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FC多摩JY時代から最終ラインに並ぶCBコンビ。桐光学園の内田&望月が得点ランク首位FWを封殺

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桐光学園高のCB内田拓寿(左)と、CB望月駿介主将は相手のキーマンを封じて完封勝利に貢献。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[8.11 総体準々決勝 桐光学園高 5-0 富山一高 鈴鹿]

 桐光学園高が富山一高で最も警戒していたのが、今回のインターハイで得点ランキング首位の7得点をマークしている10番FW小森飛絢(3年)だった。鈴木勝大監督は富山一の変則的な攻撃を頭に入れながらも、「最終的には10番(小森)のところに来ると思っていたので、10番のケアを徹底的にやりました」と説明。浮き球、グラウンダーで入ってくるボールをCB内田拓寿(3年)と、CB望月駿介主将(3年)の両DFが跳ね返して攻撃のポイントを作らせなかった。

 小森は今大会3試合中2試合でハットトリックを達成の強力アタッカー。望月は「昨日、中学(FC多摩ジュニアユース)のコーチから電話来て、『富一の10番良い』『2失点は覚悟しとけよ』と言われて『絶対に無失点で抑えてやる』と思ってやっていました」と微笑む。

 望月がカバーリングを意識し、内田が潰し役に。相手の頭上から打ち返すようなヘッドで小森を悔しがらせ、前を向かれてもシュートブロックしていた内田は「相手は右足が良いと思っていて、そこを切ることを考えていた。あと、シュートを打たせないというのは大前提なんですけれども、そこを意識してシュートブロックできていた」とエース封じをやり切ったことを喜んでいた。後半は強引に仕掛けてきた小森にシュート3本を打たれたが、集中力高いプレーを見せた望月とともに無得点に封じて完封勝利。恩師からの“檄”も準決勝進出へのエネルギーに変えて勝ち切った。

 望月と内田はFC多摩ジュニアユース時代からのチームメート。当時は望月と現流通経済大柏高のCB関川郁万(3年、鹿島内定)がCBコンビを組み、内田は右SBを務めていた。望月は中学時代から隣でプレーしていた内田について、「ウッチーはヘディング強くてやりやすいです。ウッチーに気持ち良く戦わせて、自分はカバーとかそっち重視でやっています」と語り、内田は「(鈴木)監督にも自分と望月は絶対に崩れてはダメ、と言われている。チームのみんなを支えないといけないし、そういうところを意識しています」と相棒とのコンビがチームを左右するという責任を持って戦っていることを説明した。

 1年時からCBで先発を務める注目DF望月と、転向したCBのポジションで高さを発揮している内田。鈴木監督は「彼らはああいうポジションで跳ね返す役割ですけれども、凄くマジメでどちらかというと大人しいんですよ。そういう選手が積み重ねてきて、凄く大きな鍵を閉められるような、最終ラインの門ができてきているかなと思っていますね」と成長してきた2人に信頼を寄せている。

 その2人には意識している存在がいる。それは昨夏、準決勝で決勝ゴールを決めるなど流経大柏のインターハイ優勝に大きく貢献した関川の存在だ。望月は流経大柏が千葉県予選で敗退したことで関川との対戦が叶わず残念がっていたが、旧友が昨夏に記録した結果に並ぶ可能性が高まってきている。

 頂点まであと2つ。今後の戦いへ向けて、望月は「プレミアの相手にゼロで抑えたのは結構自信になりますし、(準決勝で対戦する)昌平はパス回し良いですけれども、自分たちでしっかり我慢していければ前も点獲ってくれると思うので、それができれば良いと思っています。チームのことを一番にやって、優勝して優秀選手に入りたい」と語り、内田は「まずは一戦一戦で、次の昌平戦に勝たないと意味がないと思いますし、ここで頂点獲って桐光の歴史を変えていきたいと思います」。そして関川の記録に並ぶことが「目標です」と静かに力を込めた。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2018

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