ユース取材ライター陣が推薦する総体注目の11傑vol.3
ゲキサカでは8月7日に開幕する平成30年度全国高校総体「2018彩る感動 東海総体」サッカー競技(インターハイ、三重)の注目選手を大特集。「総体注目の11傑」と題し、ユース年代を主に取材するライター陣に総体注目の11選手を紹介してもらいます。第3回は(株)ジェイ・スポーツで『デイリーサッカーニュース Foot!』を担当する傍ら、東京都中心にユース年代のチーム、選手を取材、そしてゲキサカコラム『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』も連載中の土屋雅史氏による11名です。
土屋雅史氏:「今大会も準々決勝以降の7試合をJ SPORTSで中継することが決まり、より多くの方に映像という形でも熱戦をお届けする予定の全国総体。今回の総体予選は『Foot!THURSDAY』で各地区の代表決定戦を取材する機会が多かったため、そこで活躍した選手を中心に真夏の主役候補を11人選出させてもらいました。例年以上の猛暑が心配されるものの、やはり高校生にとって一生の思い出はこの季節に生まれやすいもの。参加される皆さんは、是非悔いのない夏を過ごしてください!」
以下、土屋氏が注目する11人
GK北村海チディ(関東一高、3年)
「開幕戦に途中出場した1年時の選手権から、個人としては4度目となる全国大会へ挑む関東一の絶対的守護神。高い跳躍力や飛距離も含めたキック精度など、身体能力の高さも目立つものの、最大の特徴は最後までシュートの軌道を見極めてから、的確な位置に弾き出せるセーブ技術で、1試合に2、3回のファインセーブはほぼデフォルトに。PKにも滅法強く、東京都予選では準々決勝で試合中に1本止めると、準決勝のPK戦でも2本をストップして勝利の立役者に。その準決勝後には涙を見せて喜んでおり、この夏に懸ける想いを三重の地でも存分に発揮するはずだ」
DF若月輝(前橋育英高、3年)
「まだ記憶に新しい選手権の全国優勝校で、キャプテンを託された右サイドバックはアルビレックス新潟の下部組織出身。『小学生からアルビにいて、ずっと同じ環境だったので、「厳しい環境で、もう1回自分を鍛え直したいな」という気持ちで来た』育英では1年生からAチームに絡むなど、攻守に安定感の高いプレーを維持し続けてきた。どうしても付いて回る“日本一”のプレッシャーに、『抱えながらやっていかないといけないかなと思います』と覚悟を決めたメンタル面の成長も頼もしい」
DF岸本駿朔(市立船橋高、3年)
「名門イチフナが誇るエアバトラーがとうとう全国の舞台に登場。昨シーズンの全国総体終了後に出場機会を得ると、あっという間にレギュラーを奪取。今シーズンは高円宮杯プレミアリーグEASTでも驚異的なヘディングの高さを武器に、並み居る強豪のフォワードとも互角以上に渡り合う逞しさを披露している。『上手くはないけどマジメで頑張り屋。彼がウチでこうやって秋口からポジションを取って、試合に出たというのは1つの成功例』と朝岡隆蔵監督も、その人柄と努力に一目置いている」
DF関口聖人(関東一高、3年)
「昨年は夏も冬もレギュラーで全国を経験したセンターバックは、年が明けて1月から長期離脱。ようやく6月に戦線復帰すると、ディフェンスリーダーとしてチームを束ね、5大会連続の全国出場へ大きく貢献した。ビルドアップに不可欠な足元の上手さと、対人能力の高さもさることながら、『自分は明るさみたいな部分でチームの役に立てないと、あとは何もないと思う』と自ら話す“明るさ”がもたらす好影響は、復帰後のチームの雰囲気を見れば明確。『強い気持ちをもって、相手に何もやらせないようなプレーをしたいですね』と高校最後の夏に“打倒イチフナ”と“日本一”への意欲を燃やしている」
MFバスケス・バイロン(青森山田高、3年)
「今大会の優勝候補であり、高円宮杯プレミアリーグEASTでも上位に付ける青森山田において、攻撃のリズムに良い意味で“破調”をもたらせるレフティアタッカー。仕掛けるタイミングとはたくタイミングの使い分けも整理されてきた印象で、ベースポジションを右に置く彼のアイデアが、流れの中からの攻撃を下支えする。ワールドカップではフィリペ・コウチーニョのプレーに注目していたそうで、プレミアEASTの鹿島ユース戦では、ゴールを決めた後にコウチーニョのパフォーマンスも披露してみせた」
