[8.11 総体準々決勝　昌平高 2-1大津高 四日市]

　平成30年度全国高校総体「2018彩る感動 東海総体」(インターハイ)男子サッカー競技準々決勝が11日に行われ、四日市中央緑地陸上競技場の第1試合は、昌平高(埼玉1)と大津高(熊本)が激突。一進一退の激しい攻防となったが、土壇場で上回った昌平が後半アディショナルタイムに決勝点。2-1と大津を破り、2年ぶりの4強進出を果たした。

　前半やや優位を占めたのは昌平だった。DF関根浩平主将(3年)ら後方にも技術の高い選手を揃えるメリットを活かした安定したビルドアップからMF原田虹輝(3年)、MF渋屋航平(3年)らが中盤で巧みに起点を作り、大津を押し込む。4分にはFKから最初の得点機を作り、MF古川勇輝(3年)が決定的なシュートを放つなど優勢に試合を進めた。

　ただ、「中盤で持ててはいるけれど、最後は崩せていない状況だった」と原田が振り返ったように、福島隼斗主将(3年)と吉村仁志(3年)の大会最強級のCBコンビがゴール前を固める大津守備陣も容易には崩れない。逆にダイナミックにサイドを使いながら昌平ゴールを目指した。さらに35分にはMF高見柊真(3年)を投入し、4-4-2から4-2-3-1へシステムを変更。中盤中央の枚数を増やして昌平と噛み合わせてここで自由を与えない戦術的修正を行うと、徐々に大津に流れが傾き始める。

　後半に入ると大津の攻勢があと一歩で結実しそうな場面も頻出。後半22分にはFW奥原零偉(3年)の決定的ヘディングシュートがゴールを襲うが、昌平GK牧之瀬皓太(2年)が「今まで観た中で一番凄いセーブ」と藤島崇之監督も驚くビッグセーブを見せ、流れを呼び寄せる。そして逆に23分、原田が自陣からのロングドリブルで大津DFをごぼう抜きした末のラストパスでハンドを誘ってPKを誘うと、これを自ら決めて先制点をもぎ取ってみせた。

　だが30分、大津もすかさず反撃。交代出場のFW大崎舜(3年)が右サイドを抜け出し、ファーサイドへ速いボールを折り返すと、奥原が合わせにいったところで昌平がファウルを犯し、今度は大津にPKのチャンス。これをMF大竹悠聖(3年)が冷静に決めて、試合を振り出しに戻した。

　試合はそのままアディショナルタイムへ突入。両ベンチがPK戦を覚悟していたであろう流れだったが、最後に勝利の女神が微笑んだのは昌平のほうだった。「相手のクリアミスが自分の所に来て、いろいろできそうな状況だった」と言う原田が選択したのは、抜群の信頼関係があるMF森田翔(3年)とのワンツー。期待どおりに「いいパスを返してくれた」相棒との連係で突破に成功すると、最後は飛び出してきたGKの上を抜くシュートを沈め、これが決勝点となった。

　勝った昌平の藤島監督は「大津さんの攻撃にいつやられるかと思って観ていたが、粘り強さがあった」と守備陣の健闘を称えつつ、準決勝の桐光学園高(神奈川1)との試合に向けて「スペシャルな選手がいるチームなので」と気持ちを切り替えていた。

(取材・文　川端暁彦)

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●【特設】高校総体2018