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[MOM2583]立正大淞南FW鶴野怜樹(3年)_圧巻の走力。突破、突破の70分間

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立正大淞南高FW鶴野怜樹は圧巻の走力を披露。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[8.8 総体2回戦 関西大北陽高 0-1 立正大淞南高 鈴鹿]

「あの16番、止まらないな――」。ゴール裏で視察していた大会関係者からはそんな声が漏れ聞こえてきていた。立正大淞南高のFW鶴野怜樹(3年)はその言葉に納得のパフォーマンス。寄せてくるDFを弾き飛ばすような突破を試合開始から70分間やり続けて決勝ゴールも決めた。

 前半6分、鶴野はFW藤井奨也(3年)の突破をサポート。こぼれ球に反応すると、対応したDFとの球際の攻防を制して前に出る。バランスを崩しながらも驚異的な粘り腰で踏みとどまった鶴野は、そのまま左足シュートをゴールに流し込んだ。

 歓喜をもたらした鶴野は、その後もドリブル突破を連発。ボールを受けると、迷わずゴール方向へ突き進み、狭いスペースをこじ開けていく。一人でゴールまで持ち込む強さと鋭い抜け出し、そしてタイミング良く離すパスでもチャンスメークしていた。

 決定的なシーンで決めきれずに2点目を奪えなかったことは確かが、それを差し引いても余りあるほどの動き。「先生から、『相手も嫌がっているから自分との戦いだ』と言われていた。『絶対に負けない』という気持ちで相手も嫌がっていたので背後に走りました。キツかったけれども、応援してもらえているのでチームのために走りました」というFWの存在感は抜群だった。

 南健司監督は「(短距離だけでなく)長距離もエグい。(終盤でも)行き切る」と“特別な”才能について説明する。今年は例年よりもシンプルに縦にボールを入れている印象の立正大淞南だが、それも鶴野と藤井の2トップの存在があってこそ。猛暑の中でも走り切る力が、今後も対戦相手の驚異になるのは間違いない。

「全員で日本一という目標に向かって日々努力してきたので、応援と試合に出ている立場に分かれて応援も苦しいと思うんですけれども、暑い中、全力で応援してくれているので必死に戦って全員で日本一になりたい」

 1歳年上の兄・鶴野桐真の後を追って立正大淞南へ。昨年、チームの力になれなかった悔しさを忘れずに「絶対にもう負けたくないという気持ちで練習してきた」FWはまだまだチームのために走り続ける。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2018

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