MF高橋黎(國學院久我山高、3年)
「都内きっての強豪校で入学直後からスタメンを張り続けてきた司令塔が、『これで負けたら今までの久我山は消える』という覚悟で臨んだ総体予選を勝ち抜け、とうとう念願の初全国へ。久我山では中盤のエースが背負ってきた14番を託されるも、『自分は“シンプルさ”で14番を語っていければいいかなって思っています』と口にした通り、アンカーの位置からシンプルなボールタッチで攻撃のリズムを操りつつ、守備のフィルターとしてもその能力は向上中。『「久我山は凄く良いサッカーをやっているな」と全国の皆さんにまた知ってもらえるようなプレー』を待ち焦がれた晴れ舞台で見せ付ける」
MF原田虹輝(昌平高、3年)
「テクニシャン揃いの昌平においても、ベーシックな“止める、蹴る”の部分に加え、攻撃の最終局面を演出するプレーで違いを出す部分でも、チーム随一の能力を有するミッドフィルダーは『自分のプレーにも合っている部分が多いので、とても楽しいです』とチームスタイルへの手応えを口にしつつ、『自分はミスしたら他は何もないと思う』と自身を表現したように、ミスの少なさと決定的な仕事量を高次元で結び付けることのできる逸材。関東屈指のコンダクターと言っても過言ではないと思う」
MF森稜真(草津東高、3年)
「山本悠樹(現関西学院大)の世代に憧れ、セゾンFCから草津東の門を叩いたものの、スタメンの座を掴んだのは今回の総体予選から。すると、準決勝では『普通にチョンって当てただけなんですけど、凄くビックリしました』と自ら笑うスーパーボレーを含む2ゴールを挙げ、決勝では『結構得意で練習でも決めることはあります』と明かす右足アウトサイドでオシャレな決勝ゴールと大活躍。昨年からのレギュラーが多く残るチームに、新たな風を吹き込んだ。目標は『“下剋上”というか、強いチームをどんどん倒しての全国優勝』」
FW長坂大陸(東山高、3年)
「前線で相棒を組む久乘聖亜が注目を集める中、京都府予選の準決勝と決勝でゴールを奪ったように、彼の得点力も6年ぶりの全国出場に大きなプラスをもたらしていたことは疑いようのない所。特に決勝では相手の一瞬のスキを突いてゴールを陥れるなど、その確かなセンスを発揮してみせた。縦へとグイグイ運べる推進力はもちろん、166cmというサイズを感じさせない空中戦の強さも魅力的で、高さでもチームに基点とアクセントを加えることができる。ちなみにそのスケール感を体現するような名前の読み方は“リク”」
FW川上渚(三浦学苑高、3年)
「『左足一本で行こうと思っている』と言い切るレフティは、ネイマールのドリブルとルイス・スアレスの受け方を参考にしつつ、高い技術を最前線で生かすマルチタイプのフォワード。そのスペシャルな左足の威力に隠れがちだが、『相手が疲れている中でも自分は走れるなと思っている』と語ったように、神奈川県予選準決勝では後半終了間際に独力で2度の決定機を創り出すなど、1試合を通じて最後まで走り切れる運動量も大きな武器。全国に出るために選んだ三浦学苑での日本一を真剣に狙う」
FW片岡慎太郎(関西大北陽高、3年)
「17年ぶりの全国切符を掴んだ関大北陽の一番前にそびえ立つ190cmのハイタワー。堅い守備をベースにしたチームの中で、カウンターとセットプレーをゴールという形で完結させられる彼の存在は絶対不可欠であり、大阪府予選決勝リーグ最終戦の履正社高戦でも、後半開始からピッチへ解き放たれると、終盤に体の強さを生かして豪快なゴールを叩き込み、全国出場を決定付ける仕事を完遂。シンプルな空中戦の強さと、匂いを嗅ぎ分ける得点感覚がフルに発揮されれば、この夏で大きな飛躍を遂げる可能性も決して小さくない」
■執筆者紹介:
土屋雅史
