beacon

「一戦必勝」の桐光学園、粘る明秀日立を突き放して8強入り

このエントリーをはてなブックマークに追加

桐光学園高は6年ぶりのベスト8進出。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[8.9 総体3回戦 桐光学園高 3-1 明秀日立高 鈴鹿]

 名門校が、着実な歩みを見せている。平成30年度全国高校総体「2018彩る感動 東海総体」(インターハイ)サッカー競技(三重)は9日に3回戦を行い、桐光学園高(神奈川2)は3-1で明秀日立高(茨城)を破ってベスト8に駒を進めた。鈴木勝大監督は「珍しく、選手が立てた目標が『一戦必勝』。今までは『日本一』とかが多かった。先を見ると、足下をすくわれる。彼らが立てた目標に僕も乗っかって、チームの構成をしたい」と話し、静かに次戦に目を向けた。

 試合は、序盤から桐光学園のペースで進んだ。前半8分にFW敷野智大(3年)がターンからドリブルシュートを放ったのが、ファーストチャンス。前半12分にはMF国谷敦史(3年)のFKをDF望月駿介(3年)が競り、相手のクリアミスで高く上がったボールをDF内田拓寿(3年)が左足ボレーでゴールにたたき込んで先制した。

 明秀日立は、MF川上璃久(3年)のミドルシュートや、FW津村夢人(3年)が仕掛けたターンからのドリブルなどで反撃するが、相手を脅かすには至らなかった。しかし、ハーフタイムが明けると、1点のリードと試合内容に余裕を持った桐光学園の攻撃は、ペースダウン。明秀日立がじわりじわりと押し返す展開になった。

 後半9分には、右WB高橋隼人(3年)のクロスにファーから飛び込んだ左WB大山航(3年)がシュートを放つ決定機があったが、クロスバーに嫌われた。それでも諦めずに攻め続けると、後半14分に大山がクロス気味に放ったボールがそのままゴールに飛び込み、同点に追いついた。

 しかし、明秀日立の萬場努監督が「良い流れのときにクーリングブレイクが入って、もう一段階上げていきたいと思った矢先に、守備でちょっと色気が出てしまった。前がかりだったからこそ、後ろは慎重にやってほしかった」と話したように、流れを中断で断ち切られ、再開後にミスを突かれてしまった。

 後半26分、桐光学園は、左サイドの縦パスを受けたU-16日本代表FW西川潤(2年)が一度は奪われたボールを取り返し、ラストパス。後半から左MFに投入されていたMF田中彰真(3年)が押し込んで勝ち越し点を奪った。

 明秀日立の萬場努監督は「あの後は、厳しかった」と反撃ムードの出鼻をくじかれた失点の重みを認めた。明秀日立は選手交代や、最終ラインで対人守備の強さを見せていた主将の高嶋修也(3年)を前線に上げるなど手を打って1点を追いかけたが、次のゴールを決めたのは、桐光学園だった。アディショナルタイム、桐光学園は、国谷が右からゴール前に蹴ったFKを敷野が頭で合わせて3点目をマーク。勝利を決定付けた。

 勝った桐光学園の主将を務めるDF望月駿介(3年)は、1年時から試合経験を積んで来た。しかし、神奈川県が激戦区であることも影響し、名門校に寄せられる大きな期待には、なかなか応えることができずにきた。「1年のときは全国高校選手権に出たけど1回戦負け。昨年は全国大会に出られなかった。正直、悔しい思いもあった」と話し、最高学年で迎えた全国大会にかけている思いをのぞかせた。

「一戦必勝」を続けて過去最高のベスト4に並び、その先へと進めるか。11日に行われる準々決勝では、富山一高(富山)と対戦する。

(取材・文 平野貴也)
●【特設】高校総体2018

TOP