 過去にJユースカップでは到達したことのある全国の準々決勝だが、夏の大会では初めてのこと。前橋フットボールセンターでの一斉開催は奇しくも、大宮ユースと対峙する鳥栖U-18の隣のピッチでプレーすることになった。そのうえ前半4分には、鳥栖U-18が早くも先制に成功。「点が入った声は聞こえました。ちょうどプレーが止まっていたのでびっくりした」と北島の耳にも入っていたようだ。

 そんな隣のライバルにも刺激を受け、直後の前半5分には北島が積極的なプレーで会場を沸かせた。PA左寄りで前を向くと、「前の試合の後、監督から『もっと抜きに行け』と言われていた」と迷わず縦への突破を選択。DF萩野滉大(3年)に倒されてPKを獲得し、自身の右足キックでゴールに叩き込んだ。

「最近はドリブルが調子よくなかったんですが、前のFC東京戦くらいからボールタッチがよくなってきた。自分の感覚を出せている」と北島。藤崎義孝監督にとっても「ウチの武器はあそこしかないくらい。『相手に読まれたとしてもどんどん行き切れ』と伝えています」と信頼どおりのプレーだった。

 その後は引いてボールを受けたり、裏に抜けようとしたりする動きで相手に的を絞らせず。「FWをやっていた時に、裏抜けや相手との駆け引き、チェックを外す部分を意識していた。そこをサイドでも生かせるようになればもっといい」。中学時代はサイドハーフでプレーしていたが、高校に入ってからしばらくは2トップの一角を担当。そうして広げたプレーの幅が再びサイドハーフに戻ってからも生きているようだ。

 そして後半7分にも、相手のハンドリングで獲得したPKを蹴り、大きな追加点となる2点目を記録。終盤には時間をうまく使うようなプレーを見せ、チームはカウンターから決定的な3点目を奪取し、3得点の完勝で史上初の全国大会準決勝進出を決めた。「早い時間に得点して、後半入りで追加点が取れて、みんなで守ってカウンターもできた。流れとしては完璧だった」。

 隣のピッチで試合をしていた鳥栖は2-3で逆転負けを喫し、「決勝で鳥栖とやりたい」という希望は実現しなかった。それでも「目標のベスト4を達成できた。全国の緊迫した試合でどれだけできるかを示そうと思っていた」と結果でライバルを上回り、評価をひっくり返すことには成功したと言えるだろう。

 そうなれば、次からは九州を背負って戦うだけだ。「九州のチームだから下に見られることもあるけど、団結力、諦めない気持ちは絶対に負けない。みんなで一つになればやれると思う。僕たちのために関東、関西、福岡から、たくさんのサポーターが応援に来てくれている。そんな人たちのためにも結果を出して、アビスパユースの名を広めたい」。勢いに乗る“若蜂軍団”の10番はたしかに頂点を見据えている。

(取材・文 竹内達也)
●第42回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会特集ページ

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