「(株)ジェイ・スポーツに勤務。Jリーグ中継担当プロディーサーを経て、『デイリーサッカーニュース Foot!』を担当。群馬県立高崎高3年時にはインターハイで全国ベスト8に入り、大会優秀選手に選出。ゲキサカでコラム、『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』を連載中。著書に「メッシはマラドーナを超えられるか」(亘崇詞氏との共著・中公新書ラクレ)。」
SEVENDAYS FOOTBALLDAY by 土屋雅史
●【特設】高校総体2018
土屋雅史氏:「今大会も準々決勝以降の7試合をJ SPORTSで中継することが決まり、より多くの方に映像という形でも熱戦をお届けする予定の全国総体。今回の総体予選は『Foot!THURSDAY』で各地区の代表決定戦を取材する機会が多かったため、そこで活躍した選手を中心に真夏の主役候補を11人選出させてもらいました。例年以上の猛暑が心配されるものの、やはり高校生にとって一生の思い出はこの季節に生まれやすいもの。参加される皆さんは、是非悔いのない夏を過ごしてください!」
以下、土屋氏が注目する11人
GK北村海チディ(関東一高、3年)
「開幕戦に途中出場した1年時の選手権から、個人としては4度目となる全国大会へ挑む関東一の絶対的守護神。高い跳躍力や飛距離も含めたキック精度など、身体能力の高さも目立つものの、最大の特徴は最後までシュートの軌道を見極めてから、的確な位置に弾き出せるセーブ技術で、1試合に2、3回のファインセーブはほぼデフォルトに。PKにも滅法強く、東京都予選では準々決勝で試合中に1本止めると、準決勝のPK戦でも2本をストップして勝利の立役者に。その準決勝後には涙を見せて喜んでおり、この夏に懸ける想いを三重の地でも存分に発揮するはずだ」
DF若月輝(前橋育英高、3年)
「まだ記憶に新しい選手権の全国優勝校で、キャプテンを託された右サイドバックはアルビレックス新潟の下部組織出身。『小学生からアルビにいて、ずっと同じ環境だったので、「厳しい環境で、もう1回自分を鍛え直したいな」という気持ちで来た』育英では1年生からAチームに絡むなど、攻守に安定感の高いプレーを維持し続けてきた。どうしても付いて回る“日本一”のプレッシャーに、『抱えながらやっていかないといけないかなと思います』と覚悟を決めたメンタル面の成長も頼もしい」
DF岸本駿朔(市立船橋高、3年)
「名門イチフナが誇るエアバトラーがとうとう全国の舞台に登場。昨シーズンの全国総体終了後に出場機会を得ると、あっという間にレギュラーを奪取。今シーズンは高円宮杯プレミアリーグEASTでも驚異的なヘディングの高さを武器に、並み居る強豪のフォワードとも互角以上に渡り合う逞しさを披露している。『上手くはないけどマジメで頑張り屋。彼がウチでこうやって秋口からポジションを取って、試合に出たというのは1つの成功例』と朝岡隆蔵監督も、その人柄と努力に一目置いている」
DF関口聖人(関東一高、3年)
「昨年は夏も冬もレギュラーで全国を経験したセンターバックは、年が明けて1月から長期離脱。ようやく6月に戦線復帰すると、ディフェンスリーダーとしてチームを束ね、5大会連続の全国出場へ大きく貢献した。ビルドアップに不可欠な足元の上手さと、対人能力の高さもさることながら、『自分は明るさみたいな部分でチームの役に立てないと、あとは何もないと思う』と自ら話す“明るさ”がもたらす好影響は、復帰後のチームの雰囲気を見れば明確。『強い気持ちをもって、相手に何もやらせないようなプレーをしたいですね』と高校最後の夏に“打倒イチフナ”と“日本一”への意欲を燃やしている」
MFバスケス・バイロン(青森山田高、3年)
「今大会の優勝候補であり、高円宮杯プレミアリーグEASTでも上位に付ける青森山田において、攻撃のリズムに良い意味で“破調”をもたらせるレフティアタッカー。仕掛けるタイミングとはたくタイミングの使い分けも整理されてきた印象で、ベースポジションを右に置く彼のアイデアが、流れの中からの攻撃を下支えする。ワールドカップではフィリペ・コウチーニョのプレーに注目していたそうで、プレミアEASTの鹿島ユース戦では、ゴールを決めた後にコウチーニョのパフォーマンスも披露してみせた」
MF高橋黎(國學院久我山高、3年)
