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[MOM2588]大津FW大竹悠聖(3年)_大津の「切り込み隊長」、攻守に走り回ってゴールも

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大津高の「切り込み隊長」FW大竹悠聖は守備で貢献し、ゴールも。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[8.9 総体3回戦 國學院久我山高 0-2 大津高 鈴鹿]

 プロ入りが有力視されるDF福島隼斗(3年)、いずれもU-18代表のDF吉村仁志(3年)、MF水野雄太(3年)ら錚々たるタレントが揃う今年の大津高で言えば、これまでは目立つタイプではなかった。ただ、平岡和徳総監督が「切り込み隊長」と評するようにFW大竹悠聖(3年)はチームになくてはならない存在で、この日はチームを勢いづけるプレーで勝利に貢献した。

 最大の特徴は、前線から激しい守備だ。中学までは、「前でどっしり構えて自分ひとりでゴールに行くタイプ」(大竹)だったが、高校に入ってからは守備の重要性を叩き込まれ、泥臭く頑張り続けるプレーでチームを盛り上げるタイプへと変貌を遂げた。

 4年ぶりのベスト8進出がかかったこの日は、「3連戦だったので足が動かなかった」(大竹)ものの、最前線からチェイシングで國學院久我山の肝である最終ラインからの組み立てを封じ、大津が相手エリアでプレーする時間を増やした。

 攻撃でも中央からサイドに流れて起点を作ると、前半35分には3列目でボールを奪ったMF富永大翔(3年)のパスから中央を突破。そこから素早くゴール前にスルーパスを入れると、PA左から仕掛けた水野が決めて、試合を動かした。

 後半開始と共にFW濃野公人(2年)が交代で前線に入ると、大竹は右サイドに移動。「右サイドが攻撃の起点になってくるので、ドンドン仕掛けたりクロスを上げていこうと思っていた」という意気込み通り、スピードを活かした突破からクロスを入れつつ、タイミングよく大外を上がるDF岩本侑大(3年)の攻撃参加を引き出して見せ場を作った。

 すると、12分には水野の左CKから絶好のチャンスが訪れる。低く入ったボールをニアのFW奥原零偉(3年)が競り合うと、大竹が素早くこぼれ球に反応。「ここで獲らないとよりチームがきつくなるので、気持ちで押し込みました」と力強くゴールネットを揺らし、勝利を確実な物にした。

 以降は最後まで守備を絶やさず逃げ切りに貢献した大竹だが、エネルギッシュに前線を駆け回るため、今季はスタメンの座を手に入れながらも、後半途中でガス欠となり、交代することが多かった。そうした状況を変えるため、大会に入る前に走り込みを行い、1試合通じて走り切る体力づくりを行ってきたという。

 今大会は3試合連続でフル出場中。平岡総監督が「今大会はよく頑張ってくれている。あのタイプは点を獲ると感覚が良くなっていく」と称えるように、前日に行った2回戦の前橋育英高に続いて得点を記録するなど、充実した大会を過ごしている。

「水野が点取り屋で、自分は試合で獲れなくても水野が獲れるシーンを作ったり、攻撃の流れを作れるように意識している」と話すように、周りの良さを引き出すタイプであることは自覚しているが、知名度や活躍で負けるつもりはない。「しっかり前から守備をして、後ろがゼロで抑えてくれている。前は1点でも多く点を獲って、後ろを楽にして勝たせてあげたい。今回は全国を獲れる自信はあるので、結果を残すだけ」と準々決勝以降も好調を維持し、タイトルを引き寄せるつもりだ。

(取材・文 森田将義)
●【特設】高校総体2018

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