「都内きっての強豪校で入学直後からスタメンを張り続けてきた司令塔が、『これで負けたら今までの久我山は消える』という覚悟で臨んだ総体予選を勝ち抜け、とうとう念願の初全国へ。久我山では中盤のエースが背負ってきた14番を託されるも、『自分は“シンプルさ”で14番を語っていければいいかなって思っています』と口にした通り、アンカーの位置からシンプルなボールタッチで攻撃のリズムを操りつつ、守備のフィルターとしてもその能力は向上中。『「久我山は凄く良いサッカーをやっているな」と全国の皆さんにまた知ってもらえるようなプレー』を待ち焦がれた晴れ舞台で見せ付ける」
MF原田虹輝(昌平高、3年)
「テクニシャン揃いの昌平においても、ベーシックな“止める、蹴る”の部分に加え、攻撃の最終局面を演出するプレーで違いを出す部分でも、チーム随一の能力を有するミッドフィルダーは『自分のプレーにも合っている部分が多いので、とても楽しいです』とチームスタイルへの手応えを口にしつつ、『自分はミスしたら他は何もないと思う』と自身を表現したように、ミスの少なさと決定的な仕事量を高次元で結び付けることのできる逸材。関東屈指のコンダクターと言っても過言ではないと思う」
MF森稜真(草津東高、3年)
「山本悠樹(現関西学院大)の世代に憧れ、セゾンFCから草津東の門を叩いたものの、スタメンの座を掴んだのは今回の総体予選から。すると、準決勝では『普通にチョンって当てただけなんですけど、凄くビックリしました』と自ら笑うスーパーボレーを含む2ゴールを挙げ、決勝では『結構得意で練習でも決めることはあります』と明かす右足アウトサイドでオシャレな決勝ゴールと大活躍。昨年からのレギュラーが多く残るチームに、新たな風を吹き込んだ。目標は『“下剋上”というか、強いチームをどんどん倒しての全国優勝』」
FW長坂大陸(東山高、3年)
「前線で相棒を組む久乘聖亜が注目を集める中、京都府予選の準決勝と決勝でゴールを奪ったように、彼の得点力も6年ぶりの全国出場に大きなプラスをもたらしていたことは疑いようのない所。特に決勝では相手の一瞬のスキを突いてゴールを陥れるなど、その確かなセンスを発揮してみせた。縦へとグイグイ運べる推進力はもちろん、166cmというサイズを感じさせない空中戦の強さも魅力的で、高さでもチームに基点とアクセントを加えることができる。ちなみにそのスケール感を体現するような名前の読み方は“リク”」
FW川上渚(三浦学苑高、3年)
「『左足一本で行こうと思っている』と言い切るレフティは、ネイマールのドリブルとルイス・スアレスの受け方を参考にしつつ、高い技術を最前線で生かすマルチタイプのフォワード。そのスペシャルな左足の威力に隠れがちだが、『相手が疲れている中でも自分は走れるなと思っている』と語ったように、神奈川県予選準決勝では後半終了間際に独力で2度の決定機を創り出すなど、1試合を通じて最後まで走り切れる運動量も大きな武器。全国に出るために選んだ三浦学苑での日本一を真剣に狙う」
FW片岡慎太郎(関西大北陽高、3年)
「17年ぶりの全国切符を掴んだ関大北陽の一番前にそびえ立つ190cmのハイタワー。堅い守備をベースにしたチームの中で、カウンターとセットプレーをゴールという形で完結させられる彼の存在は絶対不可欠であり、大阪府予選決勝リーグ最終戦の履正社高戦でも、後半開始からピッチへ解き放たれると、終盤に体の強さを生かして豪快なゴールを叩き込み、全国出場を決定付ける仕事を完遂。シンプルな空中戦の強さと、匂いを嗅ぎ分ける得点感覚がフルに発揮されれば、この夏で大きな飛躍を遂げる可能性も決して小さくない」
■執筆者紹介:
土屋雅史
「(株)ジェイ・スポーツに勤務。Jリーグ中継担当プロディーサーを経て、『デイリーサッカーニュース Foot!』を担当。群馬県立高崎高3年時にはインターハイで全国ベスト8に入り、大会優秀選手に選出。ゲキサカでコラム、『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』を連載中。著書に「メッシはマラドーナを超えられるか」(亘崇詞氏との共著・中公新書ラクレ)。」
SEVENDAYS FOOTBALLDAY by 土屋雅史
●【特設】高校総体2018